【Bar S 】episode12 巨漢おねえ
身長183センチ顔からお尻までが肉付きの良い、巨漢 島本さんが初めて来店されたのは、土曜日の14時開店直後であった。ムツミ姉が連れて来てくれたのだ。
島本さんは、外資系の企業に勤めていたけど、英語は苦手なようだ。(実際にお店にアメリカ人の観光客が居た時に話しかけていたけど、話しかけた割には全然言葉が出て来ない)
巨漢の割には足が細くて、アメリカとかのアニメに出てくる太っちょキャラみたい。
最初の2ヶ月の間は、ムツミ姉と一緒に毎週土曜日の開店直後に来ていた。その後は、ムツミ姉が島本さんの事を面倒くさくなってしまったようで(この人の話は本当に面倒くさい)、島本さんはひとりで来るようになった。
島本さんは毎回、何故かケバブを私のために買って来てくれた。お腹が空いていなかったり、他のお客さんがいる時には「あとでいただきますね!」と言うと、「手が空いたら、あったかいうちに食べちゃってよ!」と言われるので、仕方なく島本さんの前で毎回食べてた。
島本さんは、私がケバブを頬張る姿をいつも嬉しそうな顔で見つめていた。「マスターってホントに美味しそうに食べるのね!」とよく言われた。
島本さんのしゃべり方は、お姉口調だったから 自分の方がこの人に食べられちゃうんじゃないかと心配した。ケバブを毎回食べさせて、太らされているんじゃないかと疑った。
島本さんは毎週土曜日に、ウチの店に寄ったあとでちょっと離れた所のゲイバーに行くのがお決まりのコースだった。
店に来る時間が遅くなった日があった。先にゲイバーに寄ってから来店したという事だった。しばらく呑んでお喋りをしたあと、急にモジモジし始めた。
「今日はマスターにプレゼントがあるのよ!」と小声で囁いて、他のお客さんに見られないように用心しながら、小さな袋を差し出した。袋の中には何やらイラストの描かれた箱が入っていた。イラストにはゲイカップルが描かれていた。中身はコンドーム(2個入り)だった。
キラキラした目で見つめられながら、なんて言ったら良いのか正解が見つからず、ただ笑ってみた。
「それ使ったら、その時の話を聞かせてね!」
そう言うと、島本さんは私に小さくウインクして見せた。
ゾワっと鳥肌がたった。「最近あまり使うような事してないんですよねー」ってとりあえず言ってみた。
「あら、そう マスターもてそうだから、いくらあっても困らないんじゃないかと思ってた」
もう、ひきつった笑顔を無理矢理つくる事しか出来なかった。
その日から、毎週土曜日の17時くらいに来るようになった。手にはケバブの入った袋と、別に小さめの袋。小さめの袋には毎回、違う絡まり方をしたゲイカップルのイラスト。中には同じコンドーム2個。
毎回もらうので、けっこうな量のコンドームが溜まった。(ちょっと気持ち悪いので使わずに置いていた)
邪魔にもなってきたから、お客さんにあげる事にした。イラストのタッチはポップな感じだったので、特に女性にウケが良かった。
特にオチとなるような出来事もなかったが、毎週 島本さんからコンドームをもらい、貰ったコンドームを別の日にお客さんに配る の繰り返し。
たまに島本さんから、食事や遊びのお誘いを受けたが、毎回なんだかんだ理由をつけてお断りしたのは言うまでもありません。
ーepisode 12 おわりー
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