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青い春


僕は今、女の子の部屋にいる。

淡いベージュのカーテンが開かれ、純白の白いレースが風で揺れている。

彼女の広い部屋のまん中には白いピアノが置かれ、部屋の隅には白い木の枠のベッドと、同じく白く塗られた木製のタンス。

僕たちは白い低めのテーブルを挟んで、彼女の作ったオムライスを食べている。

「玉子ちょっとやぶけちゃった。でも、おいしいかな?」

「うん。とってもおいしい」

「ほんと?! 良かった」

実際にはそれほどでもなく、ちょっとご飯に混ぜるケチャップの量が多すぎてベチャベチャしている。でもまあ食べられないというほどではない。それに僕だってそれくらいの礼儀は心得ている。初めて来た女の子の部屋で、初めて作ってもらった食事にケチなんてつけられない。どんなものであろうと、誉めておけば、その後のことがスムーズに進むはずだ。


僕と、今おじゃましている部屋の彼女は、高校の同級生で、彼女とは3年になってから初めて同じクラスになった。クラスのリクエーションで、同じグループになり、その事で彼女からいちど電話が来た。それから僕たちは、電話やLINEで連絡を取り合うようになった。

ある日の電話で好きな音楽の話になり、好きな女性アーティストについて、彼女が熱弁をふるっていた。

「あっ、そうだ。今度ウチで一緒に聴こうよ。私の部屋にお父さんから譲ってもらったステレオがあってね、スピーカーもいいやつ使ってるからそれで聴くとまたとってもいいのよ」

「いくいく。そのスピーカーで聴いてみたい。楽しみだなー」

僕はその女性アーティストにはあまり興味はなかったけど、彼女の部屋に行けるのが楽しみで、調子を合わせた。

「じゃあ、今度の土曜日、大丈夫?」

「うん。大丈夫」

「あっ、そうだ。最近、私お料理にもはまってるからなにか作るね。その日はウチ、みんな出掛けて誰もいないし。だからお昼、12時に私の家に来て」

「了解っ。じゃあ楽しみにしてます」

スマホの通話を終了してから僕は、「よっしゃあ」と右手でガッツポーズをつくった。


オムライスを食べ終えウーロン茶を飲み干すと、彼女はステレオの電源を入れ、CDを差し込んだ。女性アーティストの静かな歌声が彼女の部屋に広がった。

彼女は歌詞カードを持って、僕の隣に来た。

「ねっ、ここの歌詞とっても良くない?」

そう言って僕に肩を擦り寄せ、歌詞カードを見つめている。彼女の髪の香りが僕の鼻をくすぐる。僕はそんな彼女の陶酔して潤んだ眼を、そして控えめにルージュを塗ったその可愛らしいぷっくりとした唇を見つめていた。

女性アーティストが7曲目を歌い始めた頃、僕はもう我慢できなくなった。隣に座る彼女を薄いベージュのカーペットに押し倒し、彼女の唇に自分の唇を押しつけていた。

「んーんー」と言いながら彼女は少し抵抗しているようだった。それでも無理に引き剥がそうというほどではなく、僕は構わず彼女の右側の首筋にしゃぶりついた。僕は左手で彼女の右胸をワンピースの上から掴んだ。右手はワンピースの裾を捲り上げ、彼女の左の太股へ。

「だめーっ。今日、私、生理なのーっ」

彼女の叫んだ声で、僕は我に返った。

「あっ、ごめん」

僕の頭の中で〈生理〉という言葉がずっとリフレインしていた。


彼女の家からの帰り道、彼女の部屋で流れていた女性ボーカルの声と、彼女の唇を思い出しながら、ズボンの右ポケットのコンドームを弄んで歩いた。


「おはよー」

月曜日、教室で会った彼女は、いつも通りの元気な笑顔で僕と挨拶を交わした。

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