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ホクレンのガソリン

ホクレンという、北海道ではおなじみの、経済農業共同組合連合会があります。


単なる、町の組合なんかでは収まらず、北海道では超巨大組織。

いわゆる総合総社、コングロマリット企業みたいな位置付けになります。


北海道の農業生産者を全面的にバックアップし、その生産物を道内は元より、全国、または海外に流通させていくというのが主な仕事。


そんなコングロマリットなホクレンですが、コングロマリット故にガソリンスタンドの展開もしています。



これがどういうことかということを考えるに、おそらく農家の中に、ひょんなことから油田を掘り当ててしまった奴がいる、ということだと思う。


収穫の際、コンバインで稲刈りをしている途中、たまたま地中の油田に刃が当たり、噴水のごとく吹き出る原油。


真夏のスピリンクラーよろしく、順調に育った稲に原油が吹き付けられ、丹精込めて育てた稲がことごとく毀損。


困り果てた農家は直ちにホクレンの担当者に連絡。


通常ならば、一民間の組合程度に原油が扱えるわけがないが、そこはコングロマリットのホクレン。


北海道の畑から湧き出る原油、ってことですから、北海道産ですよね。


なんてことで農業生産物の一環として、原油の販売を始めてしまったのである。


「試される大地。北海道。から湧き出る新鮮な原油。試してみるべさ」

「道内景気は低燃費。ホクレンガソリンも低燃費」

「おいしい牛乳、おいしい原油」

「生産者の顔が見えるガソリンです」


という感じで広告、PRをおこない、従来の油臭ささから一転して爽快フレッシュ、ブリリアントなイメージに一新。

人気タレントも起用し、採れたての原油を飲んで


うまい!もう一杯!


など、どっかから抗議の電話が来そうなTVCMを打つなど、ホクレンガソリンのブランドマーケティングに尽力した。


実際、ホクレンのガソリンスタンドにはセルフが多い。

これは、本業が農家なので


おら達は畑に行っていないから、自分で入れてってケロ


という事情からきている。


僕は今日もホクレンでガソリンを入れる。


なぜなら、新鮮なガソリンだから。

北海道を愛しているから。


※フィクション

#ホクレン #北海道 #ガソリン #エッセイ #日記 #小説

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