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ハイレベルと危うさ(横浜FM1-1広島)

今季リアルタイムおよび現地で観た中で一番レベル高い試合だった。

で、一森純。
マリノスは昨季不動の正GK高丘陽平がMLSに移籍し、開幕からの2試合はオビ パウエル オビンナが正GK。ここで2月末に突如ガンバから一森をレンタルで獲得。その一森が移籍後いきなりスタメン。

まず補強としてはさすがマリノスという目の付け所の良さ。
ガンバは谷晃生・東口順昭というS級GK二人も抱えている中での第三GKだから獲りやすい。飯倉大樹も戻した上で、絶対的な守護神抜けた穴を少しでも埋めるべくさらに層を厚くして競争させる陣容。

で、今日の一森純。
スタメンに起用された時点で「オビにないものが求められている。つまり、シュートストップ以上に後ろからのビルドアップと繋ぎ、攻めのスイッチとしての役割が求められているからオビじゃなくて一森を起用。ということはおそらく今日は相当繋ぎ倒すだろうな」という誰でも思いつく予想だった。
そしてその通り、繋ぐ繋ぐ、リスクを相当追ってでも繋ぐ。

ただ、これが危なっかしい。
特に広島側がかなり前線から強めにプレスかける形だったこともあり、繋ごうとしたボールを搔っ攫われてピンチを招くシーンが何度かあり、W杯の日本2-1スペイン戦でのGKウナイ・シモンに前田大然らがプレスかけ続けて同点弾に繋がったシーンがフラッシュバックした。
さすがに後半からはスタジアムで、

マリノスサポーターは不安からのどよめきが。

広島サポーターからは「狙える!獲れる!」という期待からのどよめきが。


ただし、この危なっかしい雰囲気がありつつも決壊はせず序盤の一失点どまり。そして広島の決定機を二度防いだので、一森のプレーが勝ち点1に大きく貢献したのも事実。

評価としては悩ましい。
一森(31)ではなくオビ(25)を起用していく年齢考慮もあるのでは?いやでも、チャンピオンチームで育成優先なんてことはあり得なくて、勝つための起用が何よりも優先されるべきだよな、とか。(五輪代表を見据えて下部組織出身の波多野を実力不足に目をつぶって正GK起用したFC東京がマリノス戦で0-8の大敗くらった事例を思い出すべきだよな、とか)
移籍直後だし、広島のキプロス代表とスイス代表FWの2人がここまできついプレスかけてくるという相当なプレッシャーを踏まえれば十分に及第点では?とか。
GKをコロコロと毎試合替えていくのは安定しないし一度決めたら腰を据えて一森起用を続けるべきだよな、とか。
とはいえ今日の繋ぎの危うさ見ると対戦チームは確実にプレッシャーかけて狙ってくるよな、いつか致命傷食らうよな、とか。いやでもそんなのマリノスは飯倉時代からあったリスクだよな、とか。

「弱気にだけはならないようにしよう」これはめっちゃ見てて伝わってきた。
ここは全力で褒めたい。だからこそ試合終了直後のゴール裏コールが一森だったと思う。

全体的に攻守の切り替えも速く、お互いに決定機を作ることができてどちらが勝ってもおかしくない好ゲーム。
特にマリノス左サイド・エウベルと広島右サイド満田誠の攻め合いがとても見応えあった。
前半はエウベルが満田をタッチラインギリギリでいなして同点弾演出、相変わらずウイングとしてJ最高峰というキレ。しかし後半は満田が右サイドからガンガンしかけて決定機何度も演出。
どっちかが押し込んで良さが消える、ということはなく双方の攻撃面の良さが存分に出てたのもこの試合の良さに繋がっていた。

他にも角田はよくあそこまで終盤攻めあがれるな、とか、ベンチスタートでも腐らずにチャンス演出できるマルコスジュニオールの意識の高さは尊敬に値するな、とか、塩谷って得点感覚やロングフィードのセンス全然錆びついてないな、とか、終了間際のヤンマテウス決定機をボール軽く触れて潰した荒木隼人の守備がうますぎるな、とか、色々あったけど、

やっぱり今日も渡辺皓太は見事だった。


あの小さな身体で大きな大きな存在感。
塩谷が斜めに綺麗なロングフィード入れた時、読んでてカットしたのは当然渡辺皓太で、というかあの位置でこんな見事なカットできるのは渡辺皓太しかいないだろう、と見るまでもなく誰がやったのかわかるレベルだった
圧巻の出来。

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