熊谷悠一 Yuichi Kumagai

渋谷のラジオ「熊谷悠一アワー」毎週日曜17:00〜17:55で音楽の紹介をしています。…

熊谷悠一 Yuichi Kumagai

渋谷のラジオ「熊谷悠一アワー」毎週日曜17:00〜17:55で音楽の紹介をしています。「Peter Barakan's Live Magic!」などでDJ。 連絡先:u1bearあっとicloudどとこむ

マガジン

  • 渋谷のラジオ「熊谷悠一アワー」プレイリストまとめ

    コミュニティFM渋谷のラジオで放送中の音楽番組「熊谷悠一アワー」でかけた曲目をまとめました。2020年10月からは日曜17:00~17:55で毎週お送りしています。渋谷のラジオは、公式サイトから、またはスマホやタブレットの無料アプリから全国で聴けます。

  • 本と漫画の記録

    読書の記録を気軽なメモ程度に残していきます。

  • 映画感想 2024

    2024年に観た映画の感想を書きます。配信での旧作も含むので、必ずしも新作とは限りません。

  • プレイリスト遊戯

    趣味や好きで作ったプレイリストをまとめました

  • 【アーカイヴ】映画の感想 ~2022

    観た映画の感想を、鑑賞メモ程度に自由に書きます。作品の紹介部分は省くことも多いですし、内容の詳細には踏み込みすぎないようにします。評論でも批評でもなく、あくまで一般の一映画好きの意見ですので、こういう見方をする人もいるんだな、ぐらいの参考にしてもらえれば幸いです。

最近の記事

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書きたいことが多すぎる。 しかも、それぞれが巨大すぎる。 一口サイズに切り分けないと。 何でもかんでも書き散らせばいいというものでもなく、何を書かないかこそが重要な気がする。 つい膨らみがちな話を削って、形を整え推敲する。 それが文章を書くことの大部分かも。 その手間が面倒臭くてサボっているのが実情。 選曲において、何を選ぶか以上に何を選ばないかが肝要なのと似ている。 実際、その番組用の選曲で手一杯ではある。 いや正確に言うと、何かを書いて考えをまとめる苦労より、慣れた音

    • 4/28/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.316 プレイリスト

      【Tracklist】 Sam The Sham and The Pharaohs "Wooly Bully" (1965)『Nuggets (Original Artyfacts From The First Psychedelic Era 1965-1968)』(1998) Tamas Wells “'It Shakes the Living Daylights from You”『To Drink up the Sea』(2023) Candi Staton “H

      • モーリス・ルヴェル『夜鳥』

        モーリス・ルヴェル『夜鳥 (よどり)』 Maurice Level “Les Oiseaux de Nuit” 田中早苗 訳 モーリス・ルヴェルは、フランスはパリの作家で1875年生まれ1926年没とある。 よく比較されるらしい対象はエドガー・アラン・ポオやモーパッサンなどで、それこそ江戸川乱歩にも近い感触がある。 短編よりショートショートに近い分量ながら、各々に個性が刻印された31篇を集める。 1928年刊の訳文を元にしているが、現代仮名遣いに統一されていて丁寧な振り仮

        • 映画『彼女たちの舞台』

          ジャック・リヴェット『彼女たちの舞台』(1988、フランス・スイス、162分) 原題:La bande des quatre リヴェット監督らしさが至るところに満ち溢れた作品。 アンナ、ルシア、ジョイス、クロードの主人公たち4人は、女性だけしかいないパリの演劇学校で稽古を受けながら、郊外の一軒家を借り共同で暮らしている。 そこから入れ替わるように引っ越していったセシルも同じ生徒だが、恋人が非合法な手段で稼いでいるという噂が立つ。 一方で、名前を変えながら4人それぞれに近づ

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        • 渋谷のラジオ「熊谷悠一アワー」プレイリストまとめ
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        • 本と漫画の記録
          33本
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          11本
        • プレイリスト遊戯
          4本
        • 【アーカイヴ】映画の感想 ~2022
          52本
        • DJ熊谷悠一的年間ベストアルバム 2013~2023
          11本

        記事

          映画『地に堕ちた愛』

          ジャック・リヴェット『地に堕ちた愛 完全版』(1984、フランス、176分) 原題:L'amour par terre これまでにない映画を撮ろうという意気込みが感じられる点で、意欲作と言えるだろうか。 アパルトマン内が舞台となっている演劇から始まる。観客はそっと覗き見するように鑑賞する奇妙な形式だ。その戯曲を勝手に即興で変えてしまったシャルロットとエミリーの役者二人は、観に来ていた作者に呼び出される。 翌日、指定された邸宅へ赴くと、今度はそこを舞台にした新作に出演してく

          映画『地に堕ちた愛』

          4/21/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.315 プレイリスト

          【Tracklist】 Marvin Gaye & Tammi Terrell “Ain't No Mountain High Enough"『United』(1967) Bend Sinister “Price You Pay”『Mostly Great Things』(2024) Nirvana “Come As You Are”『MTV Unplugged in New York』(1994) Meat Puppets “Plateau”『Meat Puppet

          4/21/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.315 プレイリスト

          温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』

          温 又柔 おん ゆうじゅう/Wen Yuju 『台湾生まれ 日本語育ち』(2015) 台湾に出自を持ちながら3歳から日本で暮らしている作家が、自身の言葉と向き合うエッセイ。 これは良い本だった。 読んでいるこちらも自分のルーツに思いを馳せることができた。 さらには、母語が自らの人格や考え方の形成にどれだけ深く影響するかも含めて、普段あまり意識することのない領域にまで連想が及ぶ。 著者のデビュー作『来福の家』(2011)を裏側から読み解く自己解説本のようにもなっている。

          温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』

          4/14/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.314 プレイリスト

          【Tracklist】 The Who “Young Man Blues”『Live at Leeds』(1970) Laura Lee "As Long As I Got You" (1968)『The Fame Studios Story • 1961-1973』(2011) Diane Birch “Moto Moon”『Flying on Abraham』(2024) Tim Easton "Find Your Way”『Find Your Way』(2024

          4/14/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.314 プレイリスト

          温又柔『来福の家』

          温 又柔 おん ゆうじゅう/Wen Yuju 『来福の家』(2011) 作家初の単行本で2篇を収録。 それぞれ架空の人物を創造しているものの、台湾に生まれ3年後から東京に住んでいる作家自身の歩みが、大なり小なり織り込まれているのだろう。 台湾・中国・日本の複雑で微妙な関係を、3つの言語から照射するのは、この人にしか書けないことだろう。 自分も日本人として、台湾の歴史を知らなければ、知りたい、と思った。 言葉がどれだけ人格形成に深く影響を与えるか、その人の根本部分を成すかに

          温又柔『来福の家』

          4/7/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.313 プレイリスト

          【Tracklist】 The Kinks “Do It Again”『Word of Mouth』(1984) Jackie DeShannon “Brand New Start”『Jackie』(1972) ProleteR “April Showers”『April Showers - The Platinum EP』(2023) The Wild Magnolias "Smoke My Peace Pipe (Smoke It Right)"『The Wild

          4/7/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.313 プレイリスト

          サド『恋の罪』

          サド『短篇集 恋の罪』 植田祐次 訳 サドを読んだのは学生時代以来。当時は若さゆえの怖いもの見たさも正直あった。確か『悪徳の栄え』だったはず。 今回手に取った短篇集は、それに比べたら「適法」だと解説にはあるが、さすがサドだと唸らされる。清々しいほどに残酷で、ここまでくると気持ちが良い。 この作家の場合、まず先入観を持ってしまうのは避けられないだろうし、かくいう自分もそうだった。ひとまずそういった偏見を置いてもらって、18世紀フランスの小説らしい饒舌な語り口、大仰な修飾の数

          ピーター・バラカンさんの書籍

          私、熊谷悠一を形成する要素。 自己紹介の続きです。 30年近く音楽好きを続けてきたので、その間に音楽雑誌や音楽本はできるだけたくさん目を通してきたつもりです。よくあるディスク・ガイド的な本なども多く手に取りましたが、何度か引っ越しを重ねる度に人にあげたり売ったりしたので、現状として手元に残っているのはほぼピーター・バラカンさんの書籍のみ。 結局はここが私にとっての基盤だし、事あるごとに立ち返る場所でもあります。 バラカンさんが書いてきた本の中で、いま私が一番好きなのは『2

          ピーター・バラカンさんの書籍

          映画『COUNT ME IN 魂のリズム』

          ドラマーたちに焦点を当てた音楽ドキュメンタリー。 友人にお勧めしてもらって、音響に特化した劇場”odessa”で観た。主にロック系、どちらかと言うとハードでヘヴィな人たちが中心なので、もっと爆音でもいいぐらい。 「夢は叶う」って、叶えた人は言う義務があるよね。気持ちが高揚する一本だった。 およそ太鼓を叩いて飯を食っていくような人たちは、ほんの幼い頃からリズムに取り憑かれているのだろう。ホーム・ヴィデオの記録なのか、鍋やらフライパンやらを裏返して叩き続けたりする姿も出てくる。

          映画『COUNT ME IN 魂のリズム』

          「熊谷悠一アワー」って何?〜これまでのあらまし〜

          渋谷区のコミュニティFM「渋谷のラジオ」内の音楽番組。 DJは私、熊谷悠一(くまがいゆういち)なるただの音楽好き一般人。 毎週日曜17:00~17:55放送。 「渋谷のラジオ」は、公式サイトやアプリで日本全国からも聴取できます。 ちなみに今年度つまり今日から、アプリが新しくなりました↓ 新年度ということもあり、改めてご紹介してみました。 こういう弱小番組は、事あるごとに主張していかないと忘れ去られてしまうので。自分も正直いつまで続けられるか分からないので、せっかく継続してい

          「熊谷悠一アワー」って何?〜これまでのあらまし〜

          3/31/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.312 プレイリスト

          【Tracklist】 Tribal Gold “Something in My Peace Pipe”『Tribal Gold』(2024) 細野晴臣 “終りの季節”『HOSONO HOUSE』(1973) Waxahatchee “Right Back to It”『Tigers Blood』(2024) Sierra Ferrell “Dollar Bill Bar”『Trail of Flowers』(2024) Lotta St Joan “Between

          3/31/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.312 プレイリスト

          シャーリー・ジャクスン『丘の屋敷』

          シャーリー・ジャクスン『丘の屋敷』 Shirley Jackson “The Haunting of Hill House” (1959) 渡辺庸子 訳 “幽霊屋敷もの”なんてジャンルが確立されているのか、恐怖小説の一種であることは間違いない。 怪奇現象の数々はどれも名場面と言えるほどで、頭の中に鮮やかな光景が浮かぶ。 謎は謎のまま、人智が及ばないところを残すのもまた良い。 哲学博士ジョン・モンタギューは、超常現象を分析することで学界から一目置かれたいと考えていた。幽霊屋

          シャーリー・ジャクスン『丘の屋敷』