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映画「オクス駅お化け」「バーナデット ママは行方不明」のこと、など、

10月×日
新宿ピカデリーで「オクス駅お化け」(チョン・ヨンギ監督)
ちょっと面白いタイトルに惹かれて。

韓国映画だが、脚本には「リング」の脚本を書いた高橋洋などの日本人が参加しているとのこと。

ソウルにある地下鉄の駅、「オクス駅」での人身事故(自殺)の現場で、そこにいるはずのない子供の姿が目撃される。
その話を取材する記者の周りで奇妙な死に方をする者が続出して・・・、て感じの話。

別につまらなくはないのだが、全体的にどこかで見たような感が・・・。
そして終わり方が斬新。
悪い意味で。
たとえば何か「呪い」があったとして、それを消し去ることが出来てメデタシメデタシ、というハッピーエンド、あるいは消し去ることが出来なくて呪いが広がってしまう、というバッドエンド。
どちらも良くある終わり方だが、この映画はどちらでもない。
何故か「呪い」がどうなるかの話はほったらかしになってしまって、主人公が個人的に鬱憤を晴らしてメデタシメデタシ、という終わり方。
びっくりした。

80分という上映時間は本来好感が持てるはずなのだが、話自体がちゃんと終わっていないので、全然「小気味良い」という感じがしない。
面白い(怖い)部分もあったので残念。

10月×日
上野の西洋美術館で「キュビスム展」

非常に有名なジャンル、そして貴重な作品が多数、ということで、どのくらい混んでいるのかおそるおそる、という感じで行ったのだが、思ったほど混んでなくてほっとした。
展示作品も、
少なすぎず・・・(たっぷり見ることができた満足感アリ)
多すぎず・・・(疲れてしまうほど多くはなかった)
で、良い展覧会だったと思う。

内容については別の記事に。

不忍池の蓮の葉はまだ元気だった

10月×日
新宿ピカデリーで「バーナデット ママは行方不明」(リチャード・リンクレーター監督)
これは面白かった。
観終わった後に少し心が軽く、明るくなるような映画。

天才建築家ともてはやされながらも挫折し、今は働いていない女性バーナデット(ケイト・ブランシェット)が主人公。
夫はマイクロソフトに勤めていて金に不自由はしないし、一人娘も良い子で、夫や娘との関係も良好。傍から見ると何も問題ないように見えるが、家族以外の人間(ママ友など)と上手くやっていくことができないし、それ以外にもなにかと思うようにいかない。
そんなストレスが最高潮に達した時、バーナデットは失踪する。

という話なのだが、さて、どういうふうに面白いのか、と説明しようとすると、これが難しい。
ケイト・ブランシェットの演技が素晴らしい、とか、心温まる家族愛の映画、とか、失った自分自身を見出す旅の話、とか言っても全然この映画の面白さを説明できたような気がしない。

あえて言うなら「なんか良く分からないけど面白い映画」という説明が一番しっくりくる。
すごく笑える、とかではなく(笑えるシーンもあるけれど)、思わずニヤッとしてしまう、というのともちょっと違って、思わずニヤッとしてしまうよりももう一歩手前、くらいの面白さがずーっとある感じ。
一家が住んでいる古い家の立地がもうなんか面白いし、ママ友たちの微妙にリアルな感じが面白いし、娘が車の中でいきなり尺八を吹き出すのが面白いし、FBI捜査官のあんまり熱のこもっていない様子が面白いし、急に出て来るローレンス・フィッシュバーンがもう面白いし、なんか良く分からないけれどもずっと面白い。

あと、
才能があって
金に不自由していなくて
家族にも恵まれている
という人間の悩み、を描いてそんなに嫌味に感じさせないのもスゴイ(まあ人によっては嫌味に感じるのかもしれないが)。

リチャード・リンクレーター監督は、悪くはないんだけど「ここが良い」っていう明確なポイントがないような、つかみどころのない監督、というイメージが有ったのだが、そのつかみどころがない感じそのままでつかみどころのない傑作を撮ったな、という気がする。

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