見出し画像

好きではないけれど気になる監督の映画2本「フォロウィング」と「プリシラ」

4月×日
新宿武蔵野館で「フォロウィング」(クリストファー・ノーラン監督)
「オッペンハイマー」は上映時間が馬鹿みたいに長いので遠慮させていただいて、代わりにこの映画を。
クリストファー・ノーラン監督の長編第一作。
1998年製作。
「オッペンハイマー」の公開を記念して緊急上映!ということらしい。
上映時間は約70分。
なんだクリストファー君、短い映画も撮れるんじゃないか。

主人公は作家志望の若い男。
適当な相手を選んではその人物を尾行するのが趣味(というか小説のネタ探しの人間観察みたいな感じ)の主人公が、ある日尾行していた男に気づかれて、逆にその男から話しかけられるところから話が始まる。
やがてその男に誘われるまま不思議な犯罪に手を染めていくことになるのだが・・・という感じの話。
ちょっとヒッチコック味もあるかな。
時系列があっちに行ったりこっちに行ったりしながら、次第に話の全体像が浮かび上がってくる、というのが見どころか。
この監督、初めっからこういうのが好きだったんだなあ、という感想。
時系列をいじくりまわす、というよりも、何を見せて何を見せないか、見せるとすればいつ見せるのか、という部分を「操作」して面白いものをつくる、というのがこの監督の考える映画作りなんだろう。

何を見せて何を見せないか、なんてことを考えもしないでダラダラとただ順番に撮っているようなツマラナイ映画も多いのだから、それに比べたらかなり優れていることに間違いはない。
ただ、「操作」という監督の手つきが見えすぎてしまうと逆に興ざめしてしまうところも。

この「フォロウィング」も、まだ20代の監督の第1作と考えれば立派なものだとは思うのだが、「色々考えたんだねー」と、ちょっと冷めた目で見てしまった。

4月×日
キノシネマ新宿で「プリシラ」(ソフィア・コッポラ監督)

エルビス・プレスリーの元妻として知られるプリシラ・プレスリーが、1959年、14歳の時にプレスリーに出会ってから1973年に別れるまでの日々をプリシラの視点から描く映画。プリシラを中心に描いているのでミュージシャンとしてのエルビスは全く描かれないし、二人の関係性が深く掘り下げられているとも思えない。

ファッションとかメイク、あるいは住んでいる家のインテリアとかには非常に気配りがされているんだろうな、というのは感じる。

ソフィア・コッポラという人の映画はたしか2本、見ていると思うのだが、それらの作品も、そして今作も、面白そうな題材を扱っているのだが、なにか肝心な部分を描いていないんじゃないか、という気がして非常に物足りない、という感想を持った。

ただそれが、「肝心な部分」を捉えきれていない、とか、上っ面しか描いていない、というのとはちょっと違うような気も。
多分ぼくの考える「肝心なこと」とこの監督が考える「肝心なこと」が全然違うんだろうな、と思う。

そういう意味で、面白いとは思わないのだが、自分とは全く異質な視点から描かれる映画には興味がないこともない・・・・・・面白くはないけどなー。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?