見出し画像

満天の曇り

5月にニュージーランドに1人旅に行った時のこと。
日本とは真逆の気候のため、あちらは冬になりたてくらいだった。
旅の目的は世界遺産になるかもと言われている星空を見るため。
場所はテカポ湖と呼ばれる小さな町。
当日は雨予報だったが、昼に晴れた。
1泊約17000円と決して安くないホテルで夜まで待機。
少し暗くなってきた頃、ホテルのカーテンを開け、窓から空を見た。

そこには星一つない曇り空が広がっていた。

ホテルからだと見にくい、外で見たら違うかもと信じ、
お湯を水筒に入れ、日本から持ってきたドリップコーヒー、テカポのスーパーで買ったクッキー、ナッツを袋に詰め込み、湖の近くの教会へ。

なぜ教会へ行ったかというと、
その教会と一緒に星を写すことでとても綺麗な写真が撮れると調べていたからだ。
そこまで入念に調べていたものが、無意味に変わりそうな気配を感じ、考えるの辞めた。

そして外に出て空を見上げた。
やはり何もない。

教会へ着き、コーヒーを淹れ、つまみを食べた。
しかし何も変わらない。
少し待ったら変わるかもしれないと思い、音楽を聴きながら待つことに。
選んだ曲は藤井風の「風よ」と「旅路」。
我ながらいい選曲だったと思う。
メロディーと歌詞が良い。

だが雨が降ってきた。


諦めてホテルに帰ろうとした、その時。
たった一つ光り輝く星を見つけた(本当に星かはわからないが星だと信じている)。


日本でも見られる星をわざわざニュージーランドまで見に来て、これだけしか見れなかったという悲しみ。
自分の境遇(頑張っても報われないかもしれないという不安)と重なった。

それとは反対に、たった一つ輝く星を自分だけ見ることができた嬉しさ。感動。

そんな複雑な思いを抱き、ホテルまでの道中、1人泣いた。
泣いたというより、なぜか涙が溢れた。

海外で日本人が1人泣いている(現地の人から見たら外国人の男性が泣いている)状況はなんとも言えないだろう。

ホテルの部屋まで誰とも会いたくないと思っていると、誰かに会うもんだ。
しかもT字路のようなところで会ったため、
「先にどうぞ」とジェスチャーで道を譲られた。

涙を隠し、ただ一言 「Thank you」
こんな時に会うとは運がないと思って泣けそうだったが、恥ずかしさで涙が枯れた。

そんな海外の夜もたまにはいい。

おわり



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?