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こちらがウチのスポンサー様です

コロナの候、いかがお過ごしでしょうか?

みなさん昨今テレワークでしょ?
家にずっと居てばっかりで鬱々としちゃいますね。

僕なんて仕事もご飯も一人きりで、YouTubeを見て寝る日々です。

どうにかして、鈍色の孤独感を紛らわせてテンション上げる方法はないもんかなあと思案していたんです。

ーこんな時は好きなものを見るしかねえやなー

モータースポーツってあるでしょ?車でレースするやつ。
僕あれ好きなんですよね。何しろ車両がカッコいいんですよ。

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画像出典:rally-X.net

車が並んでいるのなんて駐車場で毎日見てるのに、競技車両になるとなんでこんなにかっこいいスポーツチームっぽく見えるんでしょう?
普通のクルマと形が違う、とか、色が派手だ、とかいろいろ理由はあると思うんですが、

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車体に企業のロゴがたくさん書いてあるでしょ?
実はモータースポーツってスポンサーの重要度がかなり高くて、メインスポンサーが変わるとチームカラーまで変わったりします。

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過剰なまでのスポンサーロゴ、賑やかですよね。チームって感じしますよね。こんなにスポンサーがついてるって、どんな気分がするんでしょう?
 
ひたすらにインドアで孤独な生活、こんなふうに僕にもスポンサーがたくさんついていれば、モータースポーツみたいにチーム感を持ってコロナ時代を走り抜けられないもんですかね!?

よし、早速自分の生活にチームスポンサーをつけてみましょう。

しかしただのサラリーマンの僕にスポンサー企業があるわけがありません。

しかしです、ひょっとしたら企業に関わらず僕の精神的背景となっているものならスポンサーと呼んでいいかもしれません。
そして自分が日々何かに挑んでいることであれば、スポンサーはついてくれるかもしれません。

それならあります。

本と読書です。


ー好きな本を僕のスポンサーにしようー

モータースポーツと同じくらい読書が好きです。影響を受けた本ならたくさんあります。
好きな本の名前をたくさん並べて僕の読書チームのスポンサーになってもらいましょう。

Illustrator起動せよ!

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運送関連企業ふう
モータースポーツは車体や機材を運びながら世界中を転戦するので、運送関係の企業がよくスポンサーについています。僕のチームにも一つ欲しいですね。というわけで、

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運送と言えば移動!ということで、世界旅行者のバイブル、沢木耕太郎『深夜特急』をロジスティックス企業ふうに作ってみました。深夜感ある濃紺をベースに、沢木耕太郎のキャッチフレーズ「天涯」の文字を透かして重ねています。毎年クリスマスのJ-waveは眠い目をこすって毎年聞いています。飛光よ飛光よ!

通信関連企業ふう
最近のモータースポーツだと通信関係のロゴがよく付いています。ので、

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アルチュール・ランボーの詩集『地獄の季節』より、「永遠(Éternité)」をすっきりした通信関係企業をイメージしてデザインしました。

中原中也の訳がまたかっこいいんだ。
「また見付かつた、
何が、永遠が、
海と溶け合う太陽が。」

しびれる!というわけで海と溶け合う太陽をロゴにしました。

銀行・投資ファンドふう
スポンサーらしく、しっかりお金の匂いもさせておきましょう。金融業界も伝統的に、特にF1のスポンサーでは常連です。

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スティーブンキングの『恐怖の四季』より「スタンド・バイ・ミー」。原題は「The Body」ですが映画の方をイメージしてデザインしました。最初のTみたいなマークは、映画タイトル曲Ben E Kingの「Stand by Me」のイントロのウッドベースの音階を図案化したものです。あんなにキラキラした少年たちが毎日スーツをフツーにエリートサラリーマンとして働くこの皮肉よ!セリフ体のフォントと寒色を使うと一気に硬い職業っぽくなりますね。

観光局ふう
最近だと観光地の「うちに遊びに来てね」キャンペーンがスポンサーに入っています。そういうロゴが入るとチームとしても今っぽい感じがでますね。

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というわけで、村上春樹の『ランゲルハンス島の午後』を離島のリゾート観光地ふうにデザイン。この本が流行った時には、ほんとうにランゲルハンス島行きのツアーを予約しようとする人がJTBに頻出したそうな。島の形はもちろん膵臓。南国っぽくあしらったお花は新潮文庫版の表紙にある安西水丸イラストのモチーフです。

飲料メーカーふう
ジュースやアルコールなんかのメーカーもモータースポーツのスポンサーには頻出です。というわけで、

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ガルシア・マルケス『100年の孤独』、これを蒸留酒メーカーっぽく作ってみました。本ではなく焼酎のイメージに引っ張られてますね笑。
実はこの本、読むぞ読むぞと思いながらまだ読んでません笑。100年寝かせることになっちゃったりしてね。同じような状況の人も多いのでは?
スペイン語タイトルをモチーフにしたので、伝統あるラム酒の銘柄っぽくなりました!老舗ブランドがスポンサーにつくとチームの格がぐっと上がる気がします。

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そして、孔子『論語』をGOな感じのエナジードリンクふうに。
論語好きなんですよ。道徳の教科書みたいなこと言ってるかと思いきや、いきなり宇宙の核心みたいな形而上的なことを呟いてきたりするスリル。ロゴはそんなオリエンタルな英知とちょっと妖しい栄養飲料のイメージを融合。丸いデザインは論語が「円珠教」と呼ばれているところからインスパイアされました。
子曰く、エナジードリンクを飲むと元気になる也。

腕時計メーカーふう
コンマ何秒を争うモータースポーツ。腕時計のメーカーもスポンサーになっていがちです。表彰台に上る選手の腕にもスポンサー様のでっかい時計が輝いてたりしますね。
この手のブランドは商品は一個何百万円もするのに、肝心のロゴは10分で考えたようなさっぱりしたものが多いので、

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それをオマージュして5分で作成。レヴィ・ストロースの『悲しき熱帯』を高級腕時計ブランドふうに。Trajanのフォントを使うとどんなデザインでも自動的に高級そうになるなあ!ロゴは本の著者である20世紀最高の知性クロード・レヴィ・ストロースのイニシャルを腕時計と竜頭っぽく組み合わせました。

工作機械・パーツメーカーふう
モータースポーツのチームらしく、機械メーカーっぽいのも入れておきましょう。日本の老舗っぽく、日本の作品をモチーフに、

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『古事記』柳田國男『遠野物語』を老舗の工作機械メーカーっぽく作りました。トーノは東北の、古事記は奈良あたりが本社の企業でしょうねえ。
TOHNOのロゴは90年代終わりにリファインされたという設定で、ふたつのOは遠野に住むという赤い河童の目のイメージです。コジキは創業以来変わってない古いロゴです。

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ボテボテの競技自動車パーツメーカーっぽく、こんなのも作りました。
中島敦の『山月記』。作品中で重要な役割を持つ虎をモチーフに、自尊心の象徴としてその詩を朗々と響かせるマフラーメーカーをイメージしました。こういう、ちょっといなたいメーカーロゴが入るといろんなスポンサードを受けている愛されてるチームなんだなあという感じがします。

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こんな風に作ったロゴをシール用紙なりに印刷します。
フハハ、これで身の回りのあらゆるものを僕のチームグッズにすることができます。今回はアイロンプリントにしましょう。

さて、何を作ろうかな。

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やっぱ作るならこれでしょう。
家にいると本読むくらいしかやることないもんね。
kindleの時代、最近電車の中でカバーかけて本を読んでる人を見なくなっちゃいましたね。

あと何十年かしたら、これも黒電話の受話器カバーみたいに何の道具か分からなくなっちゃうかもね。

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おじいちゃんの若い頃はまだ読書が盛んでのう。

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本にかけるカバーなんてのがあってのう。
読書グランプリなんてのもあったんじゃよ

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じいちゃんはその大会に出たことがあるんじゃ。
スポンサーもたくさん付いてたもんじゃよ。

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できた。早速読書してみましょう。

ーバックボーンと一緒に本を読むことー

「読み終わった本を積み上げた高さから、人は世界を見渡すことができる」と聞いたことがあります。
だとしたら、このブックカバーのロゴは自分が今挑もうとしていることに対しこれだけの下積みと支援があることを誇示していると言えましょう。

このブックカバーで本を読んでいると、「厚くて難しい本でも頑張ろうか」って気分になります。ほんとに。
「孤独を紛らわせたい」というだけで作った自分のスポンサーですが、ロゴが付いてるだけで想像以上に「サポートされてる」感じがあります。これまで読んだ本を糧に、今まさに読書に挑んでいる気分です。

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単に企業名がたくさん書いてるだけでいいんなら、ビックカメラの紙袋でも同じようにスーパークールなチームに見えるはずじゃないですか。新聞の株式欄とかものすごくスポーティーに見えるはずじゃないですか。でもそうは見えないのはなぜでしょう?

並んだスポンサーロゴには金銭的な理由だけでなく「そのチームがどういう精神的構成を持って、集団として何をしようとしているのか」を示すばかりか、自慢して誇る機能があったのです。

同じように企業名が並んでいる家電量販店の紙袋とF1チームのユニフォーム。そこにある決定的な違いは「オレはこれだけの面々からパワーをもらって走ってるんでい」っていう文脈ある気概なんだと気づきました。

僕はこのスポンサー様たちとチームになって、これから文字の平野とアフターコロナの大地を走り抜けていきます。成績下位のチームはどんどんスポンサーが抜けていく、みたいなことにならないといいのですが。

さてと、つまんない仕事の本をこのカバーかけてやっつけちゃおう。やれやれ。

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