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【宇宙ラジオ】派生創作

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宇宙ラジオの派生創作まとめ。 詩とか短編、短歌俳句川柳など。
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記事一覧

【詩】Catch my voice

この声が届くのなら。 この声は届くのか? 幾度なく繰り返した言葉。あなたもどうやらもしかして? 星の灯りも届かない、歌ももう消えそうなこの東京のどこかの街で、願うように縋ってみる。 あの日を思い出す。 届いた知らない声。 届きたいと思った人。 届かないと諦めたり。 無数の星のように流れ落ちた声のすべては拾えなくても、きみの声は届いたよ。 だからそれだけは固く掴んだ。もう零さないように。 その名を呟いてみる。忘れたくなくて。 この声はどこに届くの? この声が届く人はいるの?

【小説】Mellow Yellow

セルフ二次創作(宇宙ラジオ) 赤は「愛情」。白は「純潔」。「上品」なピンクに、「不可能」、転じて「奇跡」の青。そんな中「嫉妬」の花言葉を持つ黄色のバラが、わたしにはいつも不憫に思えてならなかった。別に「友情」の言葉だってある。でも検索してみると、大体のサイトで「友情」は二番目で、先に出てくるのは決まって「嫉妬」の方なのだ。 「何でだろうね?」 「あたしに訊くな」 「でもさ、ヒマワリとか菜の花みたいな「黄色がメイン」って感じの花にはあんまり見ないんだよ。不公平じゃない?」 「

【短編】Starlight Fantasia

「宇宙ラジオ」EX:冬ラジオ (……あ) 地元の駅周りが、色とりどりのイルミネーションで輝いている。雪の結晶もあればトナカイを形作っているものもあった。もうそんな季節か。するとヒュウ、と冷たい風がぶつかってきて、思わずマフラーに口元を埋めた。みーちゃんがこの時期よくやる癖みたいなものだったのだけど、何故かわたしにまでうつってしまった。ちょっとあざとい感じがするから、自分でやるのは微妙に嫌だ。人がやるのはいいけれど。改めて見渡すと、木々が青いイルミネーションで飾られていた。そ

光となれ

宇宙ラジオEX。 みーちゃんの話。 星野友月。ほしのゆづき。名前に月と星の両方が入ってるなんて珍しいなと思った。それにしても友で「ゆ」とか、そういうの流行ってるんだろうか。心愛とか、咲希とか。変と言うほど変でもないけど、何かモヤる読みのやつ。まあどうでもいいけど。 最初の印象は「近寄らんとこ」だった。髪型姫カットって。マンガでしか見たことないやつだ。だけど当人は何というか、それ以外は普通の子っぽかった。だから余計にそのイタさが目立つ。いっそ全体的に痛々しかったら「そういうも

君について

「宇宙ラジオ」に出てくるあの子の話 「現実」ってイジワルだ。だって良いことをしても大概は報われない。昔どこかで聞いた「何とか無力」とかいう、あたし達に与えられた最善手。「諦めこそが教訓だ」それが現実というものだと学んだはずだった。現にその言葉に従い、幸せに生きてきたはずだった。実際、ほどよく幸せだったんだ。それなのに。 「そんなのデタラメだ」と言わんばかりの光を見た。その子は背も存在もちっぽけで、存在にいたってはあたしと同じか、それ以上に弱そうな子なのに、確実に「強く光る何

翻訳機

「宇宙ラジオ」のifSSが出てきたので取り敢えず記録。こういうのは後々資料集というか、紙の本にしてまとめたい。 星野が天神に出会う(対面する)話。 綺麗な人だった。 黒に近い紺色の長髪。 雪みたいに真っ白な肌。 長い睫毛。何より── 透き通った青い瞳。 空のような、海のような、 あるいはアクアマリンの ような、蒼。 でもその人は、何故か 悲しそうな顔をしていた。 今にもあの美しい瞳から 涙が溢れ出しそうで、 そうなったらどうしてか わたしまで悲しくなって しまいそうで。

【詩】Catch your voice

星に願いをかける 星に手を伸ばす 夢見がちなぼく 奇跡なんか信じちゃって 裏切りと敗北で刻んだ黒星を数えてはため息をつく ある日、君の声を聞いたよ 一等星でも何でもない、ちっぽけな君の声 君も奇跡を信じたの? ぼくが「奇跡」になれることって、ある? 星に願いをかけた 星に手を伸ばした その先にある、君の声を掴めたのなら! あてもなく歌を歌おう 神様もエデンもいらない 信じたぼくらの歌だけが、きっとこの世界を変える

【詩】Star prism

銀河の端っこでひとり ちっぽけな星を見ていた 太陽系にも入らない、一等星の輝きも持たない、特段珍しくもない星 そんな星でも、誰かの付けた名前があって 無いのならば僕が付ければいいのであって あるいは星自身が好きなように名乗ってもいいわけで 僕の見つめる星は無数の可能性に満ちている 僕の観測範囲外の星々にさえも、可能性は満ちている 今日もまた、人知れず輝く星を見つめている いつか名前を訊けるように いつか「はじめまして」を言えるまで

【短歌】宇宙ラジオ

街中で聞こえたメロディー駆け抜けて 天届く時うたはきみになる

【詩】アクアリウム

「宇宙ラジオ」のすーちゃんイメージの詩 窓を開けると気球がたくさん空へ飛んでいく所を見た。 下を見下ろしたらたくさんの傘で覆われていて、街が見えなくなっていた。 魚が気球の空を泳ぎ、鳥は傘の海を飛ぶ。 窓を閉めてテレビを点けた。ブラウン管の向こう、深海シティ。 あたしにもう少し勇気があったなら、あの傘の下にある街を目指して飛びこんでいた。 空も泳げないし海も飛べない。あたしはここにいるしかないの? 零した涙さえ空を舞う。 もう一度窓を開けた。涙の一雫が朝日に照らされ輝い

【詩】リスキーゲーム

「宇宙ラジオ」のみーちゃんイメージの詩 天秤の上、ぐらぐら 震度5、警報 教えてアストライア 重心はどこ?皿から落ちちゃう キャプテン・クックの海図は嘘だらけ 逃げ道見えない さらば青春 時計の針 崩れ出す積み木の塔 嫌いなピーマン しんでしまうにははやすぎる 見えない逃げ道飛び乗った まださ青春 トンネルの先、雪国なんてなくてもいい 力がほしい この道を照らせる光になってやる

【詩】Homesick

「宇宙ラジオ」の森城イメージの詩 自由が好き。何にも縛られたくない。でもそれと無秩序を履き違える人にだけはならないように。ベルトはゆるく締めておく。 毎日「よーい、どん」で走り出す。この疾走感と風が好き。 溢れ出すキラキラも、パーティーエンドの鐘の音も、すべて抱きしめて進んでく。ヤミヤミは今も怖いけど、いつかは君とも踊りたい! ゴールテープはいらない。まだ道の途中だから。 ありったけのスポットライト浴びて、ポインセチア振り舞いて。 うたうたいもネガティヴもさあおいで! 光よ

【詩】Reach For The Blossom

「宇宙ラジオ」の天神イメージの詩 嗚呼、今年も桜が散ってゆく 記憶みたいだね そうやって何もかも忘れて、来たるべき日まで死んだまま 白く落ちた花びらは触れる前に消えてしまう 世界はいつでも私の為に在る 故に過保護で、私の本当の望みは叶えてくれない 「あなたの為」などと言って そしていつまでも幸福を押し付け続ける 素晴らしいね? ネバーランドを着た世界は今日も優しく笑っている そこに星を見出せず、諦めそうになる それでも此処に、桜咲く季節が巡る限り、私は手を伸ばすのだろう こ

【詩】うつくしき

「宇宙ラジオ」の花峰イメージの詩 美しいものを好きになるのは、自分が美しくないからだと思う。 あるいは当然の心理か。 つまらないこととくだらないことばかり考える自分は、やはり美しくない。 だから玉に瑕があると心底安心する。「そんなもんか」と思えるから。 だけどその瑕さえ輝かせてくるから、美しい奴らは恐ろしい。 そして美しい奴らに憧れるのだが、その感情こそ何より美しくないと思う。 それなのに自分の名前ばかりがその象徴たる花の名前だから、笑ってしまう。 けれどそれを見て美しい奴