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ご先祖さまのルーツを巡る旅《水曜日のエッセイ by 逢志亭幸》

 
水曜日の記事は文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんが担当です。だいたい2ヶ月くらいで順番がまわってきます。
 

 
先日、韓国の済州島に行ってきました。
 
シンガーソングライターYOUさんといっしょに祖国を訪ねる旅企画でした。
 
YOUさんは全国を飛び回り、みんなに素敵なうたを届けています。彼の歌声は人々の魂にまでに優しく響き渡り、心が癒されます。一度会うとみんな大好きになってしまいます。今回のツアーもそんなYOUラブなメンバーが集まりました。
 
私は迷うことなく即決でこのツアーに参加を決めました。こういう時はきっと何か意味がありそうな。。。
 
国を超えお母さんのルーツである地に足を踏み入れたYOUさんは、韓国の港で懐かしいスープの匂いを感じました。お母さんが作ってくれるスープと同じ匂いだったそうです。

ここから奇跡の物語が始まりました。偶然がいくつも重なって訪れた資料館で祖父にそっくりな顔写真をみつけます。名前からしても血縁関係のある可能性が大です。
 
事情を説明すると資料館の方の配慮で、普段鍵がかかっている済州の英霊がたくさん眠っている場所に案内してくれました。じいちゃんに会いたかった……。思わずこみあげてくる気持ちを歌にして届けたYOUさん。その後ろ姿を見て私たちは涙が溢れました。
 
旅を終えると、祖国を訪れたYOUさんの後ろ姿が私の父と重なりました。
 
私の父は生前「死ぬ前に一度中国の青島に行きたい」とずっと言っていました。小さい時に住んでいたそうです。
 
父の未練を果たすために、私が青島に行くべきか?ずっと頭の片隅にありました。一歩踏み出せないでいたのは「べきか?」に違和感を感じていたからかもしれません。
 
父の母は青島で父の妹を産み、その二年後に亡くなりました。そのあと日本に戻ってきますが父親も若くして亡くなっています。

父はなぜそんなに青島に行きたかったのか。
 
やっと気づきました。そこにはほんの数年間だったけれど、父と母そして妹がいる幸せな家族の時間があったんだ!父はそこに戻りたかったんだ!!
 
行けば父が喜ぶか?
そうじゃない。
私が行きたい。父が両親と過ごしたその地に私も行ってみたい。
 
済州に行かなければずっと父の大切な想いに気づくことができなかったと思います。
 
お父さん!
次は青島行くよ。
一緒に行こうね!
 

[ライター:逢志亭幸]

◆あとがき
ヤスです。偶然。たまたま。まるで導かれるように出会いがあり、出来事が起こる。「そんな都合のいい小説みたいなこと、ありえないよ。ヤラセでしょ」と思うのは経験したことがない人だね。……あるんだよ。ゾクっとするような奇跡の重なりは、あるんだ。

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