最近、警察関係の話が続きます。
前回の盗難届とは打って変わって平穏な話なのでご心配なく。

いつものように工房で作業をしていると制服の警察官が2人入ってきた。
何も悪いことはしてないんだけどちょっとドキドキしてしまうのは
前回警察官が工房に来た時は、
オープン直後でまだガレージの駐車禁止マークがついたままで
もう車両出入りはないんだから駐車禁止マークを外しなさいと言われた時だったので。

ガレージから工房へ。
駐車禁止ゾーンを積載ゾーンに切り替えることに成功した話はこちら。↓

なので、今回もまたそんなどっきりがあるのかしらとちょっとドキドキ。

入ってきた警察官は2人とも女性。
女性の方が逆に怖かったりする。笑

ちなみにスペインはいわゆる「警察」にいろんな種類があってややこしい。
のでちょっとここで小話。

まずは国家警察。
国境をまたぐような事例はこちら。
内務省の管轄下にある警察です。
私たちの身近で関係があるのは
ビザ申請や居住証明書などの書類手続。外国人と国とのやりとり。
他にも色々犯罪に対する役目があるんだろうけど
密輸入のコントロールとか不法出入国とか金融関係ね。

次にGuardia Civilと言う軍隊の一部である警察。
ちなみにスペイン軍隊のトップはスペイン国王。
こちらは内務省の管轄下でもあると同時に防衛省の管轄下でもあります。
国家警察Policia Nacionalが県庁所在地や都市を中心に機能する一方で
Guardia Civilは山中や海岸線沖のコントロールなど隅々まで担当しています。
例えば山火事とか海岸沖での行方不明なんかだとGuardia Civilのヘリとかが出動します。

次に、カタルーニャ州独自の州警察というのもいて
こちらがMossos d'esquadra
先日の盗難届はこちらです。
基本的にはカタルーニャ州、または各市町村の公共の安全を保つのが役目ですが
主に、交通関係、飲酒運転のコントロールはこちらの役目。
それからデモがあったりした時に登場するのもこちら。
時によっては軍隊並みの装備で登場します。
ただこちらはカタルーニャの組織なので数年前にカタルーニャ独立派とスペインが対立した時はMossos vs Guardia civilみたいなことになりそうな勢いでした。
そこんとこデリケート。

そしてPolicia local・地元警察とでも言いましょうか。
こちらは各市町村が管轄する警察で、市内の交通コントロールや事件は彼らが担当します。
通学路の安全のための交通コントロールから落とし物まで
お祭りやイベントがあるときの通行止め作業とかも地元警察です。
揉め事だとか騒音を通報するのもこちらのPolicia Localになります。
一番実生活に身近な警察です。

そして最後にGuardia Urbana
こちらは先ほどのMossos d'esquadraが州レベルなのに対して
カタルーニャが独自にもっているPolicia Localレベルの市町村警察。
多分バルセロナ市くらいでしかみた事ないような気もするけど。

なんでこんなにややこしいねん、と思うんだけど
この事件、誰の管轄！？とかで揉めてそう。

さて、話を戻しまして
今回ウベコ工房がお迎えしたのはPolicia Local
前回の駐車禁止マークの件と同じです。

工房の前に車を停めて入ってきて
「何、このお店、入った事なかったわ〜。知らんかった〜。なんか素敵なものいっぱいある〜」

なんだ、普通にお客さんやん。

結構美人な長身金髪のお姉さん。どうやらもうベテランらしく、堂々としてらっしゃいます。
工房の色々を見回してアンティーク風のワインボトルケースをご購入いただきました。
するといつもガラス越しに挨拶している隣のおっちゃんが来て
「もし支払わなかったら俺に言えよ！うちの嫁じゃ！」
と、もう一人の若手お姉さんを紹介されました。
なんだ、この人ん家のお嫁さんかい。（息子の嫁、ね。）

どうやらお舅さんに用があって来たついでだったらしい。
そしてこちらのお姉さんもアンティークペイントのキッチン黒板買ってくれました。
「でもこれ署に担いで帰れないじゃん、お舅に預かってもらおうかしら」
そうよね、めちゃ勤務中だよね、この人たち。途中でラジオ鳴ってたし。

するとベテランがなんの苦もなく
「さっさと自分の車に積み替えればいいのよ。パトカーのトランクに入るでしょ」
さすがベテランの貫禄。怖いものなし。
「でもお舅さんの生ハムの脚一本丸ごともう積んであるのよ、ハムと黒板とちょっと目立つでしょ・・・」

生ハム取りに来てたんかいー！！笑

「私たちにも私生活ってもんがあるんだから」
と肩をすくめて飄々としているベテラン。

さすがスペイン女子警察。

かっこいいぜ。笑

こういうの、いちいち
「勤務中の警官が、けしからん！」
とか言っちゃう世の中もあると思うんだけど。
言い出したらキリがなさそうだし
そういうの許して許されて、ゆるゆるなスペインが私は好きです。
笑えます。
もちろんやっていいこととそうでないことの境目は必ずあるんだけど
こういうちっちゃい事変に目くじら立てる世の中より
笑ってやり過ごす世の中が
人を笑って許して自分も笑って許せる世の中が
多分、みんなもっと幸せ。

だから多分、私はスペインでの居心地がいいんだと思う。

たいがい、ゆるくてイラッとはするがね。笑