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ついに『落下の王国』が地上波放送されお前の情緒がおしまいになった。

【朗報】ついに2020.12.8に 超プレミアソフト『落下の王国』が日本テレビで地上波放送される。→されました。

よくきたな、お望月さんだよ。
お望月さんの生涯ベスト映画として燦燦と輝いている『落下の王国』という映画作品がある。長らく流通が停止しておりAMAZON等ではプレミア特価になっている埋もれた傑作のひとつだ。

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あらすじはこうだ。大けがを負い寝たきりのスタントマンの青年と骨折中の少女が出会い、青年は少女を力づけるために美しい風景のおとぎ話を語る。青年と少女は物語の世界を共に冒険するが青年にはある目的があった。

登場人物がフィクションにすがり生きる意味を見出していくという物語は枚挙にいとまがない。特に少年少女を主人公とした『パンズラビリンス』や『かいじゅうたちのいるところ』等は残酷な現実に向き合うための見る薬として有効だろう。

青年向けでは、2019年に多くの観客の心を折った『ジョーカー』が話題となった。フィクションに心をゆだねなければ現実の辛さに耐えられない。そんな現実が目の前に横たわっているという辛みがあった。

『落下の王国』は、少女と青年という組み合わせによって新たな価値観を生み出している。少女は生きるために、青年は絶望と決別をするために。正反対の方向だが二人はフィクションの力がなければ生きながらえることはできない共犯関係とも言うべき絆を強めていく。

舞台設定でユニークなのは、少女からの視点のため登場人物が全て病院の人々が演じているということだ。青年と少女は揃いのスーツを着込み、どこかで見た老人が主要キャストとして登場する。さらに語りによって物語の風景は変化していく。同じ場面の語り直しによって実際にシーンの色合いが変わるのはどこかユーモラスで信頼できない語り手を匂わせる。世界遺産でロケ撮影された美しい風景とフィクションの持つ強さを味わってほしい。

なお、私は『落下の王国』と向き合うマインドセットをするためにNETFLIXでこの2作品を見た。(実は意図的ではなかったんだけど同じ要素を持つ作品でした)

『トレジャーハンター・クミコ』

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絶望のどん底OLクミコは、映画「ファーゴ」に救いを求めていた。ファーゴで埋められた現金入りのトランクを掘り出すことで幸せになれるという信仰を持っていた。やがて会社のカードを横領したクミコは単身、アメリカへ渡米する。雪の中を歩むクミコが出会う人々とは。

『ゴジラ・ミニラ・カバラ オール怪獣大進撃』

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公害に蝕まれ犯罪率が増加した日本、いじめっ子に追われる両親共働きの少年はいつか見たゴジラ映画の世界へ逃避し、夢の中の怪獣島で遊んでいた。やがて少年はフィクションの世界で出会った怪獣ミニラから勇気をもらい現実世界でも勇気を発揮していく。

人の夢を笑うな。人はフィクションから勇気づけられてこそ、困難に立ち向かうことができる。そんな人々の笑顔をもたらす映画。そんな映画の作り手たちに深いリスペクトを捧げていきたい。そんな気持ちで見てほしい作品たちです。

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