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『新・片腕必殺剣』(1971年の映画)


不要不急に片腕必殺剣シリーズの三作目を見ました。

あらすじ

気鋭の双剣術家レイ・リは三節棍の侠客に破れ自ら右腕を切り落とし武術界から引退した。二年後、新たな双剣術家のフォン兄貴が彼の働く酒場を訪れ運命の出会いをする。

剣士と剣士の顔が近い

前作で武術を手放したジミーさんに代わり新たな主役が抜擢。二人の剣術家のコンビは若々しくて顔が良く満足感が高い。(ヒロインが二人に嫉妬する場面すらある!)

三節棍の侠客は実は悪い武術家であり自作自演で新進気鋭の武術家をハメては芽を摘み続けていた。フォン兄貴がその標的となり悪の武術会へ招待されることになり、レイはフォン兄貴に三節棍使いの技を警告する。

ここから物語は大きくドライブをし始める。男と男。片腕剣士と二刀流剣士のブロマンス物語が破局を迎え、惨殺されたフォン兄貴の仇を討つために片腕必殺剣が蘇るのである。

片手百人切り伝説

あの敗北から武術を捨て、みじめにバカにされても黙って耐え、ヒロインをかばいボコボコにされながらも封印してきた剣を抜く。橋に寄りかかり何度も「かたきを討つ」と繰り返すレイ・リの姿は痛ましく、悲壮な表情の片手百人切りを際立たせていく。(なお本邦にも「土屋惣蔵片手切り」伝説があるぞ)

「片腕必殺剣」が刀を捨てるための話であれば「新片腕必殺剣」は改めて刀を握る、再起ための物語であった。敵の根城へ殴り込み片手ながらも次々と剣士を切り裂いていくレイ・リ。ピザカッター使いも縄鞭使いも切り捨てあたり一面が死体の山(終盤の布石)となる。

ついに最終ボス戦。三節棍使いは老獪だがまっとうに強い。才能ある武術家を見抜き自らがその上を行くという格の高い老人だ。二刀流でも敵わないボスに対して、レイ・リが編み出したのは片腕であるがゆえに磨いた中空への刀の連続投擲であった(居酒屋店員としての日々の活躍がフラッシュバックする!!)地に突き刺さったままの雑兵の刀を次々と放り投げ空中の刀をキャッチしながら連続斬撃をお見舞いする奥義だ。

刀を握ったらお前を抱きしめられない、という悲痛な決意を時代遅れにする芸術的剣技がさく裂して舞台は幕を下ろす。

片腕に対する新たな解釈が加わり、また奥深い片腕ワールドとなったのであった。オススメ。

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