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俺たちは映画を舐めている。(そして舐めてた映画に完全敗北したい)

よく来たなお望月さんだよ。今日はカルマ調整とも異なるエンターテインメントへの付き合い方を紹介したい。ねじくれたエンタメオタクは自らを悪役にして「コテンパンに殴られる甘美な敗北」を望んでいるのだ。

最も面白い映画体験とはなにか

エンタメ作品で最も面白い状況といえば、タイムリミットサスペンス、なりすましコメディ、敵の敵は味方の呉越同舟ですが、近年のエンタメ業界で最も象徴的なのは「舐めてた相手が殺人マシーン」と言われる状況ではないかと思います。

物語の最古の形の一つであり、水戸黄門や遠山の金さん等のティピカル時代劇にも頻出するテーマです。温厚なシェフ温厚なホームセンター店員温厚な木こり低姿勢のジャッキー・チェン。舐めていた相手がホンモノの実力者であり次々と逆襲を受けていくタイプ作品は痛快で世間の暗い話題を忘れさせてスカッとジャパンさせてくれます。

作品のポイントは相手の舐め方です。ちょっと舐めた態度をとりすぐ謝罪するようでは作品が美味しく仕上がりません。ちょっと見下しつつ、想像力にかけた上から目線で、まあだいたいそんなもんですよね、みたいな態度でパクッと口に入れて「ケッ こちとら不良だよ。そんなお行儀のよいスイーツなんて……ぅンまあアい!!」となるのが理想の舐めプです。本当にありがとうございました。

つまり、舐めてた映画に打ちのめされる瞬間こそが最も面白い映画体験なのではないだろうか。

積極的に邦画とかを侮っていきたい

俺たちは「ケッ 邦画の大ヒット作だろ? 〇〇最高~!みたいなやつにはのせられないよ。こちとら映画不良だよ。そんなメジャー作品なんて、オ、オモシレエエエエ!!! なんでこんなコアな不幸話が大ヒットしてるの!?みたいな体験をしたい。当方に手の平を返す用意あり。

映画を見るときには監督の名前に落胆し、主演俳優のスキャンダルに肩を落とし、興行成績で見もしない映画を腐す。そんなことでよいのだろうか。

我々はもっと健全に先入観を抱えながら「やめとけやめとけ、調子に乗って何作もシリーズ出しやがって3で完結してたじゃねーか。何がそんなに受けてるんだか受けてないんだか。家族をテーマにしたいまいち鑑賞欲を感じないシリーズ……え?スピンオフに筋肉ハゲが大集合?俺の好ドンピシャじゃねーか!!おいおいなんで早くいってくれなかったの!!」くらいのスタンスで素直に手の平を返すのが健康に良い気がする。

当方に手の平を返す用意あり!!

というわけで舐めてた映画に打ちのめされて手の平を高速スピンで返した作品を紹介してみようと思います。(2020年鑑賞分)

※実際に舐めてたわけではなく、ジャンルに対して予想していた取れ高を大幅に上回る楽しさを提供された作品です。

舐めてたパロディ映画が大傑作『アタック・オブ・ザ・キラートマト』

舐めてた銭湯コメディがシビアな青春を描く大傑作『メランコリック』

舐めてた少女漫画がおっさんの再起と創作への情熱を描く大傑作『恋は雨上がりのように』

舐めてたパニックしし映画が呆れるほど人の心がない『HUNT/餌 ハント・エサ』

未来へ

なんだかまだまだ「ジャンルで敬遠していた」作品に隠された傑作が埋もれている気がします。特に低予算ホラー業界には数々の怪作珍作が埋もれていると聞きます。我々は白黒時代のクラシック作品をなめているのではないか。「ミュージカル?なんで台詞を歌にしてんの?」と考えているのではないだろうか。「酷評されてたけど普通におもしろいじゃん!」という体験は健康に良い。

あと、そんな感じで完全敗北している様子を見るのは最高の娯楽なので、ぜひ noteとかで感想を教えてください。

いじょうです。



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