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シンセの電源問題

電子音楽を始めてから、ハード機材にこれほどまで電源の数が必要なのかと思い知る。ミキサーやMIDIコントローラー、エフェクターをかませば更に必要と、気づけばコンセントが足りなくなる。タコ足配線もやりすぎればノイズの原因となるし、なかなかスッキリさせるには一苦労だ。

そこで、パワーサプライを導入し、電源周りの改善を図ってみた。


パワーサプライの選び方

パワーサプライとは、主にエレキギターのエフェクター用に使われている機器で、極端なことを言えばタコ足である。

種類は様々で、9Vのみの供給から18Vまで昇圧が可能なもの。供給可能のポート数も多岐にわたり、選ぶのが難しい。個人的に決め手となったポイントを上げるので、まずは参考にしてもらいたい。

  1. 総電流容量

  2. 昇圧の有無

  3. アイソレート

この3点が今回の決め手となった。次に各項目について説明をしていく。

総電流容量

これは、パワーサプライがフル稼働したときに使える電流の数値で、アンペアで表記される。

シンセはギターエフェクターよりも使用電流が大きいので、容量は大きい機器を選ばないと、電流が不足し起動しなくなってしまう。

自身の機材がどれだけの電流を消費するかを確認し、それに見合ったものを選べば問題はない。しかし、消費電流を公表していない機材もあるので、自分で予測をすることになるだろう。以下は自分なりの予測方法だ。


MIDIコントローラーやミキサー類は別電源から供給し、volca beats、volca keys、TD-3、NEUTRON、数種のエフェクターをパワーサプライから賄うことにする。まずは、各機材のアダプターを見ると電圧、電流、極性が表記されているのでそこから読み取ろう。

KORG純正のアダプターは1.7Aと電流容量が大きいが、volcaにはオーバースペックだ。なぜならvolca mixは3台のvolcaに電源供給が可能で、仕様は800mAとなっている。

800mAを割る3すれば一台あたりの必要な電流が導き出せる。そして、基本的に余裕を持たせた設計になるので、それよりも低い数値と考えても差し支えない。

800mA÷3=267mAだが、おそらくそこまで使わないので200mAと設定する。ぶっちゃけもっと低く見てもいいが、こっちはこっちで余裕を持たせよう。

TD-3に付いてきたアダプターには0.67mAとあるので、半分にして300mAと設定。NEUTRONは1Aなので同じく半分の500mA。そうすると、シンセの総使用電流は1200mAとなった。

次にエフェクターだが、スネア用に使っている歪みエフェクターはアナログなので20mAもいかない。出音の調整用として最近買ったzoomのMS70-CDRは500mA推奨となっている。Elctro-HarmonixのHoly Grailは調べると200mAとなっている。この2つも半分の数値にする。

エフェクターも合わせれば合計で1570mAとなり、1800mA程あれば動くと思われる。もし問題があれば、zoomだけ別電源にして1300mA程度に抑えよう。


こんな具合で消費電流の予測をたてた。ちなみに、この計算方法は適当なので保証は一切しない。

昇圧の有無

volcaとTD-3は9V仕様だが、NEUTRONは12Vで動くので、できれば昇圧可能なパワーサプライが良い。もちろんNEUTRONを別電源にすれば9Vのみでも構わないが、まずは理想を探そう。今後12Vで動くシンセを買った時にも使えたら便利だし。

また、シンセはギターエフェクターと違って消費電流が多い。ネットでパワーサプライの比較をしていた時に気づいたが、各ポートが300mA程度を出力する製品が多かった。

シンセを動かすには少々心もとないので、ポート自体の出力確認も怠るべからず。

アイソレート

個人的にこのアイソレートは重要なポイントだと思う。アイソレート電源は、各ポートが独立した電源回路を有しているタイプを指す。

アイソレートされている物は、各機材の影響を受けない作りになっているのでノイズに強い性質がある。

アイソレートされてないパワーサプライにデジタル機材とアナログ機材を混在させると、アナログ機材がデジタルノイズを拾ってしまうので、シンセプレイヤーには必須項目だろう。

アナログ機材オンリーなら良いかもしれないが、なかなか厳しい条件になってしまう。シンセはアナログで揃えても、エフェクターがデジタル製品を含んでしまっているので、個人的にアイソレート一択。

キミにきめた!

以上の条件を満たしたのはVITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 MKIIとなった。超ド定番ですまん。面白みゼロ。でも、やっぱこれなんだな〜と改めて思う。

総電流容量が2000mAで合計値を上回り昇圧可能。アイソレートされていて、各ポートの出力も十分。完璧じゃないか。

VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-12もポート数が多く魅力的だったが、ディスコンで手に入れにくいのと、各ポートの出力はVA-08の方が高い。確実に動かせるであろうVA-08の方が安心感がある。

あと、値段もお手頃なのが非常にありがいし、結構な数が出回ってるのでどこでも買える。デジマートで検索してたら、たまたま隣町の楽器屋に中古が出ていたので速攻で買いに行った。

パワーサプライはセンターマイナスでシンセはセンタープラスが主流。そのまま繋ぐとショートを起こし、機材にダメージを与えかねない。使う際には機材の極性を確認し、必要なら変換ケーブルを使おう。

今回で言うと、volcaとNEUTRONは極性が逆になっているので変換しなければならない。ちなみにvolcaはジャックのサイズが合わないので、ケーブルを自作した。

動作確認

いよいよ全てを繋ぎ、動かす最終確認の段階に入る。といっても、特にトラブルもなくパワーサプライで賄われている機材は問題なく動作した。

試しに30分ほど鳴らしたが落ちたりせず、電源をつけっぱなしで風呂に入っても元気に動いていた。

シンセ4台、エフェクター3台が一つの電源で賄えるのは、とても便利で気分が良い。使っている機材次第だが、とりあえず俺のシステムなら問題ない事が実験結果として得られた。

このシステムで動画を撮ったので、参考までに貼っておく(露骨な再生数稼ぎ)。


シンセ専用のスペースを確保できる人なら、電源の煩雑さも気にはならないだろうが、自分のデスクに都度都度セッティングしているので、いちいちアダプターを用意するのが面倒な時もあった。そいうった準備が減らせるだけでも気分が軽快になる。

その反面、デスク上でケーブルが暴れまわるという状況にはなってしまったが、アダプターの形状がコンセントの邪魔をするあのイライラもなくなり、精神衛生面でも効果的だった。

ゆくゆくはモバイルバッテリーを使ってポータブル化・・・は流石に目的からズレるのでやらないが、そういった可能性も十分にある。

まあ、volcaは電池駆動できるけどね。

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