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ローグライクは全ロストするのに面白い

ローグライクの核心「全ロスト」

ローグライクとは何か?ゲームジャンル論で定番の議論だ。ここでは深入りしないが、ローグライク的な面白さを考えるために簡単に触れておく。
ローグライク開発者の世界会議で提唱されたベルリン解釈をベースに議論されることが多そうだ。

最も中心的だと思うポイントが ゲームオーバーorクリアで全ロストする ことだ。
全ロストするので他の共通要素も必要になってくる、とも解釈できる。

  • アイテムを持ち越せない ← アイテム管理 (使いどころ選び)

  • 全ロスト回避のために熟考する ← ターン制

  • 同じダンジョンを同じ状況から何度もプレイ ← ダンジョン側にランダム要素

クリアできたなら全ロストしても嬉しい

ゲーム内で積み上げた成果が失われるのは辛い。全ロスト自体は嬉しいわけがない。全ロストには2パターンある。

  • ゲームオーバーで全ロスト

  • ゲームクリアで全ロスト (次回のプレイに引き継げない)

何もゲーム内に成果が残らないにもかかわらず、ゲームクリア (ダンジョン踏破) の達成感は格別だ。
同じ全ロストなのに、しかも全ロスト自体はマイナスだろうに、このギャップはどこからくるのか?

(そもそもゲームプレイによる「成果」とは何か? ということを考えはじめると、すべてのゲーム、すべての遊びは、その成果に実用性がないことに気づく。生産性がないからこそ「遊び」なのだから)

ローグライクでロストしないもの

ゲームオーバー/クリアに関係なくロストするのだから、嬉しさはゲームデータ内には由来しないのだろう。ゲームデータ外に秘密がある。
つまり、現実のプレイヤーが成長したことが嬉しく、それを実感できるのが面白いのだろう。

他ジャンルは、キャラクターを育成する
しかしローグライクは、自分を育成するのだ。

もちろん、ローグライク以外のジャンルにもプレイヤースキルがある。しかしローグライクではプレイヤースキルしか次回のプレイに持ち越せないという性質上、プレイヤースキル要因が際立って大きいのだ。

今までクリアできなかったダンジョンをクリアできたのなら、自分が成長したということに他ならない。それが嬉しいのだ。
(本当は幸運なダンジョン生成だったかもしれないが)

これだけ明確に自分の成長が可視化される体験は、なかなか現実では得られない。
しかも、成長に必要なトライ&エラーを飽きさせないような工夫 (ランダムな環境変化) がゲーム側に用意されている。こういったことが、ローグライクの魅力なのだと思う。

まとめ

ローグライクでは、常に全ロストするからこそ、自分の成長を実感しやすい。そこに魅力がある。

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