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スーパーに並んだ野菜たちに私が思うこと

『まるで工業製品みたい』
田舎に来て、地元の方や自分たちで作った野菜を多く食べるようになってから、スーパーに並んでいる野菜をみて、こう思うようになった。
均一な大きさと形、発色も鮮やかで、虫食いもなく、土が全く付いていない。しかも安い。
いかにも教科書に載っているような「The 野菜」という感じ。
でも違和感がどうしても湧く。土で育てた野菜なら、形が色などがそれぞれ違うし、虫食いがあっても当たり前。土もつく。
自分で野菜を作るようになって、地域の方に教えてもらったことがある。
『野菜の緑が濃すぎるのは肥料のやりすぎだよ』
以前は緑が鮮やかで濃いものが栄養たっぷりな野菜だと思っていた。でも実際には違っていたことは田舎で作った野菜食べるようになって、すぐに分かった。
スーパーの野菜はすぐに腐るのだ。買ってすぐに調理すればいいが、冷蔵庫に入れずに2,3日も置いておくとすぐに萎れて、色も悪くなる。それが当たり前だと思っていた。でも地域の方からもらった野菜は虫食いがあっても劣化するのがとても緩やかだ。鮮度の持ちが全然違う。
あまり知られていないが、日本で流通している野菜の99%は慣行栽培と呼ばれる作り方で作られている。簡単にいうと如何に少ない労力とお金で最大限の収穫が得られるように最適化された作り方だ。虫がついたり、発育不良が発生しないよう農薬や化学肥料、機械が当たり前のように使われる。水や肥料をたくさん与えて成長させるから、どんな痩せた土でも同じ大きさや形のものが大量に生産できる。世界的に見ると日本の99%という比率は異常な数値だ。
農薬や化学肥料が当たり前の農作物は環境破壊や健康への影響が懸念され、有機栽培への見直しがどんどん進んでいる。日本のスーパーで売られている野菜は含まれる農薬の量が欧州の基準の上限値を超えていることもあるそうだ。

でも野菜作りに拘っている地域の人は違う。
野菜の作り方からして全然違うのだ。
化学肥料はもちろん使わないし、有機の肥料や水でさえ最低限しか与えない。敢えて厳しい環境で育てることで植物本来が持つ、生命力を最大限に発揮するようにして育てているのだ。もちろん土作りも大切にする。
だから、変な形の野菜もできるし、色もスーパーのものよりは鮮やかではなかったりする。でも生きる力に溢れているから、収穫した後もとても元気だ。そのまま食べても安全で味が濃くてとても美味しい。
そんな野菜たちだから、動物や虫が寄ってくるのは仕方がない。見た目が少し不格好でも、虫が見向きもしない野菜よりは百億倍素敵だと思う。

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