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ようたの「起業思考プロセス」(その1)

こんにちは。ようた@英語コーチ&フィンテック(Fintech)アドバイザー& FP (Financial Planner)です。

このnoteでは、起業準備をしていることを何度か書いてきましたが、今回の記事では私が起業を考えた理由や起業準備に至るまでの思考プロセスなどについてまとめておきたいと思います。

起業かスタートアップか?

サラリーマンを辞めることを昔は脱サラ(脱サラリーマン)などと呼んでいた時代もありました。最近ではFIRE (Financial Independence Retire Early)という言葉が流行っていますが、私は起業=ライフワークになると心から思える(ワクワクする/世の中に貢献していることを感じられる)仕事に従事すること(見つけること)だと考えています。現在の外資系企業での仕事が楽しくない(報酬面ではむしろ十分な対価をもらっている)というわけではありませんが、一回限りの人生においてやはり最高にワクワクすることに時間を使いたい=起業という経験も悪くないのではないかと考えるようになりました。

ところで、起業とスタートアップという言葉は、同じ意味のように使われているところもありますが、私は以下のような違いがあると解釈して使い分けています。

起業…自分のビジネスを作ること。カフェや事務所など。1人や数人で回せるビジネス形態でスケールというような評価基準はあまりない。資金調達も自己資本や金融機関融資などでまかなう。

スタートアップ…数人から数十人規模でスタート。数千万円から数億円の(主に株式・エクイティによる)資金調達を行い、IPO(株式公開)や大企業によるM&Aなどを一つのマイルストーンとして考える。スケール、海外展開(グローバル)などというキーワードが好き。一つのカフェをどのようにスターバックスのような世界的な企業にするのか(どうしたらスタバよりも消費者に選ばれる企業になるのか)という視点が必要。

どちらが良い、悪いということではなく、単純にサラリーマン(会社勤め)ではなく独立して何かを自分で行うというのであればこれらの違いを理解しておくことも大切かと思います。

スケールすることがすべてか?

投資家やベンチャーキャピタル(VC)から資金調達(投資)する際、起業家はスタートアップイベントなどでピッチすることが一般的です。ピッチというのは自分の事業アイデア、プランなどをプレゼンすることなのですが、これらのプレゼンでは、主に以下のような視点の説明が求められます(私の理解の範囲です)

  1. ビジネス(サービス)の内容(最近ではプロダクトという表現を使うことが多いです)

  2. 自社プロダクトの優位性(既存のサービスではどのような顧客ニーズに応えられていないか)

  3. プロダクトがターゲットとする市場規模(どの程度の潜在顧客がいるのか、どの程度儲かるのか)

  4. 効果的にスケールする余地はあるのか(海外展開できるのか)

  5. どのようなメンバー(チーム)で行うのか(専門知識をもっている人が社内にいるか)

  6. どのくらいの資金調達が必要か

事業計画をしっかり作る、市場分析をしっかり行うということは、ビジネスを行う上でとても重要です。何も考えずに市場に飛び込んでも、顧客ニーズがない、競合は自社よりもより優れたサービスをすでに提供している、結果として自社サービスを誰も使ってくれない、、というようなことになりがちです。
一方で、この中で「スケールする余地があるのか」というのは、起業かスタートアップのどちらを目指したいのかで変わってくるかと考えています。これまで私が勤めていた大企業では、こんな会話がよく繰り広げられていました。TAM(Total Available Market/Total Addressable Market)はどのくらいあるのか?意味合いとしては(自社がアクセスしようと考える)市場規模はどのくらいあるのかだと理解しています。例えば、外食産業は24兆円の市場規模だから、フードデリバリー事業を新規で初めてシェアを10%獲得できれば2兆円の取扱いを期待できる、、、というような感じです。

市場規模が大きい、さらには国内だけではなく海外の市場もTAMとして考えることができるというのは、(主に投資家視点では)とてもいい(成長した時に大きなリターンが期待できる)のですが、私個人は、小さい市場であったとしても「相手(お客様)のことを考えて、お客様のニーズ(困っていること)を、丁寧に解決してあげる」サービスを起業したいと考えています。1億を100億にできなかったとしても、100人のひとから「ありがとう」と言ってもらえるサービスを作りたいのです。

(余談ですが、以前に私が勤めていたグローバル日系企業では、社長への新規事業などのプレゼンにおいて、世界地図の上を矢印が飛び交っている😀といったプレゼンが多くみられました。その矢印が何を意味しているかは多分誰もわからないのですが、なにか、グローバル感というか、世界一位をめざしている感をつたえることが大切でした。もちろん、すぐに世界一なんてなれるはずもありませんので、そのようなスケール感を示した上で、直近数年の「落とし所」をしっかり持っていた人が評価された気がします。

ちなみに私は、現実的な「落とし所や短期的な結果」を感じ取る能力のほうが、壮大に夢を語る能力(や世界一になる長期的な戦略を作る能力)よりもあるのではないかと自己分析しています)

MBAを目指した理由

「サラリーマンは麻薬だ」という表現を使う人もいますが、実際に私のサラリーマンにおけるベネフィットはとても恵まれています。ぱっと整理してみあると、1) 安定した収入、2) 健康保険の会社負担、3) 年金の会社負担、4) 各種福利厚生(生命保険や休業補償保険の負担、ジムやマッサージ代の支給)などを思いつきました。お金だけを考えたらサラリーマンでいることのほうが、生涯賃金は高いかもしれません。

しかし私は自分の過去をふと立ち止まって考えてみたのです。なんで(会社/サラリーマンを辞めて私費で)アメリカにMBA(米国経営大学院の修士号)を取りに行ったのか。それはやっぱり「経営」をしてみたい、「自分の判断でビジネスを動かしてみたい」という思いがあったのだと思い出しました。これらはもちろん現在の「会社」でも「サラリーマンとしての延長線」においてもできること(目指せること)だとは思うのですが、誰かの作った会社でというよりも自分自身でゼロから(自分のやり方で)作ってみたいという思いが強くなりました。

(私が現在働いている外資系企業は、本当に世界中から優秀な人が集まっており、メジャーリーガーのような人たちと毎日真剣勝負することに疲れた、日本のプロ野球レベルで少し余裕をもって仕事をしたいという理由もあります)

ワクワクする体験をしたい

以下のような内容の記事を読みました。

ワクワクを求めるのは人間の本質 
人をワクワクさせる要素は以下の4分類

1) 競争(スポーツやゲーム)
2) 運に任せた遊び(ギャンブル)
3) 模倣(ごっこあそび)
4) めまい(遊具やテーマパークのアトラクション)

Pivot ワクワクしない大企業を辞めて転職したい(小川仁志 著)

もしかすると起業というのはワクワクを求めての人間の本質的な動機なのかもしれません。ビジネスですのでもちろん競争相手がいるわけですし、成功するしない、人との出会いなどは運の要素もあると思います。成功している誰かの真似をしたり、改善したり、自分の個性を加えたり、自分の創造性を発揮できることにはもちろんワクワクします。(このnoteを書いて自分の創造性を発揮しているときももちろんワクワクします)また、会社の枠に縛られず、好きな時に、好きなところで、好きなことをできる可能性があることにも期待せずにはいられないのです。

ワクワクという要素への本質的な渇望は、もしかしたらサラリーマンでいることの安定と相反することなのかもしれません。安定と引き換えにワクワクすることへの気持ちを抑えているとしたら、それは将来の後悔につながるような気もします。

「会社という看板があるからできている仕事」ももちろんあるかもしれませんが、「会社という組織にいるから抑えられている翼」もあるのではないかと思うのです。

お金に対する不安

起業を考えた時、(サラリーマン時代と比べて)失うものの多さを知れば知るほど不安が増大しました。これはしょうがないことだと思います。安定した収入を始め、家族も含めた健康保険、厚生年金など会社員が優遇されている制度はたくさんあるのです。特に、子供がいる世帯では、将来の教育費やこどもの将来なども考えると簡単に決断できないことだと思います。これらの不安に対する一番の対応策は、一定水準の貯蓄であると考えています。(いくらくらいの貯蓄があればいいのか、、については別記事で考察する予定です)先立つものがなければなかなか踏み切れないですよね。

とはいうものの、失うもの視点だけで考えるのはあまりよくありません。私も20代、30代、40代と、「年収を上げたい」という視点をかなり強く持ちサラリーマン人生を過ごしてきました。結果だけ見ると、収入は800万、1200万、1700万。。。などと順調に増えてきたのですが、増えても満たされる部分はあまり多くありません。おそらく現在の生活水準であれば800万円以下であってもおそらく十分じゃないかなと思うのです。例えば、2000万が800万になると半分以下になってしまいます(おそらく起業初年度などはほぼゼロ)が、1200万失ったと考えるのではなく、800万で十分な生活ができてる、ここからまた増やしていけばいいと考える方が未来思考の考え方です。年収が下がって失うものは、プライドくらいで、これは失った方がいいものかもしれません。

(もちろん、生活基盤が不安定になったり、精神状態が不安定になったりするのであれば元も子もありませんので、この辺りは貯蓄や気持ちとのバランスは十分に検討してから起業するべきです。)

副業から始めるという選択肢

いまでは多くの会社が副業を認めていますので、副業から起業を始めて最低限の基盤を作るという選択肢もあるかと考えており、私はこの選択肢を選びました。
副業の最大のメリットは、サラリーマン時代の100という収入が起業することでいきなり0(ゼロ)になってスタートする必要がなく、例えば、50でも生活できると確認できる、であれば10(50の20%)のベースを確保してからサラリーマンを卒業するというような時間を稼ぐことができる(確認しながら少しずつ変化する動き方)ができることです。
また、税務署に個人事業主としての開業届を提出することで、その事業に必要な経費(事業所得の赤字)とサラリーマンの給与所得にかかる所得税などと相殺できますので、事業のためのパソコンの購入、名刺の作成、HPやチラシの作成、広告費などのマーケティング投資も行いやすくなります。(税理士さんや会計士さんへの相談費用ももちろん経費になります)

地方から始める選択肢

地方で起業するメリットもあるかと思います。まず、家賃などの生活費のうちの固定費を圧縮することができます。私も横浜から仙台に移住して、家賃(住宅ローン)を半額に削減することができました。
市場自体の大きさは東京などの首都圏には劣るかもしれませんが、(スタートアップではなく)起業であればまずは目の前のお客様を獲得することが大事ですので初期フェーズにおいてはあまり大きなハンデはないかと考えています。
さらに競争相手が少ない可能性もあります。東京は市場が大きい分、企業を考える人も多い、結果として競争も激しくなる、一方で仙台などの市場において、米国MBAを取得している、大手外資系企業での勤務経験がある、フィンテックの知見がある、FPの資格を持っているなどの掛け算をしていくと、実は地方においてはまだまだ競争優位がある=ブルーオーシャンがあるのではないかと思うのです。

次回以降のテーマ


次回以降の「起業の思考プロセス」では、100%起業を始めるために必要だと考えられる貯蓄額や、健康保険や年金などサラリーマン時代とは異なる制度について検証してみたいと思います。


よろしければ、こちらの記事もご覧ください。


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