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俺の日記(7) ヘアサロン大野体験談

先月、岸田総理御用達のヘアモードキクチ神田日銀通り店に行った記事を出したところ想定以上の反響を頂きました。

読んでいただいた皆様に感謝申し上げます。


ヘアモードキクチに岸田総理が散髪に行けば日経平均が下がるという株クラに蔓延する珍説に乗っかった形だが、これには別バージョンがあるのだ。

ずばり「ヘアサロン大野に岸田総理が散髪に行けば日経平均が上がる」というものだ。


東のキクチ、西の大野


文明開化と共に日本に伝来した西洋理容を吸収し、歴代の錚々たるVIPのトータルケアを担ってきた高級理髪店こそがヘアサロン大野(グループ)。

その中でも岸田総理が利用しているのはホテルニューオータニ内に構える『ヘアサロン大野 ホテルニューオータニ ザ・メイン店』。


首相官邸・公邸から近いこともあり、散髪難民になっていた岸田総理を憂いた秘書が推薦したのがこの店舗との事。


しかしキクチと比べて大野にはあまり行かない岸田総理。価格帯がネックと上記の記事には書いているが、たしかにいい値段をしている。
カットだけならともかく、色々とオプションをつけていると岸田総理といえど懐が痛いはずだ。


しかし、「キクチ・大野アノマリー」提唱者のりーだーさんに今春大野来店宣言をした手前行くしかないのである。


丁度、ホットペッパーで「初回利用限定 予約3日前からのヘアカットコース」なる6000円前後のクーポンを発見。
おっ!キクチの初回割より安いぞ!!

シェービングやヘッドスパなどはついていないシンプルセット。
大野の魅力を十二分に引き出せるか分からないが、とりあえず今回はこちらで予約をとってみる。
大野もキクチもホットペッパーから予約が出来るのでそう身構える必要はない。

いざ大野


御三家ホテル(帝国ホテル、ホテルオークラ、ニューオータニ)の内、唯一ビュッフェを食べたことがあるのがニューオータニだ。

職場の上司の名刺を持ってとある会合に出席したことがあるが、出てきたビュッフェを一通り食べて「そんなに抜群ってほどじゃないな」と勝手にガッカリしたことを思い出す。
食べたのは蒸し焼きそばとかその辺だったからそりゃ味変わらないだろと今更反省している。

最寄駅から大野入店までの間に一つ事件が起きたので、そこは後述する。

大野とキクチはまず佇まいが違った。

大野はニューオータニのアーケード街内にあるので、店舗型でどっしり構えているキクチとは違う。



店に入ると左手に待合室が見える。
真っすぐ奥に行くとサロンルームが広がっている。

キクチの待合室はロングシート一つだったが、大野は椅子が8脚ほどあった。
ほとんど予約で来る人だから店が混雑することはないだろうが、例えば家族で来て一人だけヘアカットする間待っておくというような使い方もできるかもしれない。
特に大野があるアーケード街の隣は披露宴会場がある。身だしなみにも対応ができるようなデザインにしている可能性も考えられる。

奥のサロンルームはまず左に1室、カーテンがついた部屋がある。
一瞬中を見るとかなりの広さがあった。車いす、もしくはVIP用のカスタムがされているのか?

右には1つシートがあり、その更に奥にもいくつかシートがあった。

すでに奥には何人かお客さんがいるようで、店員数名が対応している。
キクチは店長のワンオペ時に利用したので、大野の方がマンパワーを感じる。

シートに座らされると、地元の理髪店を思い出した。
サロン、というより昔ながらの「床屋」がゴージャスになった雰囲気。
庶民的な視界に安心する。
ただ、よくよく置いてあるボトルや小物を見るとやっぱりそこはええもん使ってる。

まず最初に行われるのがヘアサロン大野がウリにする「入念なカウンセリング」。
変な機械で髪の硬度とか測られるんか?と思っていたが、どんな髪型にするかとか何センチ切るかとか至極オーソドックスな問いかけなだけだった。
これから暑くなるしソフトモヒカンに戻すか、とも考えたがもう少しツーブロックで頑張らせてもらう。

もしかしてめっちゃオプションとかつけまくってるとより深いカウンセリングが受けられたのかもしれない。

この日の東京の気温は20度を超えていたため、汗が止まらない。
ホカホカのおしぼりを渡されて顔を拭くよう促される。ごめんなさい。

カウンセリングの後はプレシャンプー。
キクチとかその前に通っていたEARTHというサロンだと霧吹きじゃなくて一回シャンプーをしてくれたため大野も期待だ。

ところが残念ながらプレシャンプーはなく、霧吹きと少しのオイルを髪につけられてヘアカットが始まった。
これはちょっとがっかりしてしまった。

とはいっても、汗でかなり髪は濡れていたからカットするのに十分な水分量があったのかもしれない。
担当はややお年を召した人だったがキクチよりもトークをしてくる。

外の気温がどうこうとかヘアサロンにはどれくらいの頻度で行ってるかとか。
なにより担当が口にしていたのは「これだけ髪が硬かったらセット苦労するでしょ?」だった。
どこ行っても大体そう言われてきたので俺も慣れっこだが、あのヘアサロン大野でさえも苦戦してしまうとなると少しだけショックだ。
キクチでは言われなかったから硬い髪を持った人はキクチを使う方がいいのかもしれない。

トークという面では店から聞こえてくる話は流石大野といったところ。

奥の部屋ですでに髪を切られていた人はしきりにタワーマンション内の庭園の話をしていた。
実際住んでいる人なのか不動産関係の人なのかは不明だが、髪を切られながらも熱くタワマンを語っている姿は異様だ。
よっぽどなマニアじゃない限り、それなりに所得持っている人だろう。


不動産といえば未だにこのイメージ・・・・


前述したVIPルームのような所からも声が聞こえてくる。

「いや~素晴らしいお手前です!!」

今どきこんな褒め方する人いるんか!?

ヘアカットの腕前を称賛するその人をちらりと見てみると上品で紳士オーラが出ていた。
この紳士が京都人だったら激烈なクレームなのだが、アクセントを聞く限り関西人ではないようだ。

ヘアモードキクチは駅前にあったからサラリーマンや学生もカジュアルに来店していた。客層の違いを若干感じた。

カットはキクチと比べてきめ細やかだった。

キクチが雑、というわけではないのだがガッツリとカットしていくよりは毛先を徐々に切っていって全体的なバランスを整えていく系。

今回俺の髪の毛があまり伸びていなかったからそれくらいで済んだ、ことも影響しているかもしれない。

ただ、サイドを刈っていくときのバリカンの音がバリバリと結構すごい音を出していたのは覚えている。
実家近くで動いていた耕運機のような・・・・・。ますます地元の思い出が脳裏によみがえる。

カットが一通り終わると、まず油で髪を整える。

プレシャンプーの事もあるのでアフターシャンプーってのはこれの事か!?と身構えてしまったが、仕上がり具合を一度確認させるための作業らしい。これは初めてだった。
大野のトラディショナルな手法を垣間見た気がする。

「あまり短く切りすぎるとこのラインがこうなって不恰好だから長く残しました」

「ほぉ、なるほどですね(分かってない)」

上品な言葉もタワマンネタも使えない知的レベルの低さを恥ずかしく思いながらアフターシャンプーへ。

ここでは3種類の何かを使って洗ってくれた。シャンプーとトリートメントと…あとはなんだろう。

少しでもなにか違うことがあると「これが大野の本格的実力か」と勝手に解釈するが、他のサロンでも複数種類使ってアフターシャンプーしてたなと。

そんなわけでスペシャルなのか分からないが丁寧にシャンプーしてくれるとサッパリした気持ちになった。
なにせ大汗をかいていたのだ。いつもより気持ちがいい。

シャンプー後にドライヤーを当ててくれたのだが、ここが一番時間がかかったのかもしれない。
櫛を使いつつ、ドライヤーの温風で膨らみやすいサイドの髪を丁寧に整えてくれた。

「温風でガンガンに髪を乾かしてますか?」

「え、それ以外に乾かし方ってあるんですか?」

きょとんとしている俺に、担当はドライヤーの正しい(?)当て方を教えてくれた。

これが大野のやり方なのか分からないが、ドライヤーを丁寧に当てる事でサイドの膨らみはきっちし矯正する事ができた。
教えてくれたやり方は、おおよそ自分がやっているドライヤーのやり方とは違うものだった。
なぜ自分の髪がここまで膨らむのか、長年の疑問が解消された瞬間でもあった。

最後に首肩のマッサージだが、これはオーソドックス。
キクチは腰までグイグイ押してくれたが、大野だとそれはなかった。
フットマッサージなどのオプションもあるようなので、余力があればつけてもいいかもしれない。

入店したのは14時30分だったが、退店した時の時刻は16時を回っていた。

一人一人のヘアセットにしっかり時間をかける大野。5000円くらいでこの満足感だ。
この店の実力をフルで堪能するには、やはり1万以上は出すべきだと思う。

結局、この店に岸田総理が来ているのかという確認はできなかったが佇まいなどを見るとそりゃ来てもおかしくないよなあと思った。

岸田総理と会える!岸田総理と同じヘアサロンに通っている!と言いたいけど敷居は低い方がいいなあ・・・という人はやっぱり大野よりはキクチの方がいいのではないだろうか。
俺は大野の方がトータルで見て気にいったので、しばらく利用してみようと考えている。


余談 大野トラップ


ニューオータニ横に広がる弁慶濠

来店までの話である。

この日の東京は快晴。
気温は一気に20度を上回り、服装を間違えようものなら汗が止まらなくなる。
冬の期間寒々としていた弁慶濠も陽の光を浴びて水面がピカピカと輝いている。

ニューオータニには東京メトロ半蔵門線を使い永田町駅から歩いたのだがこれが結構距離がある。
以前は有楽町線永田町駅から向かったのでその時よりは近いがそれでも一筋縄ではいかなかった。


額に少し汗をかきつつ、ホテルニューオータニの敷地内に到達。

ニューオータニはザ・メイン、ガーデンタワー、ガーデンコートの3棟がある。
とりあえずメトロ側から近いガーデンタワーに入ることにした。ここからでもザ・メインに連絡通路を使って移動することができる。

ところが、ガーデンタワー玄関口にある案内板を見て驚いた。


これが伝説のヘアサロン大野!?


ガーデンタワーの3FLにヘアサロン大野が表記されている。
ザ・メイン店なのにガーデンタワーにあるのはちょっと不思議だ。
でも、ここまでデカデカと表記されているのだからここにあるのだろう。

ガーデンタワーを少し奥に進むとエレベーターホールがあり、その傍らにフロアマップが置いてあった。
たしかにガーデンタワーの3FLにヘアサロン大野がある。

意識高い店が並ぶ


マップをまじまじと見ていたらホテルマンが声をかけてきた。

「お客様、どちらに御用がありますでしょうか」

「ああ、あのヘアサロン大野って所に用事がありまして・・・」

するとホテルマンは爽やかな笑みと共にエレベーターで3FLのボタンを押すよう案内してくれた。

ここまで来ると俺もすっかりガーデンタワーにヘアサロン大野があるのだという気になってしまった。

3回も確認のチャンスがあり、3回とも同一フロアを指示しているのだ。
ザ・メインというのは多分ガーデンタワーとメインの境界みたいなところに店があるから便宜上そういう名乗り方をしているのだ、などと都合のいい解釈をしながら3FLで降りた。

フロアで目立つのがゴールデンスパニューオータニの入り口。どんなエグゼクティブ風呂がこの中にあるのか興味を引かれつつ散策をする。

タワービューティーサロンがあり、ガーデンコートショールームがあり、トイレがあり・・・・・・ヘアサロン大野はない。
そんなバカな!

更新されてないのか最近移転したのか分からないが、とにかく俺は3回の確認チャンスを全て外してガーデンタワーに迷い込んでしまったようなのだ。
最初からネットの表記を信じておけばよかったのだ。嗚呼!!

変に寄り道をしてしまったため、予約時間まで余裕がなくなってしまった。

大野はザ・メイン地下一階にあるアーケード街の一角にあるようだ。
急いでガーデンタワーとザ・メインの連絡通路を駆け抜け地下に降りる。

ところが入った所が悪い事にブライダルゾーンだった。

先を急ぐ俺の目の前に新郎新婦が立派に着飾り待機している姿が目に入った。
新たな門出を迎える二人の傍らをフーフーいいながら走るわけにもいかない。
少し待っていると披露宴の会場に向かったようだ。
入場曲が流れる中、俺は晴れやかな気持ちとは程遠いメンタルでアーケード街に歩を進めた。


こんどこそ本当のヘアサロン大野か!?



あった!!


遂に見つけたヘアサロン大野。しかし俺はすっかり大野の存在を疑ってしまっていた。

ONOってあるけどヘアサロン大野じゃなくて小野っていう別の店舗なんじゃないだろうかとか。
その疑念はヘアカット中も続いていて、本当にこの店で予約をとっているのか?飛び入りで立ち寄ってしまった形になって金めちゃくちゃとられたらどうしようなどと不安な感情があった。


ザ・メイン


メトロで永田町側から行ったのが混乱の原因だ。

ガーデンタワーに用事があるならメトロを使えばいいが、ザ・メインに立ち寄るならJR四ツ谷駅から降りるのが断然近い。

都内の各施設の行き方は大体知っていると自信を持っていたが、まさか今回こんなドタバタをしてしまうとは。
何事も油断や慢心は禁物だと思い知った一日だった。