退屈しのぎに丁度良いドキュメンタリー番組レビュー #1
※注意※
本項には虫の写真が使用されています
深夜にツイートした通り、現在Amazonプライムで配信中のドキュメンタリー番組
「キング・オブ・ペイン」が面白すぎるのでその紹介をしたいと思う。
番組の内容を至極端的にざっくり説明すると
「外人二人が有毒生物にちょっかいを出しまくり、どの毒が一番キツいかをその身を以て確かめてランク付けしていく」
という、いわば人体実験である。
彼ら二人は有毒生物のガイドブックの作成を目的として
ハチやサソリ、タランチュラなどの生息する場所へ東奔西走し
わざと刺されたり噛まれたりする。
そんなハートフルなドキュメンタリー番組である。
コンセプトがもうめちゃくちゃ面白い。
特筆すべきは、目当ての有毒生物を彼ら二人が自力で捕獲するところだ。
大の男二人がまるで夏休みの少年のように虫取り網や虫カゴを装備し、ノリノリで大自然を駆け回る様は、ある種のノスタルジーを感じさせる。
しかし彼らが採集するのはカッコ良いカブトムシや綺麗なチョウチョではない。
クッソデカいスズメバチやクッソ凶暴なタランチュラなのだ。
目当てのハチの巣を見つけウキウキする姿を見せるも、数分後には…
この悲壮感漂う表情である。
腕にタトゥーの入った屈強な白人男性二人が、たった数センチの虫ケラの毒で悶え苦しむ姿は、人間の儚さと自然界の恐ろしさを同時に味わわせてくれる。めちゃくちゃ面白い。
そしてこの番組を更に面白くしているのは、二人のストイックさだ。
彼らはとにかく毒を食らうために、体を張りまくるのだ。
目当てのサソリを捕獲する過程で別の種類のサソリを発見し
「こいつにも刺されてみよう」「比較対象は多いほど良い」
などと言いだしたり…
「軍隊アリは一匹だけに刺されても微妙だから」
と、約千匹の大群をわざわざ集めてそこに手を突っ込んだり…
防護服に身を包み、毒バチの巣からなんとか一匹を捕獲し
その翌日に結局刺されるというなんとも本末転倒な光景も見られる。
意味がわからない。
苦難の末ハチを手に入れた結果が…
Fワードが飛び交う地獄絵図である。
番組の構成は一話(三十分)の中で二種類~三種類の生物の攻撃を受け
毒と苦痛に悶絶し、その「痛み」を採点する、という流れである。
流石に時間を置いて行っているのだろうが、それを差し引いても二人の肉体と精神が強靭すぎる。
「Get wild and tough」という言葉はTM NETWORKではなく彼らのために存在する言葉ではないだろうかと錯覚する。
そしてもう一人、この番組を最高たらしめている存在がいる。
二人に同伴している医療班の彼だ。
有毒生物の攻撃を食らう二人を医者という立場から見守る彼の、心配とドン引きが入り混じった表情は、まさに視聴者の代弁者として最適であり、より没入感を得られる重要な存在となっている。
さて、ここまで「キング・オブ・ペイン」の魅力を語ってきたが
「こんなくだらねえ番組観ねぇよ」
「このレビュー読んで満足したわ」
「そもそも忙しくて観る時間がない」
という方もいるはずだ。
そんな方々に、二人のありがたい言葉を贈って本項を締めさせて頂く。
毒を持つ生き物が登場する私の小説もよろしくお願いします。
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