【読書メモ】『ファシリテーション・グラフィック[新版] 議論を「見える化」する技法』堀公俊 (著), 加藤彰 (著)
▶今回の書評本『ファシリテーション・グラフィック[新版] 議論を「見える化」する技法』
『ファシリテーション・グラフィック[新版] 議論を「見える化」する技法』
堀公俊 (著), 加藤彰 (著)
日本経済新聞出版
▶感想
ファシリテーション・グラフィック(FG)とは、話し合いの内容を、ホワイトボードや模造紙、パソコン画面などに文字や図形を使って分かりやすく表現して、「議論を見える化」する技法で、メンバーの力を引き出し、すぐれた問題解決に導くファシリテーターに欠かせないコアスキルです。
本書の著者のお二人は、ファシリテーション・グラフィックを20年以上にもわたって研究され、以下の3つを発見されたとのことです。
ファシリテーション・グラフィックはアート(芸術)ではなく、スキル(技術)である
さまざまな作品に触れ、真似たり参考にしたりしていくのが上達の近道である。
完成品の良し悪しだけでなく、何を考えながらどのように描くか、どのようにメンバーに働きかけるか、といった過程が極めて重要である
本書には、基礎的な内容から、技術的なスキル、応用、実践、熟達に至るまで、ファシリテーション・グラフィックのことならすべて書いてあるという『ファシグラの教科書』のような存在として手元に常に置いておき、練習して実践していくなかで、何度も参照しながら上達していくのに必須の一冊だと思いました。
▶読書メモ
第1章 基礎編:議論を描けば話し合いが変わる
空中戦を地上戦に変える
ファシリテーション・グラフィックの6つのメリット
プロセス共有
(1) 議論のポイントをわかりやすく
(2) ポイントに意識を集中
(3) 共通の記録として残す参加の促進
(4) 発言を定着させて安心感を与える
(5) 発言を発言者から切り離す
(6) 議論に広がりを与える
基本ステップ
話し合いを準備する
発言を記録する
ポイントを強調する
関係を明らかにする
フレームワークで構造化する
成果を確認する
第2章 技術編①:発言をコンパクトにまとめる
道具を使いこなす(ホワイトボード、3色のマーカー、模造紙、付箋、コピー用紙、スケッチブック、パソコン画面、スマホ、ガムテープ、養生テープ、磁石)
レイアウトを連想する(リスト型/チャート型/マンダラ型)
話し合いの段取りをする(論点とゴールを設定、プロセスを表現)
皆の発言を書いていく
意見を書き留めるサイクル=①発言をよく聞く→②復唱で確認する→③一所懸命描く→④仕草を見て確認する→⑤質問を投げかける
描き方に工夫を凝らす
文字の書き方(大きめ・太め・がっしり、漢字を大きめ、下のラインをそろえる、文字間隔、漢字を忘れたらカタカナで、上手でなくても丁寧に)
マーカーは3色(黒・赤・青)+1色(緑)
行頭記号、下線・囲み・吹き出し、線・矢印、絵・アイコン
第3章 技術編②:集めた意見を整理する
議論を構造化する
グループ化して整理する
2つのやり方がある
帰納的=枝から幹へ
演繹的=幹から枝へ
フレームワーク(切り口)を活用する
3C、SWOT、PPM、4P
行動変容(環境・意識・行動・成果)
ビジネス能力(知識/モチベーション/スキル(カッツモデル))
組織変革(戦略の改革/業務の改革/風土の改革)
キャリアデザイン(Will/Can/Must)
フレームワークを駆使する
ツリー型:MECE(ロジックツリー、特性要因図、マインドマップ)
サークル型(円交差図、円内包図、ピラミッドチャート、親和図)
フロー型(プロセスマップ、システムズ、連関図)
マトリクス型(Tチャート、ペイオフマトリクス、ポジショニングマップ、フォースフィールド分析)
デザインに磨きをかける
話し合いの流れが分かりやすい=リスト型
議論のモレやヌケが少ない=チャート型
自由奔放に発想が広がる=マンダラ型
第4章 応用編:状況に応じてやり方を変える
ツール(パワーポイント、エディター、Web会議システムのホワイトボード機能)
オンラインならではのテクニック
画面をできるだけ広く
パーツを前もって並べておく、予めフレームを用意しておく
1つのテキストボックスに1つの意見
削除・移動・複製を駆使する
とにかく速く書く
文章をコンパクトにする
アウトライン化する
グラフィック・レコーディング
第5章 実践編:色々な場面で実際に使う
定例の話し合いの場(課内会議、リスト型、ホワイトボード、羅列)
チームの意思決定と問題解決(オンライン)
自由奔放にアイデアを出し合う(企画会議、付箋、マンダラ型)
自由に意見を述べ合うワークショップ(ワークショップ、マンダラ型、模造紙)
思いや問題意識をすり合わせる(合宿、リスト型+マンダラ型、ホワイトボード、羅列・グループ化)
ちょっとした打合せ(商談、図解型、ノート)
意思統一が必要な場(部門横断会議・プロジェクト会議、チャート型)
進め方のレベル合わせの場(会議・研修、A4用紙、紙芝居)
第6章 熟達編:ファシリテーション・グラフィックを究めるために
要約力を高めるトレーニング
構造化力を高めるトレーニング
以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?