不可視の小さな生き物との出会い


痂状地衣類、2,3種付いている
モジゴケ(線状のものは子器)
子器(キノコのようなもので胞子を飛ばす)

今年2023年は地衣類の年ですね。これまで50うん年生きていて、視界に入っていながら全く知らなかった生き物。目の前のどこにでも生きていて誰も存在に気が付いていない。それが地衣類です。

たまたま、菌根菌に興味を持って、図書館で本を探しに行って、『となりの地衣類』(盛口満、通称ゲッチョ先生著)を手に取ったのが始まり。

それから、怒涛の展開。Facebookでたまたま見つけた日本の地衣類研究の第一人者山本好和先生の地衣類ネットワークスクールに入り、オンライン勉強会に参加して、採集した地衣類を山本先生に送って種の同定をしてもらうアマチュア地衣類ハンターになってしまった。たった1年以内の出来事。地衣類との出会いから随分経った気がするほど濃密な時間でした。

道を歩けば、街路樹の樹皮上にペタッと貼り付いている地衣類を、木にへばりついて観察して、マクロ撮影する、変なオジサンになっています。カバンにはマクロ撮影用のデジタルカメラとUVライト、採集道具、袋を常備し、いつでも観察・採集できる体制を構築。

そうそう地衣類とは何か?木の樹皮や石、壁、ガードレールなどに貼り付いている緑や白っぽいペンキのような汚れのようなもの(それだけではありませんが)、桜や梅の樹皮などに白っぽい葉のようなものがついていれば、地衣類のウメノキゴケかもしれません。地衣類は実は菌と藻類が共生している生き物なのです。菌が藻類に生きる場を与えて光合成してもらって、栄養をもらう。菌が藻類畑を作って農民のように生活しているとも言えるかもしれません。木に寄生しているわけではなく生活の場を間借りしているだけ。木に害はほぼ与えていません。

地衣類は、生物が陸に上がるときにも先駆者となったとも云われ、厳しい環境でも生きていけます。樹状の地衣類はトナカイの餌でもあります。我々の目の前に住んでいながら、視界に入りながら、これだけ存在を知られていない生き物はないのでは。

人間は、『目で見ていても見えていないものがある』ということに地衣類は気がつかせてくれました。人間の脳の、情報処理、世界認識の仕組みにも興味が繋がります。

初夢は、新種の地衣類を発見する夢を見たいものです。山本好和先生とゲッチョ先生に出会えたことを感謝しつつ地衣類の探求を続けたいですね。

地衣類ネットワーク
http://jlichen.com/

#今年のふり返り

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