植木意志
夏休み中の高校で発生する謎や事件を、引退した水泳部で受験生の女子高生が爽やかに推理する連作ミステリ。
藤沢・鎌倉を舞台に繰り広げられる、青春ミステリ。 クラスメイトの死の真相を突き止めるために、2人の男子高校生が独自に調査する。
短編小説よりも短い作品を掲載しています。
これまでに書いた自作の短編小説を載せています。
固定観念に囚われないように書いていきます。
水本小百合の自殺の動機を調べるなんて、あまりにも不謹慎だと僕は抗議した。 だが、立花は聞く耳を持たなかった。 それどころか、「草野くんも本当は知りたいんじゃないのか?」とまで言ってきた。 「それはないね」 僕は即座に否定した。「なあ、この間、通夜に行ったばかりじゃないか。非常識だと思わないのか? それとも、こんなことを記事のネタにするつもりか?」 「まさか」と言って、立花は苦笑した。「そんな週刊誌みたいな記事を書けば、すぐに僕らは学校での立場を失うだろうね。あくまで
カクヨムに『謎は氷みたいに解ける!』 という学園ミステリを投稿しています。 平成の夏、女子高校生の探偵が日常に潜む事件の謎を解き、 解決に導くという内容です。 作風は、「コミカルでライトなミステリ」を意識しました。 https://kakuyomu.jp/works/16817330659086956963
「聞いたかい? アメリカ議会が半世紀ぶりにUFOに関する公聴会を開いたらしい」 テーブルの向かい、タブロイド紙を広げながら彼がそう問いかけてきた。 私は一度、小さく首を縦に振った。 「もちろん。なんたって、我々に関係する出来事なんだからね」 彼は紙面から視線を外し、わたしを見た。不敵な笑みを浮かべて、こう言った。 「おおかた、アメリカ航空宇宙局(NASA)が調査に乗り出すだろうが、徒労に終わるだろうね」 「なぜそう思うんだい?」 私が率直に尋ねると、彼は大きく眉を吊
創作にまつわるエッセイ(イラストつき)です。 創作秘話、っていうとちょっと大袈裟だろうか。 ・とある短編ミステリ 以前noteに投稿した、 『夏の朝、推理するわたし』というタイトルの短編がある。 女子高校生が日常の些細な謎を解き明かすという、 学園を舞台にした青春ミステリもの。 以下、あらすじ (読み飛ばしてもらっても全く構いません) というストーリーなのだが、 この作品、実は20年ほど前に放送された ネスカフェのCMからかなりインスパイアされている。 冒頭、 主
創作大賞2023のミステリー小説部門にて 「九キロは長すぎる」が中間選考を通過しました。 読んでくださった方、スキを押してくださった方、 本当にありがとうございます。 記念に2人の主人公、草野と立花の草花コンビを イラストに描きました。
一カ月振りの更新。 こういうタイトルの記事を書いておきながら、 今月はあまりちゃんとしたイラストを描けなかった。 しかし、デッサンはほぼ毎日やっていた。 小湊鐵道の海士有木駅。 この夏、実際にここで降車した。 マクドナルド、ドライブスルー。 スケッチ風。 同じくマクドナルド、店内。 フィリピン発のハンバーガーチェーン、ジョリビー。 海水浴場がすぐ目の前の駅。田井ノ浜駅。 ここは来年あたりに是非、訪れたいと思う。 構想中の長編作品(青春ミ
夏っぽいイラストをわりと描きました。 今日を入れて今月はまだ2週間あるけれど、おそらくちゃんとしたイラストは状況的に来月まで描けないと思うので、このタイミングで総括することに。 *アプリだと少し解像度が下がっているみたいですが、 画像をタップして頂けると鮮明になります。 以前、投稿した短編ミステリ『夏の朝、推理する私』の冒頭のシーンをイラストに。 田舎の無人駅で、女子高生が列車に乗り遅れるという一幕。 Go forward(前に進め)という言葉が好きで、そ
創作大賞に投稿している「九キロは長すぎる」の見出し画像、 新しく描き直したイラスト↓に変更しようと思います。 実際に作中で主人公たちが江ノ島を訪れるシーンはないんですが、、、。 実在の店舗も、 マクドナルド→ゴールデンバーガー デニーズ→ディグジーズ に変更しようかと。
木曜日午前7時45分の会話
Go Forward!
青春ミステリ「九キロは長すぎる」、最終話まで投稿し終えました! 今日まで約20日間、毎日アップし続けてきたのですが、読んでくださり本当にありがとうございました。 初めて本格的に書いたミステリで拙い点もあると思うので、ご意見・ご感想頂けると幸いです。
江ノ島入り口の交差点で、水本玲奈がすばな通りに入っていくのを見届けた後、僕と立花は片瀬東浜海水浴場を訪れていた。 公衆トイレの前のコンクリートの階段に座り、穏やかな波の音を聞きながら、夕焼けに染まる相模湾を黙って見つめる。。風は無風だ。 まもなく立花が、幾許かの沈黙を破った。「それで草野くん、話ってなんだい?」 「僕の本心、気づいてるんだろ?」 僕が核心を突いた質問で返すと、今まで海の方向を向いていた立花が、素早くこちらに顔を振り向かせた。何度もギョロ目を瞬きさせて
明日、「九キロは長すぎる」の最終話をアップします。
「お二人には、感謝してもしきれません」 僕と立花の向かいに座る水本玲奈が、微笑を浮かべながら言った。 「いやあ、ただ運が良かっただけだよ」 「そう、竹内の撮った写真のおかげだ。あれに全て集約される」 「だね」 立花は笑って言う。「竹内さんには、何かちゃんとお礼しないと」 木曜日の放課後、僕と立花は百三十四号線沿いのディグジーズで水本玲奈と会っていた。今日は部活はない。 窓の外はまだ少し明るく、江ノ島が半分だけ覗いている。 柏木瑠美が殺人の容疑で逮捕され、芹沢透が
僕と立花が推論に推論を重ねていると、やがて信号が青に変わった。 ポケットに両手を入れたまま、立花と肩を並べて歩き出す。 横断歩道を渡り切ると、前方からやってくる歩行者の数が増え出した。 しばらく、二人とも黙って足を進める。 鉄橋の手前で角を右に曲がり、車一台分が通れるくらいの、人通りの少ない沿線を南進する。市街地を抜けると、僕たち以外に通行人の姿は見えなくなる。 まもなく、立花が口を開いた。「犯人とその動機は割り出せた。後は、手口だね」 「手口に関しても、芹沢
正門を出て、中学通り線沿いの歩道を、立花と並んで東に歩いていた。 日が傾き、街灯はすでに点灯している。街明かりが徐々に目立ち始める時間帯だ。 吹きつける二月の風の冷たさに、思わず身震いしそうになる。 コートのポケットに両手を入れながら、住宅やマンションが建ち並ぶ通りを進む。 歩きながら僕は、最初の推論を口にした。「——水本に、脅迫電話をかけていた人間の正体は、柏木先生だ」 「ああ、間違いなく柏木先生だよ」 立花も肯定する。「竹内さんの撮った写真が、芹沢と柏木先