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僕がテラスハウスを見続けている理由を言語化したらそれっぽくなった話

こんにちわうえむーです。
株式会社メルカリという会社でコミュニティチームのマネージャーをしています。

さて、先日Netflixから2019年最も見られた作品TOP10が発表され、全裸監督に次ぐ第2位に『テラスハウス:Tokyo 2019-2020』がランクインしました。

さらに、スタジオメンバーのYOUさんと山里亮太さんのインタビューで、さらに心を掴まれた人も多かったのではないでしょうか。

僕は育ちが茅ヶ崎ということもあり、湘南を舞台にスタートしたテラスハウスをシーズン1から最新のシーズンまでリアルタイムで視聴し続けている自称テラハファンです。

<テラハ遍歴>
・視聴の際は1回目は副音声字幕付き。2回目はなしで見る
・社内にテラハ部を作った
・初のハワイ旅行ではホテルでハワイ編を見直した
・偶然撮影に出くわしたことがある回数1回
・偶然も含めて見かけたことがある出演者合計10人

僕が考えるテラハの魅力を言語化してみたらなんだかそれっぽくなったので紹介します。家族や友人、彼氏彼女から「テラスハウスの何がいいの?」と詰め寄られた時によかったら使ってみてください。

1.ピープルマネジメントの教科書的な魅力

早速なに言っているんだっていうツッコミがありそうですが、本当にバカにできません。

テラハは単なる恋愛バラエティの枠に留まらず、登場人物の言動からさまざまな思考性を観察できて、異質性の受け入れ方を学ぶことができます。

例えばテラスハウスTokyo 2019-2020 第27話よりこんなシチュエーション(※ネタバレありなのでご注意ください)

ハスカップサワーを飲んで酔っ払い気味のパトスとビビ様のやりとりより

トパス:やっぱ愛されたことがないと人を愛することが難しいよ
ビビ様:自分のことを愛せないと人のことを愛するのは難しいと思う
トパス:愛されているってことが分からないと人に対して愛するってことがわからないよ
ビビ様:逆だよ逆だよ。自分の中から愛を生むんだよ
トパス:自分が今後どういう性格になるかは親の育て方とか環境に左右されるのよ
ビビ様:それって自分の人生を誰かが動かしているってことじゃん。自分でコントロールしていない。私はそうじゃない。私はそういうの信じないし、そういう人生を選びたくない。自分で決めたい。今起きていること全てが自分の責任だから。誰もあなたの人生をフィックスできないからね....(省略)

上記のやりとりが「アドラー心理学の目的論」だという見方がある。どういうことか解説しよう。

目的論とは:
未来にある目的によって現在の状況との因果関係を説明しようとする原因論と対になる考え方。人間の行動は過去の原因によって決められるのではなく、未来の目的によって決められるとする考え方。アドラー心理学における5つの基礎理論のうちの一つ

原因論とは:
過去の特定の出来事によって現在の状況との因果関係を説明しようとする考え方

上記を踏まえて、今回のやりとりに当てはめるとこうだ。

<状況>
過去に愛されてこなかったことで閉じこもっているトパス

<原因論的な視点>
過去に家族や友人に愛されてこなかったことのトラウマが原因で人を愛せないと主張

<目的論的な視点>
「愛されてこなかった可哀想な自分を見せることで周りの注目を集める」ことや「こんな可哀想な自分を愛してくれる彼女を作る」目的のために愛されてこなかったエピソードを利用している

ビビ様のアドバイスをまとめると、「過去を理由にネガティブな自分を見せて愛されることを待つのではなく、愛される自分の未来のために、自分から進んで愛される行動を起こしたほうがカッコイイよ」ということだ。

さらに会話の中で、コーチングの手法である「Iメッセージ」を使うことで、「あくまで自分だったらこう思うよ」と伝えているところが素晴らしい。

・私はヤダそういう人生
・そういうことを言わないで(私は)悲しいから

最終的には、トパスが毎朝やっているお皿洗いの行動を引き合いに出して、「人に優しくしてあげられているってことは愛することの行動の一つじゃん」と、トパス自身の主張と普段の行動との矛盾に気付かせると同時に、その行動を優しく承認している。

翌朝の食器洗いと掃除機がけの行為や愛華との会話からも、早速行動変容が起こっていることが分かる。ビビ様すごい。

これのやりとりはほんの一部ですが、行動心理学的にも学びになるケースワークが盛りだくさんで、ピープルマネジメントの教科書的な価値があると思っています。

2.一度ハマったら抜け出せないコンテンツ設計の魅力

マーケティング的な視点で見た時にも、視聴者が見続けてくれる仕組みが随所に盛り込まれていることが分かる。

①誰もが自分ごと化しやすい関心軸の設定

誰もが経験したことのある「恋愛」をテーマにしているため、自分ごと化しやすいことです。

自身の恋愛や社会経験と照らし合わせた時に感じる「共感や違和感を解釈する余地」があるため、自分の経験を基準に、登場人物一人一人のストーリーや恋愛観に共感したり、反対したりしやすい内容になっている。

コンテンツ自体がポジネガ含めて、シェアされやすい傾向にあり、このシェアのしやすさこそが、僕らにとっての介在価値になっているのだと思う。

②コアファンとフォロワー設計の上手さ

以下の図は佐渡島庸平さんのWe ARE LONLY,BUT NOT ALONEで解説されている『コルクの熱狂マップ』を参考に解釈し、テラスハウス好きな人たちの構図を勝手に表現したものです。それぞれ解説します。

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Committer:コアなテラスハウスファンであり、伝道役を担うアンバサダー群。スタジオメンバーやたまに出演するゲスト(八村塁くんとか斎藤さん)など。テラハ好きな理由を自分なりに言語化できる群。
Acceptor:公式のテラスハウスアカウントの発信を「シェア」したり、出演者のSNSに応援「コメント」をしたり、イベントに参加したりする。また、テラハ好きな他の誰かの発信を積極的に支援する群。
Liker:特にSNS上のエンゲージメントが強い群で、公式のテラスハウスアカウントや出演者のSNS発信に対して「いいね」を送り共感や憧れを示す群。違和感を指摘したりバカにしたい派も含まれる。
User:積極行動はしないフォロワー。いわゆるROM専群。

スタジオメンバーが一番のコアファンとして象徴的に存在することで、テラスハウス好きな6人の出演者を中心としたCommitterと、番組の視聴者を中心にしたAcceptor以下のフォロワーによるゆるいテラハコミュニティが最初から形成されている構図になる。

後述するが、最近ではフォロワー群から熱狂的なファンが独自のコンテンツを発信するCommitterへの転換も続々と起こっている。

これらの現象はスタジオメンバーによる副音声の解説による効果が高く、テラスハウスを見た後に自分なりの副音声的な考察をシェアする文化が生まれていることにある。

考察や感想を発信する行為自体がコンテンツになるのだ。

③ファン向けコンテンツの豊富さ

とにかくテラスハウスをより好きになるコンテンツが豊富に用意されています。

山チャンネル
公式が提供しているYoutube動画の中で唯一コメントができる。コメント欄ではファン同士のやり取りが発生し、ゆるいオンライコミュニティが形成されていることがわかります。コメント量の多さもエグい(笑)。
何度も放送を見返しているという山ちゃんの漫談力は圧巻で、毎週の放送とセットで楽しみにしているテラハファンは僕だけじゃないはず。

未公開映像の限定公開
各回の未公開映像をテラスハウスの公式チャネルが配信している。本放送には載らない、結構リアルなシーンが盛り込まれていたり、新住人のインタビューや卒業インタビューもあり、次回放送のつなぎとしても存分に楽しめる。例えば、最近のシーズンでは急に卒業した翔平のインタビューがよくて、誤解されることもあったけれど、ブレない軸を持っていてカッコイイし、卒業後に好きになった。

公式SNSアカウントによる発信
公式Twitter,Facebook,Instagramそれぞれで情報発信が行われており、約1分の動画予告が上手い。例えば以下のツイートは住人6人全員の名前を用いながら、最新話を早く見たい欲求を書き立てている。たまにネタバレさせないでほしいというコメントも見かけるが、毎回考えて運用している中の人本当に尊敬します(やりたい)

住人によるSNS発信
自分の「推し住人」をフォローし、公式では見れないよりプライベートな一面をインスタのストーリーやPostから垣間見ることができる。
また、テラスハウス出演を機にSNSを始めるメンバーもいて、出演者にとっては自分のファンと繋がることができる手段としての側面がある。

このように、ファンを楽しませる多角的なコンテンツ提供によって、効果的にテラハファンを創出しているのです。

④おあずけ回による渇望感の醸成

Netflixで配信されているテラハは4週に1回配信おやすみ回がある。

この事実は意外と知られていないようで「今週の配信ないのかよ〜!」と落胆している人をたまに見かけるが、意外とこの肩透かしが渇望感を醸成させていて「早く続きが見たい〜!」という沼にハマっていく状況に一役買っていると思う。

視聴者に適度な休憩を設定することが、熱量を長続きさせる秘訣なのかもしれません。

⑤熱狂的なテラハファンによる株分けコンテンツの存在

テラハファンによる株分けコンテンツが続々と登場しています。

中でも、個人的にスタジオゲスト出演して欲しいランキング1位の宇野常寛さんはなかなかの変態です。

自身の持っているオンラインサロンメンバーで軽井沢篇のロケ地巡りをしていたり、「PLANET HOUSE」と称して、Youtubeチャネルで毎回独自の鋭い考察をしていたりします。まだ見たことない人はぜひ見て欲しいです。

また、VoiceメディアVoicy内のチャンネルでも、パーソナリティの内田あゆみさんが毎週火曜日の配信をおやほぐハウスと題して、感想や考察をシェアしています。

音声メディアを通じてリスナーと感想をシェアし合う構図は新しいアンバサダーのあり方だと思う。

そのほかにも、note内で毎週のテラスハウスを考察している人がいたり、Spotifyでプレイリストを作っている人がいたり、Twitterで感想をシェアしている人たちがたくさんいます。

このように、熱量の高いテラハファンの発信が、ファン同士のクローズドな交流の場となっていたり、彼らの発信によって、潜在層や見込み層に自分ごと化させるきっかけを生み出しています。

以上、まさかテラスハウスのことで5000文字近く書けるとは思わなかったですが、もっとテラハ仲間を増やしたいので、このnoteを最後まで読んでくれた人はこっそり教えてください。




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