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【お天気コラム】梅雨のメカニズム

こんにちは ウエノ(@ueno_k)です。

毎週月曜日更新のお天気コラム。
今週は1日遅れで更新が火曜日になってしまいました。

まずは先週の天気を振り返ってみましょう。

1.先週の天気 〜暑さは落ち着く〜

先週もこの時期にしては暑い日が多かったものの、記録的な暑さに見舞われた前週と比べたらいくらかマシな気温でした。
天気は周期的に変わり、どちらかと言えば雲が優勢な一週間でした。

2.今週の天気 〜梅雨は、すぐそこまで〜

今週も天気は周期的に変わります。週の後半には西から梅雨前線が北上してきそうなので、九州北部も早ければ今週末に梅雨入りする可能性があります。

3.お天気コラム ~梅雨のメカニズム~

今週のお天気コラムでは、梅雨が発生するメカニズムについてです。

日本列島付近の天気は、主に4つの気団の影響を受けて複雑に変わります。日本に四季があるのは、この気団の勢力が季節によって強くなったり弱くなったりするためです。

気団とは温度・湿度が似ている高気圧の大きな塊のことで、主に日本に影響を与えているのは「揚子江気団」「小笠原気団」「オホーツク気団」「シベリア気団」の4つの気団です。

4つの気団は、温度と湿度の状態がそれぞれ異なります。

揚子江気団・・・温暖乾燥
小笠原気団・・・温暖湿潤
オホーツク気団・低温湿潤
シベリア気団・・低温乾燥

3月から5月にかけての日本列島は、揚子江気団に強い影響を受けています。中国大陸で発生した乾いた空気を持つ高気圧が移動性となって、日本列島へ次々とやってくるので、この時期は乾燥した五月晴れの日が続きます。

夏が近づいてくると、太平洋上にある小笠原気団が勢力を強めて日本列島付近へ張り出してきます。

同時期に北海道の東にあるオホーツク気団も勢力が強まります。理由は偏西風によるものなのですが、この話はまた後日に。

ふたつの気団の勢力が増した結果、揚子江気団は大陸の北へ押しやられ、日本列島はオホーツク気団と小笠原気団のせめぎ合いの場と化します。

さて、温暖湿潤の小笠原気団と冷温湿潤のオホーツク気団がぶつかったらどうなるでしょう?

暖かい空気と冷たい空気がぶつかると、暖かい空気は冷たい空気に押し上げられ上昇気流が生まれます。湿った空気が上空で冷やされると、雲が出来て雨になります。

もうおわかりですね。

梅雨時の日本付近では、冷たいオホーツク海気団に暖かい小笠原気団が押し上げられ雨が降ります。

梅雨前線は、冷たい空気と温かい空気の境界線なのです。

ただし、冷たい空気と温かい空気がぶつかったぐらいでは、梅雨末期に見らる大雨は降りません。

梅雨末期の大雨には、もうひとつの気団が影響しています。

梅雨末期になると小笠原気団の勢力がオホーツク海気団よりも強くなり、梅雨前線はちょうど日本列島を東西に横切るような形になることがあります。

この時、小笠原気団が作る太平洋高気圧の周囲を回って、南西から高温多湿の空気が大量に日本列島に流れ込みます。

高温多湿の空気を送り込んでいるのは、日本のはるか南、インド洋から東南アジア付近に広がる熱帯モンスーン気団です。

暖かく湿った空気は、連続して発達した積乱雲を作り、短時間に集中して大雨を降らせます。

昨年の広島・岡山や、一昨年の朝倉市で甚大な被害を発生させた記録的な大雨は、このメカニズムで発生しました。

梅雨末期の大雨は予測が難しく、ほんの少し離れただけで雨の降り方が違ったりします。数十年に一度の大雨の恐れがある時には「大雨特別警報」が発表されます。

特別警報が発表された場合は雨の降り方に十分注意してください。特に山沿いや低地にいる場合は、早めの避難が必要です。









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