ライクアローリングストーン

転がる石のようになったらどうだい?

こう語りかけてくるボブ・ディランが好きです。フォークロックの名曲。そして、ロックに大きな影響を与えたと言われるこの曲を知ったのは、とある映画でした。

「アイデン&ティティ」という映画を知っていますか?identityを二つに分けた、みうらじゅんさんの造語なんですが、アイデンとティティは、誰かとじゃなきゃ成り立たないってこと。アイデンは毎日ティティの事を考えた。僕からすると、アイデンティティ(自己同一性)は自己だけでは成り立たないんだってことをみうらさんは思ってたんだって。

ディランに憧れ、ディランを目指すからこそ苦悩する。アイデンティティを求める人間の姿のお話。ゴイステと銀杏を聴いて育った僕たちにとって、ほんとうに大きな存在である峯田さんが、主演の中島を演じていた。それだけで心が躍ったのを覚えています(今は役者としても有名になられた。凄い才能の持ち主。天才。色即ぜねれいしょんもぜひ)。映画は役者さんの演技もクドカンさんの脚本も最高なんだけど、エンディングに流れてくるディランの歌声は心から今でも消えない。

転がる石のように、誰かに忘れられる気分はどんなものだろう。誰にも相手にされなくなって。好きの反対は嫌いじゃなくて無関心だっていうけど、嫌いでも関心を持たれている方がいいんだなって。好きでも嫌いでも、それは誰かが居て成り立つ。アイデンティティがアイデン&ティティである意味はまさしくそれなんだ。風来坊、流れ者。ローリングストーンズがロックである理由は、その意味から始まってる。クラシックをはじめとする「規定された」音楽への反逆精神・反骨心から起こったロック・ムーブメント。でも、その心も、誰かが居て成り立つ。

ディランのフォークにこの精神が込められている。そして、それはロックだけじゃなくて、僕ら人間の生き方に通ずるものなんです。誰からも忘れ去られる。そんな怖いことありますか?結局は誰かとの関わり(繋がり)の中で生きている。

だからこそ、誰かと関わることから逃げちゃいけない。転がる石であっても、周りに同じように転がる石の存在を忘れちゃいけない。方向も大きさも違うけど、時々はすれ違う。その瞬間、一期一会を大切に。

ライクアローリングストーン。転がり続ける僕たちはどこへ行くのでしょうか。行き先は分からないけど、その工程に生まれるぶつかりや共感が世界を救うのでしょう。

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