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【テュル活】『星の王子さま』から入るテュルク諸語(3):カラカルパク語への小さな未練を思い出す

昨日手に入れた、『星の王子さま』の訳本。ここ最近で一気に5言語追加しました(お金こそ多少飛んだがね!)。先日のカライム語、カラチャイ・バルカル語に続いてカラカルパク語サハ語、そしてトルコ語アンテプ方言

さて、みなさんはカラカルパク語という言語の名前をお聞きになったことはあるでしょうか。

そう、これも知る人ぞ知るテュルク諸語のひとつで、カラカルパクスタン共和国という、ウズベキスタンの国内にある自治共和国に居住するカラカルパクの人々を中心に話されています。

カラカルパクスタンは上記の地図の部分。カラが「黒」、カルパクが「帽子」という意味を表すというのは、ウズベク語を多少かじると理解できたりします(昔は黒い帽子をかぶっていた人々ということだったのかな、等々想像できたりなどもするわけですね。このように、名称だけで立ち止まってしまうのが我々テュル活民のアレなところではございます)。

地図を見る限りは、カスピ海も遠くないところにありますね(実際は鬼のように遠いと思いますけど)。いずれにせよ、カラカルパク語話者のほとんどはこのウズベクの国内にある自治共和国に住んでいるということですが、言語系統的にはカザフ語やノガイ語などが近いとされているようです。

文字はこんな感じだそうで。キリル文字、ラテン文字を併用している感じでしょうか。このあたり、ウズベキスタンの言語政策とも連動しているでしょうね。きっと。たぶん。知らんけど。

テュルク諸語のグループとしては、カザフ語やノガイ語はキプチャク(北西)語群で、ウズベク語はチャガタイ(南西)語群に属するので、その微妙な立ち位置というのがうっすらと想像できたりもします。

ちなみに、トルコ語やアゼルバイジャン語はオグズ(南西)語群に属しています。テュルク諸語にも近縁関係のトポロジーがあるのですねえ。

たしかにYouTubueなどでぱっと聴いた雰囲気では、カザフ語と似た特徴(といっても、カザフ語は全然詳しくないけどね!)があるかなという気はします。

たとえば、疑問文で使われる文末の助詞には、ma, me, ba, be, pa, peの6種類があるそうで(この辺、トルコ語とはシステムが似ているようでちょっと違う感があります)…

(1) (Uygur 2010:163. グロス、和訳、および太字部分は筆者による)
a. al-dı-m ma
入手する-過去-私 疑問
「私は手に入れたか?」
b. al-dı-ñ ba
入手する-過去-君 疑問
「君は手に入れたか?」
c. al-dı-q pa
入手する-過去-私たち 疑問
「私たちは手に入れたか?」

この、前の子音に従って疑問の助詞の子音部分まで変化するというのは、トルコ語やアゼルバイジャン語などをやっている身からすると、いかにもカザフ語やキルギス語にありそう、という感じがするんですよね。

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せっかくなのでカラカルパク語、少し聴いてみましょう。いくつかの数詞、あいさつのフレーズなどを聴いてみるとこんな感じだそうで…

カラカルパクスタン、ウズベク語をやっていたころ行こうと思えば行けたなあ…少なくとも一度は行っておくべきでしたかねえ。

カラカルパクスタンの首都はヌクス(Nukus, カラカルパク語で表記するとNo'kis)。街の様子をリポートしてしてくれているビデオがありました。

英語でナレートしてくれているのがいいですね。英語の勉強にもなりましょう。

Davud Akhundzadaさんというこの方は、旅行のブロガー(Vlogger)ということなのですか。YouTubeはしばしば、こういう言語で検索をかけるといろいろ出てきてくれるからありがたいっすねえ…。

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というわけで、カラカルパク語です。
文法書は引用したとおり、トルコ語で書かれたものではありますが1冊持ってますのよね(ナイス、昔のワイ👍)。あとは辞書があればなあ。

辞書あるんだ!辞書ほしい!!(いつもの禁断症状)

昔ウズベク語をやっていたころ、かつまだウズベキスタンに行く機会が持てたころ。毎回似たようなことを言っていますが、一度くらい、ヌクス(カラカルパクスタンの首都)を訪れておけばよかったですね…(涙)

そしてカラカルパク語のレアリアやらなんやらを収集しておくべきでした。(カラカルパク語の訳本を入手したのに、なぜか後悔しているという…)

それにしても、まず言語に触れてしまって、そのあとでその地域に行きたくなる現象、ありますよね。この現象、何か名前ついていましたっけ?

参照文献
Uygur, Ceyhun Vedat (2010) Karakalpak Türkçesi Grameri. İstanbul: Kriter.
また本記事では、フリー素材の罫線を以下のクリエイターの方のページからダウンロードして使わせていただきました。ありがとうございます。


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