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「近いはずの人/小野寺史宜」を読んで感じたこと

夫婦三部作の二作目です。
読み終わってすぐは、どんよりな気分。微妙…でした。
しばらく寝かせてて、感想を書こうと思い起こしてみたら、なるほど〜!とわかってきました。

「近いはずの人」


結婚して4年目、33歳の北野俊英はタクシー転落事故で妻を失いました。
不思議なことに、妻は友達と旅行に行ったはずなのに一人でタクシーに乗っていたのです。
哀しみと困惑の俊英は毎晩500mlビールを4〜5本飲みながら妻の携帯電話のロックを解除しようと0000から順に打ち込んでいます。痛々しいです。
5ヶ月目でとうとうロックが解除されると、残されたメールで男性と一泊旅行だったんだとわかるんです。更に、痛々しいです。

この男性は誰なのかを探るため、妻の周りの人に妻の話しを聞いていくうちに、自分が知らなかった妻が見えてきて、近いはずと思ってた妻は遠い人だったと気づきます。知らなかったんじゃなくて知ろうとしていなかったんだと気づいたんです。

ここですね!小野寺さんが描きたかったのは!

夫婦はなんでも言葉で伝えることが大切です。ありがとうやごめんなさいは勿論、嫌だと思うことも、こうして欲しいということも。伝え合って理解しあっていって日々繋がりを深めていかなきゃなんです。元々は他人なんだから。

読み終わった時にめんどくさい嫌な女だなと思った絵美が少し可哀想になってきました。
感情を爆発させても一般論で返されるし、表面的にしか関わってくれない夫との間柄で感じる寂しさを埋めるために身近な人に頼ったのだろうな。良い悪いで区別すると悪いんだけど、身近な男性に頼ってるのは夫に気づいて欲しいSOSだったのかもとか。

因みに、俊英が住むのはみつばのベイサイドコート808号室です。私の頭の中のみつばの住民票が着々と増えてます。

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