016. もしも一年後、この世にいないとしたら。 / 清水研
人生100年時代とか言うが、その弊害としてまだまだ自分の人生の時間があると思いがち。そのためいつかは誰しもおとずれる「死」が遠いもの、現実味がないものとして考えられることが多い。
この本は国立がん研究センター中央病院で精神腫瘍課長の医師である清水研Dr.が書いているもので、主にがん患者に対してカウンセリングを行なっている方であり、命が限られているがん患者がどう「死」について考え、どう生きているかを実際の患者さんとの関係で感じたことを述べている。
人には悩みと向き合う力(レジリエンス)を持っていて、あらゆる"喪失"体験の中で苦しみや怒り、悲しみなどのさまざまな負の感情で溢れてしまうことがある。しかしその負の感情も自分を守るために必要なもの、心を癒す働きがあって、現実を受け入れるために必要なプロセスでもある。
そんな時、「頼ってはいけない」「不安にさせてはならない」など全てを "must" で考え心に蓋をするのではなく、「頼りたい」「悲しい」という自分の本当の気持ちを大切にして "want" で考えてみる。
どちらに進んだらいいかわからなくなった時、"want" は自分にとっての道標になる。このことはがん患者だけでなく、誰にも当てはまること。
「死」について恐れたり避けたりするのではなく、旅の終着点と考えることでその一度きりの人生をどう生きたいか。
印象に残った部分として、以下の文章がある。
私もそんなふうに周りにいてくれる人を大切にしていきたいと思った。
まとめ
普段は「死」とはどこかぼんやりとしか見えていない、むしろ見ていないかもしれない。私は病院で働いていたこともあり、実際に患者さんの「死」というものを目の当たりしてきて、その家族の人たちの想いを感じたこともある。この本をにあったように、限りある命について "人生の旅のフィナーレ" と考えることができるといいなと思った。
タイトル:もしも一年後、この世にいないとしたら。
著者:清水研
出版社:文響社
発売日:2019/10/11
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