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is a Secret


「神様に愛された少女」

 概念的にはそんな風に呼ばれているんだわ。きっと。私には、わからないけど。
 本当に“神様”という存在がいるのだとしたら、私はそれを肯定する。この憎しみが、確かにここに存在しているのだから。
 
 貴方に愛されたばっかりに、私の望みはひとつだって手に入らないのよ。この世でいちばん偉い場所(ところ)にいる貴方の瞳に映る間は、私は「神様に愛された少女」でいなくてはいけなかった。滑稽よね。私が「私」であることを、“貴方”が許さないでいるだなんて。

 私の心は、日に日に黒く染まっていくような感覚があるのに、私の存在は、貴方から愛されるたびに透明になっていく。この世界に「神様に愛された少女」がいるという事実だけが「私」を生かしていた。

 だから「早く死んでしまえ」と、心の底から願うのよ。


 (それがどちらの“死”なのかは秘密。)


ー七つの大罪の物語ー
著者:善の創造主

【前世サラ】
神様に愛された少女。透明。
この世の幸福を押し付けられて生きる少女。
神様の善意に背くことは許されない。
哀しみの感情を知らない。