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それでも私が専門性を持つことを薦める理由

バックオフィス地位向上委員会(仮)のukakです。会員はまだいません。
私は以前から、バックオフィスとしてサバイブするには、専門性を持つことを勧めています。

ちなみに昨年も以下のようなnoteを書いています。

このブログについて簡潔に述べると、

スタートアップのひとりバックオフィスは、多岐にわたる職務を担当しますが、組織成長に伴い高度なスキルが求められるようになります。
その際、以下の2つの選択肢があります。
1.赤魔導士のままで居続ける⇒専門性を持たない
2.高レベルのスキルが身に付くジョブにチェンジ⇒専門性を持つ
ラスボス戦まで活躍するには高スキルジョブにジョブチェンジしましょう。

という内容です。

「とはいえ、ひとつの職務に専念するスペシャリストよりも、いろんな業務に関わる方が飽きなくてエキサイティングで性に合ってるんですよね」
という方も多いと思います。
実は私もそういうタイプです。
それでもなお、私は専門性を持つことを人に勧めています。
その理由をこのnoteで説明してみたいと思います。


「器用貧乏」と「ゼネラリスト」は混同されがち

スタートアップのひとりバックオフィスは、経理・総務・労務・採用・広報・法務・情シス等、複数の役割を担っている場合が多く見られます。
これは、それぞれの職域の業務に人ひとりの人員を割り当てるほどの業務量がないためです。
その結果、得てして器用貧乏な人材になりやすくなります。
そしてその場合、器用貧乏を「ゼネラリスト」と表現していることがあります。
しかし、私の解釈では、「器用貧乏」と「ゼネラリスト」は同義語ではなく、意味が違います。


考察:器用貧乏とゼネラリストの違い

器用貧乏とは、

何事も一応はうまくできるために一事に徹底できず、かえって大成しないこと。また、そのような人。(小学館デジタル大辞泉)

一方、ゼネラリストとは、

いろいろな分野の知識や能力をもっている人。(小学館デジタル大辞泉)

先程参考に挙げたnoteブログ「スタートアップのひとりバックオフィスは赤魔導士から飛躍せよ」でも引用しましたが、以前以下のようなPost(tweet)をしました。

これをアレンジして、私が考える器用貧乏とゼネラリストの違いを図で表してみます。

器用貧乏AさんとゼネラリストBさんは、複数の職域を担っている点は同じです。
しかし、それぞれの職域で習得した専門性において、あまり高くないのが器用貧乏、そこそこに高いのがゼネラリスト、というのが私の認識です。
器用貧乏Aさんの場合、目の前の課題に取り組み、その周辺の知識を習得します。
そのままの状態で次に降ってきた課題に関心が移るのであれば、取り組んだ課題ごとにバラバラの知識と経験が積み上っていきます。
しかし、そこで留まらず、携わった課題に関連した分野に集中し、知識を体系的に学べば、ある程度の専門性が身につきます。
それを複数の職域で行えば、ゼネラリストBさんの出来上がりです。

こちらは、保持している特定分野の知識の範囲の違いを表した図です。
前述のように、器用貧乏Aさんは、業務で課題に遭遇する都度、その課題の解決法を調べて実行するので、その範囲での知識を習得します。
そのため、特定分野で習得する知識は、その課題の周辺のみの知識だけになります。
ゼネラリストBさんは、課題の遭遇に関わらず、その分野の全部と言わないまでも、一定の範囲の体系的知識を習得するため、面状で知識の範囲を増やしていきます。

体系的な知識の恩恵とはどのようなものか、以下に例を示してみます。
器用貧乏Aさんは、壁にぶつかるごとに課題を解決する手法について調べて対応します。
しかし、ゼネラリストBさんは、一定の知識を持っているので、最初から課題を解決する手法を知っている、もしくはある程度解決法に当りが付けられます。
また、ゼネラリストBさんが、体系的知識があるために課題と認識している問題について、器用貧乏Aさんはそもそも解決すべき課題だと分かっていない場合があります。


スペシャリストとの関係性

あえて専門分野を特定しないままのキャリアパスを考えると、

  1. 広範囲の業務分野で専門知識があまり必要のない雑多な仕事(器用貧乏)をするか

  2. マネジメント的な立場として各分野のスペシャリストをまとめる(ゼネラリスト)か

このように、歳を重ねるごとに厳しくも二分していくのが現実ではないでしょうか。
もし後者の道を行くには、スペシャリストとの関係性が重要になってきます。

人と人とが円滑なコミュニケーションを図るには、共通言語がカギになります。
共通言語を利用する者同士だと、コミュニケーションがスムーズに進みます。
専門家が自分の得意とする分野の中のある特定のテーマについて誰かに説明する時、その分野の前提知識や専門用語をより多く知っている人に説明する方が、そうでない人よりフラストレーションを抱かずにすみます。
つまり、器用貧乏Aさんより、ゼネラリストBさんに対応する方が苦労を感じないはずです。

専門性を持つことをなぜ勧めるのか

「ひとつの職域に専念するスペシャリストよりも、いろんな業務に関わる方が飽きなくてエキサイティングで性に合ってるんですよね」
そういう方に、それでも私が専門性を獲得することを勧めるのはなぜか。

器用貧乏タイプでも、マネジメント職を立派に務めている人もいるじゃないか、と思われる方もいらっしゃるでしょう。
そういう方は確かに存在します。
しかし、そのような方は、円滑なコミュニケーションを可能にする前提知識や共通言語の欠如を覆せる程の圧倒的人間力、包容力、リーダーシップなどがあるのではないでしょうか。
いわゆるオトン・オカン力、アニキ・アネゴ力とでも言いましょうか。
そして、残念ながら大抵の人はそういうものを持ち合わせていません。
私だって持っていません。
ですので、キャリアアップという観点において、そういう人が器用貧乏で居続けることはあまりお勧めしません。

では、いろんな業務に関わりたければスペシャリストではなくゼネラリストを目指せばいいのではないか?
確かにそうですが、これには一つの大きなデメリットがあります。
それは、スペシャリストほどではないとしても、それなりに各分野の体系的知識を習得しなければならない点です。
つまり、勉強をたくさんしなければならないのです。大変です
複数分野の知識習得なので、必要な勉強の総量はスペシャリストを大きく上回るかもしれません。それはもうシンドイです
それならまだ専門性獲得を目指した方が難易度は高くないのではないでしょうか。
それに、専門性を持つために勉強を始めても、その途中でゼネラリストに転向することは十分に可能です。
いえ、ゼネラリストへの道は、途中まではスペシャリストと同じ道程かもしれません。
ですので、一旦は専門性の獲得を目指してみてはいかがでしょうか。


「適性」という原石を磨け

大分前のことになりますが、以下のようなPost(tweet)をしました。

適性リッチはバックオフィスに重要な才能ですが、「適性あり」の状態のままで満足して放置せず、キャリアパスの開拓のため、バックオフィスとしてサバイブするため、その適性を磨いてどんどん利用していきましょう。

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