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「リズと青い鳥」に学ぶ演出技法【パーツで見せる感情】

映画において、顔以外の手や足などのパーツを接写し、その演技でキャラクターの感情を表現する演出技法が存在します。

リズと青い鳥ではこの手法が多用されており、特にストレスが掛かったときに印象的に使われています。

腕と足を伸ばす
みぞれに才能があることが発覚し音大に誘われたことを知った希美は、自分が音大に誘われていないこと、能力がみぞれのほうが上であることに対して嫉妬と悔しさの混ざった感情を抱くようになります。

みぞれを見ながら話をする際に、希美は机の端に対して腕と足を突っ張った状態で伸ばし、力を入れ緊張した状態で話をします。嫉妬心とそれを認められない自分の弱さを押さえ込みたいため、突っ張った状態になっています。

引用元:リズと青い鳥

腕と足を伸ばす = 緊張、嫉妬、それを認められない自分の弱さをなんとかしたい

鉛筆を突き立てる
みぞれが音大を受験することを聞いた優子は「すごいじゃん」と素直に祝福します。しかしみぞれは「希美が同じ音大を受けるから」受験すると答えます。

このとき優子は鉛筆を紙につきたて、ほんとにそれでいいのかという思いを表現しています。

鉛筆を突き立てることを、憤りや若干の怒りのはけ口としています。

引用元:リズと青い鳥

鉛筆を突き立てる = 怒り、憤り

足を踏ん張る
みぞれが優子に対し「希美が同じ音大を受けるから」受験すると話した際に、希美は冗談めかして「みぞれの冗談じゃん。何本気にしてるの?」と答えます。

その際にみぞれは『冗談で言ってるんじゃない。本気で希美と同じ大学に行きたい。』と言えない思いを、踏ん張ることで表現します。

踏ん張ることで、本音を言えないことやわかってもらえないことへの悔しさ、吹き飛ばされそうな思いを表現しています。

引用元:リズと青い鳥

足を踏ん張る = 本音を言えないこと、悔しさ、吹き飛ばされそうな思い

まとめ
このように顔のパーツを使うことなく、手や足などのパーツを接写しつつその演技を描くことで、心の内面を描くことができます。

暗喩的な表現ではありますが、より内面に寄り添うときには顔の演技を使わないことがあるので、引き出しとして持っておくと心強いかと思います。

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