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「リズと青い鳥」に学ぶ演出技法【分断】

物語序盤、希美とみぞれは一緒に行動することが多いですが、実際には心がすれ違っており、別方向を向いていること、分断していることを表す表現がいくつか使われています。

この映画では近くにいるのにずれていた二人の思いが、お互いのことをより深く知ることで同じ方向を向き、それぞれの道に進む話なので、映画前半では心の距離感が遠いことを細かく描いています。

光と影
お互いの好きなところをハグしながら打ち明け合う「大好きのハグ」の話をしている際に、希美は立ち止まりみぞれに対して手を広げ、「大好きのハグ」をする姿勢を見せます。

この際に希美とみぞれの足元を写しているのですが、立ち止まる位置が希美は影の中、みぞれは光の中に立つようになっています。

これは気持ちがすれ違っている、ずれていることを表しています。

引用元:リズと青い鳥

希美 = 「大好きのハグ」をするフリをしつつ実際にはするつもりがなかった
みぞれ = 「大好きのハグ」をしたかった

光と影に分けて配置する = 二人の気持ちにずれのあることを表現

この光と影は他の映画でも使われている手法の一つです。

校舎と校舎の間
理科室で一人でふぐに餌を上げているみぞれは、反対側の校舎にいる希美を見つけ、お互いに手をふります。

このシーンではお互いに心が通い合っているように見えて、希美はみぞれが気づかないうちにその場を去るため、じつはその間には大きな溝がある表現になっており、物理的にも心理的にも距離が遠い表現になっています。

校舎と校舎の間(溝) = 心理的な距離感に溝がある

引用元:リズと青い鳥

人が間を通る
希美がみぞれをプールに誘いみぞれがそれに乗るのですが、その際に他に連れていきたい人がいるという発言をします。

希美としては、みぞれは希美のことしか見ていない、希美以外の人間がみぞれの心の中にいるとは思ってなかったため、ショックを受けます。

その際に希美とみぞれの間を生徒が歩いていきます。

二人の心がつながっておらず、間に物が通る、つながっていたものが切れた表現になっています。

二人の間に物が通る = 気持ちの分断

引用元:リズと青い鳥

まとめ
このように、光と影、背景を使って間に溝を用意する、二人の間に人を通すなどの技法で二人の心がずれている、分断している表現が可能となっています。

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