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「リズと青い鳥」に学ぶ演出技法【立場の入れ替わり】

この映画では希美とみぞれという二人の女の子が、自由に飛び立つ青い鳥とそれを見守るリズとリンクした形で表現されていきます。

物語序盤では希美が自由の象徴青い鳥のようであり、みぞれがそれを見守るリズとして物語は進んでいき、物語中盤でみぞれに才能があることがわったことで、最終的に立場が入れ替わりみぞれが青い鳥で希美がリズと同じであると表現されます。

この立場の入れ替わりを様々な映像演出を用いて表現しています。

階段での高さの入れ替わり
冒頭で階段を登っているシーンでは希美が上、みぞれが下に配置され、希美の立場が上、空に近い位置に配置されています。

映画の最終盤で階段を降りているシーンではみぞれが上、希美が下に配置され、立場が入れ替わったことが表現されています。

高さの入れ替わり = 映画内での強さ、能力が発覚して立場が入れ替わった

引用元:リズと青い鳥

陰と陽の入れ替わり
物語中、みぞれと希美はお互いに「大好きのハグ」を相手に向けてやるポーズを取ります。

そのさいに、物語前半では希美が影の中、みぞれが光の中に配置されており、みぞれの才能が発覚したあとの物語後半ではみぞれが影の中に、希美が光の中に配置されています。

引用元:リズと青い鳥

立ち位置の入れ替え = 立場の変化を表す

静と動の入れ替わり
映画前半ではみぞれがリズのように動かないことの象徴のように描かれ、希美が動くこと、自由の象徴、青い鳥であるかのような描かれ方をしています。

希美がリズ、みぞれが青い鳥の立場に入れ替わったあとは希美が待っている、静止しているところにみぞれがやってくる、動いて近づいてくる演技になっており、立場が入れ替わったことを静と動で表現されています。

静と動の入れ替わり = 立場、キャラクター性の逆転

引用元:リズと青い鳥

校門で待っているシーンも、冒頭では登校時にみぞれが希美を待っているのですが、最終盤での下校シーンでは希美がみぞれを待っている演出になっています。

引用元:リズと青い鳥

まとめ
このようにリズと青い鳥では立場の入れ替わりを動きの変化や、似たシチュエーションでの立ち位置の入れ替えなどを多用して表現しています。

これ以外にも前半はみぞれが希美を凝視しているカットが多いのに対し、後半は希美がみぞれを凝視するカットが多く描かれています。

立場の入れ替わりはシナリオの表現だけでなく、配置や静と動などで多層的に表現をすることが可能となっています。

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