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2020年が教えてくれたこと〜でっかい宇宙に愛がある〜

来週の金曜日は、もう2021年。
皆さんにとっての2020年はどんな年だったでしょうか。
今年は、コロナウイルスという、人類に久しぶりに現れた、明確な敵という、存在。

このウイルスは、決して、殺傷力が高いというわけでもなく、症状が現れないという、パターンもありながら、感染力が非常に高くて、日本以外の国では、多くの人が亡くなった。

そして、コロナウイルスが、僕らから奪ったのは、自由という、今までの当たり前を、この世界から消してしまった。

つまらない話を、だらだらする居酒屋での飲み会も、街から消えた笑顔も、その他、観光業や飲食店、そして、アーティストたちが行うLIVEや演劇。

無くなっても、困らない人もいるのは、確かだけど、無くなったら、困る人が多数いることは事実だ。

明日から、どうやって生きていこう。
今、安定して働けることは幸せであり、この世界で、たくさんの人が涙を流している事実。

そんな時代、ハロー・プロジェクトという、日本のアイドルグループの総大将は、LIVEを行えない自粛期間中に1つの動画をYouTubeに公開した。

『でっかい宇宙に愛がある』 ハロプロ・オールスターズ 作詞作曲 つんく♂

でっかいでっかい宇宙にある
まーるいまーるい地球で
ちっちゃなちっちゃな思いやりが
でっかなでっかな愛となる

今回はモーニング娘。のシングル曲「ザ☆ピ〜ス!」のカップリング曲として、収録されていた、『でっかい宇宙に愛がある』について、語ってみたい。

なぜ、今の時代に、彼女たちは、この歌を、歌ったのか。現役の、ハロプロアイドルが、一番輝く場所は、テレビやSNSではなく、LIVEという、生の瞬間だ。かつてのように、音楽番組やバラエティに多く出演しているわけではなく、だからこそ、彼女たちは、スキルを磨き、それを、ステージの上で、披露してきた。

そんな、場所を奪い取られた彼女たちができることは、遠く離れた場所に、いたとして、歌い続けるという選択肢以外ないのだろう。

正直な気持ちだから
伝わってほしい
今すぐじゃなくっても
そのうちでいい 
言葉で話せなくても
離れていても
テレパシーってあるんだと
信じてみるよ  
誰かを責めるより
涙を流すより
自分を愛してあげようよ

この歌が、発売されたのは、19年前、来年には、成人ならぬ、成歌となる、もはや、懐メロと言われても、おかしくないような、歌が、おそろしいぐらい、今の時代を反映した歌詞にすら、思える。

今までの当たり前が、崩壊した2020年、伝えたいことも、うまく伝わらなくなった。コミュニケーションという、日常が、封鎖された世界、会いたい人に会えなくなった世界でも、不思議なぐらい、ギリギリのタイミングで、友人からの、LINEが来たりする。

テレパシーなんて、あるわけないのに、こんなタイミングで、そんなことを言われたら、人生まだまだ、頑張れそうな気だってしてくる。だからこそ、人類ってのは、この宇宙で、2000年以上も文明を守り抜いてきた。そんなきっかけは、そんな些細な誰かの思いやりなんだろう。

嫌な言葉が毎日のように、ニュース、新聞、Twitterで溢れている。誰かのせいにしなきゃ、この時代を生き抜いていけない。自ら命を絶った有名人も、進退をかけた政治家も、潰れかけの焼き鳥屋も、みんな必死で生きて、少しでも、正解に近づこうとしている。悔しいことも、辛いことも、ある。それでも、自分を愛するという気持ちは、やっぱり誰かへの優しさに繋がる。そんな気がしてならない。

会えそうにないのなら
仕方ないけど
出会ったこの真実は
大切にするよ
どんなすごい奴も
孤独は寂しいの?
笑ったなら楽しいの?

デートの約束も、歓送迎会も、無くなった今年。大切な人との、思い出は、確かに、少なくなったと思う。飲みに行こうと約束した上司とも、最後の最後まで、飲みに行くことなく、転勤が決まった。

たくさんの人がいて、もちろん、そこには、ハロー・プロジェクトの属するアイドルたちもいる。彼女たちも、きっと、孤独というものは寂しく思うに違いない。

モーニング娘。’20のメンバーである、小田さくらも、自粛期間中にメンバーと会えず、久しぶりに再会したときに、感じたことは「やっぱり、私はメンバーが大好き」という気持ちを改めて抱いていたことを話していた。自分にも、そんな気のしれた、もう10年近く、続く、仲のいいグループがある。こんな、時代でもその誰か1人と、話すだけで、心に抱えた孤独は消えて、ただただ、笑える。でも、その日常こそが、楽しくて、幸せなことだと、2020年は、ほぼ1年間かけて、僕たちに教えてくれた。

ちっちゃなちっちゃな赤ん坊だって
必死で必死で泣いてる
僕らも僕らも出来る事を
必死で必死で見つけたい
でっかいでっかい宇宙にある
まーるいまーるい地球で
ちっちゃなちっちゃな思いやりが
でっかなでっかな愛となる 愛となる

奇しくも、今年、自分は叔父になった。昔から、細くて、出産なんてできるのか、弟ながら心配していた姉は、37歳で、お母さんになった。

その数日後、日本には、緊急事態宣言が発令された。

初めて、姪っ子に会えたのは、世界が少し平和になった、暑い夏の日。しかめっ面の赤ん坊は、ときに笑ったり、ときに泣き出したり。人類の行く末なんて、この子には関係ない。そんなことをふと思った。

20年後、この歌が、もう懐かしの平成ソングと呼ばれている頃、日本は、世界はどうなっているのだろうか?そして、自分自身はどうなっているのか。当たり前に、成人式を行えているのだろうか?というか、世界は存在しているのか?そんな、少しの不安すらも、愛情に満ちた、姪っ子の表情を見ると、この子達の明日を作るために、僕たちは大人になったことを理解できる。

『でっかい宇宙に愛がある』が発売された頃、自分はまだ小学生で、家族と見る24時間テレビは、夏の終わりを告げていた。季節は、何度も巡っていく中で、愛という形の見えないものの偉大さに、痛感することがある。ウイルスと愛、どちらも僕たちは、見えないものに、違いない。それでも、たしかに、存在している。

コロナウイルスは、僕たちから当たり前を奪い取った。それでも、自由を少しずつ、取り戻すために、頑張っている人たちがいる。たった、数時間でも、開けている居酒屋は、街の灯りとなり、夜を照らす。

これって、とても、素敵なことだと、勝手に思っている。

批判ばかりせずに、頑張っている人たちに、素直に愛を贈るべきだ。嫌な時代になったけれど、嫌な時代にさせないために、人は生き続ける。

ハロー・プロジェクトは、早い段階でLIVE活動を再開した。賛否はあるかもしれないが、彼女たちが、限られた自由を、この歌で勝ち取ったのだ。

2020年、2010年代の女性アイドルグループは、アイドル戦国時代と称され、戦いに満ちた時代だった。2020年代のアイドルは、新しい時代に歩まざるえなくなった。誰が1番なのか、もうそんなことは、どうでも良くて、たた、彼女たちが、ありのままに生きて、そして、これから先、大きくなっていく子どもたちの、希望であり続けてくれれば、それでいい。

2021年も、明るい兆しは、見えてこない。それでも、彼女たちは、走り続けるに違いない。

今年のことを、10年後、笑って話すのだろうか。そのときは、かなり懐かしくなったこの歌が、どこかの居酒屋の有線から、流れてきてほしい。

そんな時代を、作っていくのが、僕たち一人一人に与えられた、役目だ。それは、ちっちゃな思いやりで、できるに違いない。それが大きな愛になるのだから。

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