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フィールドアスレチックと父子

先日、息子と一緒にフィールドアスレチックに行ってきた。

丸太や縄などを張り巡らせた櫓が山の中にいくつもこしらえられていて、よじ登ったり飛び越えたりして楽しむ、スーパーマリオっぽい遊びだ。思ったよりも危険で気を抜くと大怪我をする。程よく整備された中で怖さと楽しさを楽しむ、たいへんテンションの上がるところである。

幼い頃行ったそれはもう本当に、半狂乱になる程楽しいところだった。あの頃の楽しさを我が子にも体験してもらいたい。

赴いたのは奈良は生駒山にある施設。規模が大きく、整備もきちんとされている。

無料貸し出しのヘルメットを携え、意気揚々と入場する。スタート地点の看板には、大きく自己責任が謳われている。よしよし、わくわくして来たぞ。

靴紐を念入りに締める。ヘルメットは被ったか、タオルは持ったか、さぁ行こう、と息子の足下を見ると、なんと裸足にゆるいクロックスという出で立ちであった。

不覚。てっきりいつものランニングシューズを履いていると思っていた。

仕方がないので裸足で挑んでもらうことにする。遊具は整備されていてささくれなどはなく、むしろツルツルしているから、かえって裸足の方がグリップが効くかもしれない。

行楽日和で客は大入り、踏破が難しい櫓では順番待ちができるほどだ。

丸太を乗り越えトンネルをくぐり、綱をよじ登る。子供は怖がるでもなく果敢に障害を乗り越えてゆく。楽しんでくれているようで嬉しい。

荒れた息を整え、ふと周りを見渡すと、子供と同行しているのは8割がたお父さんであることに気がついた。お母さんの姿は殆どない。これだけ父親ばかり集まる光景は普段なかなか見ないものだ。

実にさまざまな父と子の風景。

やたらと手を貸して子供の興を削ぐ親、怖いと訴えても無理にやらせる親。

友達同士のように子と競争する親、うまくできないと口汚く罵る親。最低限のアドバイスでうまくリードする親。

少し大袈裟に言えば、目の前で我が子がわりかし危ない試練をに挑もうとしている。そんなとき、親はどのように接するべきなのか。

フィールドアスレチックはそういうものの縮図みたいになっているのかもしれず、結果ここにいる十数人の集団の中に、さまざまな「育て方」の樹形図が顕れている。

僕はいきなり舞台の上に立たされたような気分がしたが、そうかと言って急にうまく立ち回れるわけでもない。

観客席から見るとするなら、まぁ僕なんかはあんまりいい親父に見えないだろうなぁ、とは思う。


息を整えながらそんな反省をしているうち、だいぶ離されてしまった。

見上げると高い櫓の上で、小さな尻が振れている。

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