見出し画像

開発者とユーザーギャップを減らす対処法 開発者の当たり前はユーザーの当たり前ではない

ゲーム制作において、製作者が主観的な考えを盛り込むのはよくある。そもそも作品創りは、思いが強い人が主観的な価値観をもって再現したこと、やりたいことを創るという過程を経て出来上がることが多いもの。

たとえば、斬新なデザインや仕組みのゲームやエンターテインメント。

一見、製作者外からの視点では、アーティスティックな要素なのか、チャレンジ要素なのか、単なる作者なりのエゴなのかは一見分かりづらい。

そしてその分かりづらさを抱えたクリエイティブは、何の説明もなく商業流通してしまうと、消費者が設計者の意図や思いを咀嚼できないと、作品の価値は伝わらないままに終わってしまうことはとても多い。

本来であればそれを解決する手段やツールがマーケティングだったりもするのだが、できればクリエイティブ内で完結はしたいもの。

つまりは、開発者側の「自分にとっては当たり前だと思われている価値観」が無言でユーザーに商品で押し付けられてしまうと、製作者と開発者のコミュニケーションがそこで途絶えてしまい、伝えたいことが伝わらないままにそこで終わってしまう。

そこで今回は、そんな悲しいことを少しでも減らすべく、自分のやりたいことを盛り込みつつも、少し視点を調整してより伝わりやすくするためにはどうしたらいいのか? 失敗事例と共にお届けしたい。


1|あなたの当たり前は隣人の当たり前ではない

そもそも製作者のルールや価値観が必ずしも隣の人のルールや価値観に合うわけではない。しかし、この「自分の中の当たり前」が「隣人の当たり前とずれていることに気づかない」。そんなことがよく起こるパターンは大きく3つあるので紹介したい。

2|経験不足からくる思い込み

たとえば、苦労して作ったものは勝手に「面白いに違いない!」「やればわかってくれるに違いない!」といったような考えを抱いてしまいやすい。これはただの設計者による希望的観測も含まれる思い込みから来るものだが、苦労は必ず報われるものではない。

すべてにおいて初心者は良くも悪くも慢心しやすいので、そういった思い込みのバイアスが無意識に自分の当たり前を一般化していることはよくある。

ましてや、製作者がした苦労が必ずしもユーザーに伝わる苦労なのかも判断が難しい。よく開発者のインタビューである「今回はチャレンジしてみました」という発言については、開発者のチャレンジであってユーザーの課題と関係ないことが多い。


3|経験豊富からくる思い込み

自分はこういうゲームをプレイしていて、こういうルールでしらばれていることが多いので、私のプレイヤーはこう操作するに違いないという、経験則からやってしまう暗黙知みたいなもの。

この行動は、ベテランや制作期間が長い内部の人間ほどやりがちなことではあり、クリエイティブやプロダクト開発の現場でよく起こりうる。


4|何かを真似しすぎる思い込み

そしてゲーム制作ではよくあるのはこれ。何かとリスペクトするのは構わないが、あまりにも似通うルールを採用しすぎて、丁寧なゲームデザインや前提が抜け落ちてしまうパターン。

ただこの真似しすぎる事例においては、真似する作品の市場浸透率があまりにも高い場合は説明不要で通じることはあるかもしれない。しかしゲームでそれを行なった時点でただの類似品になるので、おそらくゲーム作品としての大成功は厳しいかもしれない。

それでもいいという事業戦略もあるにはあるが、それをするにはよほど売れているタイトルを参考にしない限り、その恩恵を受けることは難しいので、選び方には要注意。

5|まとめ

当たり前を無意識のままに実装してしまい、ユーザーが置いてけぼりになる可能性はどんな時にも起こりえる。

上にも書いたが、経験不足から起きやすい事例、経験があるからこそ起きやすい事例。これはとても非常にさじ加減も境界線も曖昧だし難しい。

ゲーム制作においてはとくに意識することは、ユーザーが操作して作品に介入するという点。ゆえにユーザーにわからない要素はなかったことに近い。そうならないためにも、制作時にはできる限り第三者視点でのレビューや、初心者視点、逆に玄人視点を取り入れながら組み立てていきたい。

ちなみにマーケティングは、作品で補完できない部分を補足したり、強みを打ち出したりすることはある程度できる。だが、クリエイティブそのものが悪いものはどんなに優秀なマーケッターでも売ることはできない。

ゆえにクリエイティブ部分でしっかりと完成させられるような設計ができるよう、制作過程からできる限り失敗する要素を排除しながら、成功への道や可能性を増やせるようにしていきたい。

それよりも作り手側が伝えたいことを伝えられるようにすること。そのさじ加減をしっかりと順番を追って辿れるようにすることもディレクターなりプロデューサーの役割だと思っている。


関連記事はこちら




いただいたサポート費は還元できるように使わせていただきます! 引き続き読んでいただけるような記事を書いていきたいと思います。