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自分のための時間

最近、友達の間で交わされる「自分のための時間」の話。

先日、同じ年の女友達と会った。
「最近何かやってる?」と聞いてみた。

同世代のママ友との会話は、どうしても8割が子どもの話になる。
子どもが幼稚園からの付き合いだが、高校の進学先は違っているので各学校の状況や子どもの最近の話など情報交換し合うのがお決まりだ。

それと違って彼女と会う時に出てくる話は、自分のことが多い。
子供はおらず夫婦二人の生活を楽しんでる様子が話からも伺え、お茶に料理にお花に推し括にと・・・会うたびに何か新しい話を聞ける。

「太極拳をやってるよ」

私の生活の中では無かった言葉だ。
太極拳は、自然の中で呼吸を整えながらゆっくり動くイメージ。
話を聞くと市民センターの室内で動いているようだが、夫婦で一緒に参加しているらしく体に良さそう。
話を聞いているとただ習っているだけではなく、何やら連盟みたいなものがあって大会もあるらしい。
お揃いの衣装というのか服を買って、みんなで出るという。週一の軽めの運動の習いごと、と思っていたイメージよりもだいぶ真剣そうだ。

習いごとは、やはり発表の場があるものなのか。

私もフラを習って、今年で10年になる。
最初は運動不足の解消になればと思って始めたものの、せっかく覚えたのだからと先生に推されイベントに皆と出るようになった。
同じ衣装を着て、同じ髪型にセットして、曲に合った花のクリップとレイを身に付ける。最初は緊張のあまり手が震える、口は乾く、振り付けが飛ぶ、まぁ色々とあった。

それも徐々に慣れて来て、みんなで踊る楽しさや達成感も味わうことができてここまで続けて来れた。

そのフラを、今は辞めようと思っている。
決して嫌いになったわけではない。フラは今でも大好きだし、お家で流すほどハワイアンミュージックは癒される。

なのに、なぜ辞めようと思っているのか…。

今まで辞めようと考えたことが無かったのに、突然「やり切った感」でいっぱいになった。横浜のイベントに出て、皆で踊ったその日に。

先生が「楽しいね~!」と満面の笑みで独り言のように、でも大きな声で小躍りしながら言ったのだ。あれ、私、楽しいって思ってない。

イベントに出て踊るのは、1曲から2曲。数分だ。
それに出るために通常レッスンとは別に土日の合同練習、当日の髪型のセット、イベントに出る用の濃い化粧につけまつげ。つけまつげを付けるのが苦手で前日に練習、当時は20~30分もかかってやっと付けられる始末。
これがイベントの度、毎回時間がかかる。
数分のために準備する時間がなんと多いことか。それが徐々に「負担」と思うようになっていった。今は”楽しい”より大変さが勝ってしまっている。

10年という節目が、そうさせたのかもしれない。
もう10年も続けてきたのだ。他の興味は置いておいて。
自分が好きなショートカットの髪型だって封印して、髪を長く伸ばしている。美容院に行くたびに短く切りたいと言い続けて、美容師さんに我慢我慢と止められる始末。

友達に話したら「ずっと続けると思ってた」と驚いた様子だった。
確かにフラは、タヒチアンとは違って踊りも緩やかで衣装も露出は少ない。
年齢関係なく長く続けられる踊りだ。
だからこそ先生も私が辞めることを考えてるなんて想像すらしていないだろうなと思う。

10年も続けたのだから辞めるのが勿体ないのだろうか?と考えてみる。
ハンドモーションができて足の動きを覚えていたら、辞めてもできる。
フラは身ひとつでどこでも踊れるのだから。
イベントでみんなと踊ることができなくなることくらい。
それと新しい曲の振り付けは、もう習えないことかな。
それを考えると寂しい気もするが、心の中はやり切った感で満たされている。ここ何週間ずっと自分に問いかけているが、辞めて後悔したならまた再開すればいい、もっと身軽に考えてみようと思った。

運動はフラでしているからと他にやることを考えてこなかったけど、ヨガもしてみたいし、友達が楽しんでいる太極拳も体験してみたい。
人生もう折り返しだよ、と心の声がする。
やりたいこと、やってみたいこと、どんどん始めてみないと時間がなくなる。

10年という数字に縛られることなく、今年は軽やかに新しいこと、変化を楽しんでいきたい。「自分のための時間」はもっと自由でいい。

何よりロングヘアとおさらばしたい。
フラを始める前はずっとショートヘアだった。今は嫌々、前髪も伸ばしている。

今月最後にすると決めているイベントの舞台に立つ。10年分のフラ愛を笑顔に乗せて踊ってこよう。
終わったら髪を切って、軽やかに新しいことをやってみよう。
気持ちをこうやって書き出してみたら、どうやら未練は無いようだ。
まずは先生に辞めるって言わなきゃ!まずはそこから!

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