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専業主婦16年|心の変化

最近、ひとつ年を重ねた。

いつからか「重ねる」というフレーズを使い始めた。

年齢は単なる数字、とカッコよく言い放ちたい気持ちはある。

気持ち、だけはある。

でも実際は、カウントされていく数字、折り返しという言葉に近づき、ため息がでるのが本音だ。


私は、妊娠7か月まで仕事をしていた。

短大卒業後、20歳で就職して、一度も転職せずに同じ会社に勤務していた。

それほどまでに居心地が良い会社だったのだ。

女性で結婚して辞める人は極めて少なく、出産で退社することが多かった。

フレックスで時差通勤も許されたし、有休を全部消費してからの退社も問題なかった。

今でも会社にいる同期の子たち。

部長と言われる立派な役職があったり、女子はお局と陰で言われているかもしれない。


私が働いた年数も人に言うと長く働いたね、と言われる勤続年数だ。

私自身も未練なく退社した。


出産後、友達になったママ友に

「もう働かないの?」と聞かれた。

そんな時も

「もう十分働いたから」と即答した。

子供が生まれたら専業主婦になりたかった。



私は母子家庭で育った。

早番がある仕事をしていた母は、起きたら居ないこともあり、一人で朝ご飯を食べて、家の鍵を閉めて、学校へ行った。

帰りも自分で鍵を開けることが多かった。

早番の時は、下校時間には母は家にいたはずなので、実際の回数としては同じなのかもしれないが、寂しかった記憶の方が残っている。

子供ができたら「おかえり」を言ってあげたいとずっと思っていた。

専業主婦になることに迷いはなかった。


そして、16年今も専業主婦だ


子どもができる前は、私は仕事と家事を両立できていると思っていた。

だけど、専業主婦になり両立など私は出来ていなかったと知る。

毎日洗濯するのにゴミ取り以外、洗濯機自体を掃除したことが無かったり、
換気扇を外したものの戻し方が毎回分からなくなったり、大掃除もクリスマスが終わってから慌てて始め、結局終わらないという年を繰り返した。

私は、今まで家事のほんの一部しかやってこなかったんだ。

専業主婦になって本当の意味での家事の大変さ、名前のない家事が多いことを身を持って感じていったのだ。

そんな家事の基本も知らないまま主婦になったので、子育てと家事の両立もまた出来るはずもなく、毎日があっという間に過ぎていった。


今でも家事は完璧では無い。

ご飯を作る時間になると憂鬱になるし、嫌々やっている家事も多い。

正直、苦手なことばかりだ。



だいぶ子育てが落ち着き始めた今、ふと考え始めた。

子育てが終わりを迎えたら
私には何が残るだろう。

そう、雑誌やテレビでもよく聞く、あれだ。

あの時期が、とうとう私にもやってきているのだ。

家事ではない何かをしたい、何か見つけたい。


迷いなく専業主婦を選んだ私も
16年経つとそんな気持ちが心の奥底から
点で現れ、シミとなり、そして広がり始めている。






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