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ブライトン・シェアハウス物語 部屋から締め出され事件

予定通り短期間で借りていた家から無事引っ越しまして今はホヴ(Hove)というブライトンの隣街の大きな家に複数人で住んでおります。フラットメイトに学生はおらず、全員働いている大人たちなので共有スペースもディープ綺麗。地獄の学生寮との違いたるや。その上クリーンスタッフも来てお掃除してくれるので、快適なことこの上ないです。フラットメイトの職種もさまざまで、パリジェンヌで旅行会社勤務のリセ(以下すべて仮名)、音楽講師のルーク、グラフィックデザイナーのエリン、俳優の卵カップル、インド人のナースのロシュなど、「これなんてテラハ?」状態。不安な気持ちで引っ越した初日、エリンが部屋で飲もうよと女子たちを誘ってくれました。みんなそれぞれ自分の好きな仕事に一生懸命打ち込んでいたり夢を追いかけていたりしていて、いいな〜と。東京では、「シェアハウスとか絶対いや」と思っていたけれど、家族以外の人とみんなで暮らすのって結構いいもんだなと思う日々です。というか前も書いたのですがこちらでは賃料が高すぎてほとんどの人が「せざるを得ない」というだけなのですが。

さて、引っ越して間もない頃に鍵を忘れて洗面所に出てしまい、夜中の1時にオートロックの自分の部屋から締め出されてしまったんです。うわ〜やばい、明日学校なのに今日はキッチンで寝るのか……と思っていたところで、なんとたまたま起きていたジョンと廊下で鉢合わせます。「ハイヤ!僕はタバコ吸いに行くけどこんな時間にどうしたの?」と。ここの住人、みんな早く寝るのでこれは奇跡に近い状況です。私はコンタクトレンズもすでに外していたのでほとんど何も見えなかったのですが、とにかく神にも縋る思いで「鍵を忘れて部屋から締め出されちゃったんだけど、スペアキーってないよね……?」と尋ねたところ、キッチンの裏手のストレージを案内してくれました。が、「いつもはここにあるはずなのに、ない!」
さて、困ったことになりました。ジョンは「ルークなら知ってるかもしれない」と寝ているルークの部屋をノックします。すると起こされて不服そうなルークが出て来ました。「ああ、スペアキーなら大家が別の家に移動させたんだよ」と彼。ここまで来たらもうお手上げです。「私キッチンで寝るから大丈夫、本当にありがとう!」と言ったところ、「Are you crazy? めちゃ寒いじゃん」とジョン。「そういえば君の部屋、窓は開いてる?」とルークに聞かれ、それさえも覚えていない私。そこで3人で庭まで回って2階の私の部屋を見上げてみると、開いているような、開いていないような……。するとルークが「上がって見てみたら?」と言い出し、すかさずジョンが「僕が登って窓が開いてたら中から部屋に入って開けてあげるよ」と言い出すんです。「いやいや、やめようよ!本当に大丈夫だから!」と止めようとしたところ「でも僕、保険入ってないけどいい?(笑)」と冗談を言いながら颯爽と壁を登るジョン。屋根を伝って窓の前にたどり着き、残念ながら閉まっていた窓に、なんと体当たりして開けることに成功!(ていうかこの家のセキュリティどない)無事に部屋の中からドアを開けてくれました……!その姿はまさにスーパーヒーロー。この日ほど人の優しさに包まれてテンションが上がったことはここ4ヶ月ありません。ていうか私、迷惑すぎて自己嫌悪も甚だしい。でもルークもジョンも、嫌な顔ひとつせず良かったね〜とハイタッチして、部屋に戻っていきました。心の中では苛ついたに違いありませんが、とにかくその紳士な行動に涙した夜でした。

ほかにもいろいろと事件が起きたのですが、ちょっと寝かしてから書いていこうと思います。

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