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190606|その空間には、愛だけが溢れていた。

スマホの画面に表示されたニュースの通知で、起きてすぐに変な声が出た。

山ちゃんこと山里亮太さんと、蒼井優さん(以後敬称略)が結婚を発表したそうだ。

Twitterでは #山ちゃん がトレンドになっていて、様々なコメントが目に入った。

「なんで山ちゃん?」
「美女と野獣」
「うそでしょ?」

お昼のニュース番組でも、ブサイク芸人の山ちゃんが国民的大女優と結婚だなんて信じられない、というような取り上げられ方をしていた。

外見だけ見たら確かに、ちぐはぐかもしれない。

でもなんだか、私にはこのふたりがとてもお似合いな気がしてならなかった。

山ちゃんも蒼井優も、もともと詳しく知っているわけではない。どちらも出ているテレビを追いかけるほど好きなわけでもなく、なんとなくあったのは「常に世の中にキレてる頭のいい売れっ子芸人」と、「熱愛報道が多い実力派女優」という印象だけ。

それでもなんとなく、ふたりが並ぶ姿は、想像しただけでもしっくりきたのだ。なんでだろう。

ニュースを見ていると、山ちゃんと関わる芸人さんが次々にコメントしているようだった。涙が出てきた。

「山ちゃんみたいないい人にはこんな素敵なご褒美があるんやね。神様は見てるんやね。」

芸人さんはきっとイジられてナンボだけれど、こういう幸せなニュースのときまでブサイクだとイジられているのはなんだか腑に落ちなくて、だけど山ちゃんをよく知っている芸人さんたちが本気で祝福をしているのを見て、山ちゃんを「分かってる」人たちの愛が溢れていて、嬉しくなってしまった。私は山ちゃんのなんなんだという感じだけれど。

芸能人が結婚しても、いつもはへぇ。と思って終わるけれど、今日はなんだかそわそわして、夜の会見を見るのが楽しみだった。(楽しみすぎてAbemaをインストールした)

会見を見た。やっぱり、しっくりきた。しっくりくるのがなぜだったのかもなんとなくわかった。

ふたりを結んだキューピットとして出席したしずちゃん。詳しくは知らないけれど、当時嫉妬心でいっぱいだった山ちゃんに嫌がらせをされていたこともあったらしい。そんな過去があっても、ふたりを引き合わせ、お互いの好感度が上がるように裏で動いていた彼女が、会見中終始涙ぐんでいた。

相手が親友の蒼井優であれ、この優しい表情で相方を祝福するまでには、きっと様々な葛藤があったと思う。すっげぇ心広いな、と思う。一方で、山ちゃんはしずちゃんに対する過去の過ちと誠実に向き合い、清算しようとしたのではないかと思う。あくまでも推測だけれど。

蒼井優は女優としてではなく、好きな人の隣に座る一人の人間としてそこにいた。彼女は奔放だとか魔性の女だとか言われているけれど、そうじゃない気がした。

愛嬌があって気配り上手で、多くの男性を魅了してきたんだと思う。だけどきっと、今までは彼女の持つ愛情のエネルギーと、受け取る相手のキャパシティが上手く合わなかっただけなんじゃないか。それって芸能人じゃなくてもよくある話で、芸能人としてカテゴライズされるだけで、熱愛を何度か報道されたら難ある女扱いされるのって、ちょっとひどいなと思った。

そして、そう思わせてくれたのは山ちゃんだった。オブラートに包みきれていない記者の失礼な質問(オブラートに包もうとしているということは失礼だとわかっていて聞いている!)に対しても誠実に受け答える。

「みなさんが見ている蒼井さんとは違う蒼井さんを僕は見させていただいているので心配いらないです」

とキッパリ答えた山ちゃんが、眩しくて仕方なかった。

"楽しい時は笑って、おいしいものを食べたらコロコロ笑って。悲しい時はすっごい泣くっていう。みんながイメージを抱くような魔性の女、みたいなそんな人間じゃないってことを僕は一緒にいてずっと見てきたので、心配は一切ございません。"

私は蒼井優でもなんでもないのに、涙が止まらなくなってしまった。これを書いている今も泣いている。

この会見から、彼がどれだけ聡明で誠実で、面白くて、隣にいる彼女にとってどれだけ心の支えになるのか、それが垣間見えた気がした。

私はなんとなく、このふたりの人間的魅力を以前から感じ取っていたのかもしれない。だから、ニュースを見た時にしっくりきたのかもしれない。

結婚報告の会見を見て、こんなにほっこりしたのは初めてだ。その空間は、愛だけが溢れていた。

勝手ながら、ここまでたくさんの感情を湧き上がらせたこのふたりには、そしてふたりをくっつけたしずちゃんには、ずっと幸せでいてほしいなと思う。どうか、末永く。


"『誰を好きか』より『誰といるときの自分が好きか』が重要らしいよ"

自分を愛せなきゃ他人も愛せない、なんて言葉もあるけれど。誰かを愛するより、自分を愛する方が難しいことのように思う。それでも、自分を愛させてくれるような誰かがいたら。その誰か越しに映る自分を愛せたら。それ以上の幸せはないのかもしれない。私はそう信じたい。

誰かといる自分を好きな時、人はあんなにも美しくいられるのか。あの瞬間。蒼井優の笑顔が、世界で一番可愛く見えた。

私は今、美しいだろうか。なんとなく自問した。首を縦に振れる日が来たら、結婚しよう。そう思った。

#エッセイ #結婚 #蒼井優

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