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待って譲って蓄えて 機を待ち和する『菜根譚』

アランの幸福論に悶々としていたところ、あれは不幸論なんだよ、不幸に陥らないようにするための教えなんだよと聞き、すこし納得する。幸福論っていうと、浮ついててなじめない。ハッピー!ラッキー!みたいな感じがしていやだったんだな。

「幸福」って言葉が厄介なんだわ。これまた友人に教えてもらったpodcastを思い出す。

「こんにちは未来」第26回”幸福”になりたい?
http://podcast5.kiqtas.jp/kiqtas/archives/2019/11/post-158.html

『ヒップな生活革命』の佐久間裕美子さんと、元WIRED編集長の若林恵さんのおしゃべり番組。(最先端リベラルな感じで超おもしろい。最新回はマーサ・スチュワートの罪について語ってるよ、考えたことなかった)
この回はねえ、「幸福って一瞬の状態でしょう? それを人生のアジェンダにするのはおぼつかなくない?」と展開される。みんな、かつて「幸福」と呼ばれていた「家族」とか「雇用」とかそういうパッケージを欲してるじゃない、って話でね。

「幸福」っていうふわっとした概念を扱うんじゃなくて、「ごはんが毎日食べられる」とか「公平な社会」とかそういう具体的なほう考えたら?って。


で、アランの幸福論。東洋だと『菜根譚』じゃね?と聞き、また100分de名著を見る。たしかに、根っこをかじるかのように滋味深い教えだった。

さいこんたん。明代に書かれた処世訓。タイトルの由来は「人はよく菜根を咬みえば、すなわち百事をなすべし」に由来するそう。逆境を経験することで、力が蓄えられるという価値観のもと、どう生きてゆくべきかが書かれている。

 狭い道ですれ違ったら、譲りなさい。
 家族には感情的にならず、ゆっくり時間をかけて接しなさい。
 鳴かず飛ばずの時期こそ、力が蓄えられるのです。とかとか。

伊集院さんが番組最後に言ってた言葉、そのとおりだと思う。
すっごく目新しいことが書いてあるわけじゃない。けど、懐かしい気がする。と。とても馴染みやすい、日本古来の教えって感じがする。


勇気づけられるなあと思ったのは、これだ。

文は拙を以って進み、道は拙を以って成る。
一の拙の字に無限の意味有り。
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/38_saikonntann/motto.html

あれっすね、編集は不足から生まれる! なんだろうなあ、昔の権威ある書物に不完全さの効用を説かれると安心するのか。

菜根譚は、すごく力が抜けてる感じがして好き。なるようになる、っていうある種の諦めが底を流れているようだ。ニコニコしてるふつうのおじいちゃんが、じつは武道の達人だった、みたいな感じ。


うめざわ
*ボディビル的強さと、武道的強さってぜんぜん違うよね

*あ、本。これとか読んでみたいなあ。こども語訳ですって。モード編集〜




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