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推し短歌(触れられそうで触れられない暖かみ編)

ずぶ濡れのわたしの前に現れた明(あか)いたき火のようなあなただ

心がしんどいときに優しくしてくれた人(や推し)って、土砂降りの雨に降られた後に出会った小さなたき火みたいだなと思って詠んだ歌です。あと、どっちかというと距離感近めの推しのイメージかもしれない。
病んでるときって、優しくされてもその優しさを受け止められなかったり、自分も優しくしたいのに、どうしても優しくできなかったりすることがありますよね。小さなたき火のように燃えているあなたが優しくて暖かいから、もっともっとと手をかざせば、私の手から滴り落ちた雫であなたの火は消えてしまう。ならばと我儘に火を大きくしようとしても、私の濡れた手でくべた薪は湿っていて、火を弱めるばかり。お互いに疲れ果てていく運命です。
愛するものと近しくあること、親しくあることは大事なことで、近頃は特に、絆という言葉もよく聞くようになったけど、優しさって触れ合える距離にいて触れ合えないくらいが一番優しいんじゃないかと思っていた時に詠んだ歌です。もちろんそんなことはなくて、対象と深く関わることもまた大きな愛なのだけど、固く結びつかない、ゆるい関係性もまたそれはそれで深い愛だと認めてほしいなと思う時があります。

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