見出し画像

短歌(虹が七色だった頃)

「君が好き」だけでよかったあの頃は虹も七色だけでよかった


「君が好き」という気持ちがあれば、自分のアイデンティティやら生活やら人生やらが全部なんとかなっていた頃は過ぎ去ってしまったね。「君が好き」だけでは、もうどうにもならないね。
それは例えるならば、虹を七色に塗っていれば正解で、お手本どおりに塗りさえいれば先生に褒めてもらえた頃のような単純さだけではもうやっていけないのに似ているよね。という気持ちで詠みました。

虹はグラデーションなので名前のつけられない中間色だってあるし、そもそも虹を何色と数えるかは国や地域によって違うらしいし、現実って本当に複雑でままならないものなんですよね。

だからこそ、そういう、ままならない現実を「君が好き」って気持ちだけで暈したくなるんだけどやっぱりそれはもう無理なので現実を見るしかない。そこにあるのは空気中の水滴と光の反射から起こる気象現象でしかない。虹の七色という幻想がかき消えるのは哀しいことだけど、それは同時に「虹は七色」という固定観念から解放されるということなので、素敵なことなんじゃないかなとも思いました。

この記事が参加している募集

今日の短歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?