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離乳食/補完食/BLW比較してみた

 エン様(赤ちゃんのあだ名)今日で5ヶ月になりました! めでたい!
 5ヶ月といえば、離乳食を始める頃。母乳やミルクだけで生きてる時間こんなに短いの?! もうちょっと長い間赤ちゃんらしくミルクだけ飲んでてほしい……と思うのですが、そうは問屋が卸さない。ということで少し前から離乳食の勉強を始めました。
 ところが、離乳食は本によって書いていることがバラバラ。何が正解かわからない、というか正解はないみたい。一般的に普及している方法でも、栄養や発達のためにはやめておいた方がいいこともある。しかもそれを見分けるのがとても難しい。赤ちゃんの栄養や発達についてふつうの新米ママパパは知らないからね……。

 勉強しているうちに、離乳食の最近のトレンド(?)として、補完食とBLWというのがあるとわかってきました。それらの文献を読んで比較すると、いろいろ見えてきたので今回の記事でご紹介します。

 ※筆者は離乳食に関しては素人なので参考にするかどうかは自己責任でお願いします。

●そもそも離乳食/補完食/BLWって?

◆離乳食

 本記事では日本で一般的に推奨されている方法を「離乳食」と表記します。厚生労働省から『授乳・離乳の支援ガイド』が発行されており、このガイドに基づき離乳食の本が多数出版されています。
 ガイドには離乳および離乳食の考え方が示されており、栄養補完、摂食機能の発達、赤ちゃんの自立について触れられています。
 なお、厚生労働省の資料では離乳食の概要しか示されていないため、主婦の友『はじめてママ&パパの離乳食』を参考にしました。

主婦の友『はじめてママ&パパの離乳食』

◆補完食

 WHO(世界保健機構)が示しているもので、日本語訳『補完食 母乳で育っている子供の家庭の食事』がweb上で頒布されています。
 補完食はタイトルの通り、母乳育児を前提としています。WHOは世界を相手にしているので、きれいな水が手に入らない途上国などを想定すると母乳が一番安全だからです。とはいえ、補完食はミルク育児の場合も応用可能と書かれています。
 母乳育児の場合、生後6か月を過ぎると母乳中に含まれる栄養が減ってくるので、その栄養を補完するために与える食事、という意味合いが強いです。

WHO『補完食 母乳で育っている子供の家庭の食事』

◆BLW(Baby-Led Wearning)

 イギリス発祥の離乳方法で、とにかく「赤ちゃんの意思を尊重する」ことに重きが置かれています。親が食べさせることもなく、赤ちゃんが自分で食べ物に触れるところから始まります。飲み込める物、飲み込めない物も自分でトライアンドエラーをして習得していきます。
 2020年に(一社)日本BLW協会から『BLWをはじめよう!』という本が出版され、現状日本で手に入る唯一の教科書的な本のようです。類書『「自分で食べる! 」が食べる力を育てる:赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門』はイギリスの本を和訳したもので、前者の方が日本向けにチューニングされており、日本での取組事例がたくさん載っています。

(一社)日本BLW協会『BLWをはじめよう!』


●離乳食/補完食/BLWで重視ポイントが異なる

離乳初期の重視ポイント比較
※初期に限定的な比較である点に留意

 それぞれの離乳方法を調べていると、各方法で重視ポイントが異なることがわかってきました。おおまかに分類すると、①咀嚼・嚥下練習、②栄養摂取、③赤ちゃんの自立 の3本柱です。

①咀嚼・嚥下練習

 生まれてからずっと、赤ちゃんの口や舌の筋肉は母乳やミルクを吸うのに適した動きをしてきました。一方、食べ物を食べるには口や舌の筋肉の動きを変えないといけません。最終的に大人と同じ食事を食べられるようになるため、離乳食の時期から咀嚼・嚥下の練習をして口や舌の筋肉を鍛えます。

◆離乳食: 咀嚼・嚥下練習○
 トロトロのお粥を飲み込む嚥下の練習から始めて、徐々にベタベタ、ツブツブ、粗みじん切りと進んでいきます。親がスプーンで差し出し、赤ちゃんが口に取り込む方法で、簡単なものから難しいものへ、咀嚼・嚥下練習に最も配慮した進め方です。

◆補完食: 咀嚼・嚥下練習○
 補完食も離乳食と同様、最初は親がスプーンで赤ちゃんに与える形です。ただ、お粥の形状は最初から「スプーンを傾けても落ちない硬さ」にするよう書かれています。

◆BLW: 咀嚼・嚥下練習×〜△
 最初から食材の塊を手づかみし口に運ぶので、咀嚼の練習はできると思いますが、嚥下の練習は離乳食・補完食に比べ難しくなります。
 少し観点は異なりますが、手指の巧緻性や手・目・口の協調運動には良いトレーニングになると思います。


②栄養摂取

 母乳で足りなくなってくる栄養を得るために食事をします。母乳は6ヶ月から栄養不足が顕著になってくるので、6ヶ月からは食事をしっかり食べられるようにするため5ヶ月から食べる練習をするイメージだそうです。
 ちなみに完ミの場合、ミルクには栄養がたっぷり入っているので、栄養摂取の観点では離乳食を早く進める必要はありません。赤ちゃんの必要量が増え、母乳で不足する鉄などもミルクには十分量入っています。

◆離乳食: 栄養△
 一般的な離乳食の本では1週目はお粥だけ、2週目はお粥+野菜、3週目はお粥+野菜+タンパク質、といった進め方になっています。
 まず、お粥単品は栄養が少なく、栄養バランスが悪いことが特徴です。ミルク大さじ1は10.3kcalあり、46%が脂肪、45%が糖質、9%がタンパク質ですが、10倍粥大さじ1は5kcalしかなく、ほぼ全部糖質です。WHOも主食だけで作る薄いお粥は赤ちゃんの栄養摂取に意味がないと注意しています。

ミルクと10倍粥の栄養比較
ミルクは明治「ほほえみ」の栄養表示から計算

 赤ちゃんが大きく成長し発達するにはタンパク質が必要ですが、離乳食ではタンパク質の摂取が遅れます。
 本には「赤ちゃんはタンパク質の消化が苦手だから~」と書かれていることが多いですが、ミルクにも相当量のタンパク質が含まれているので筋が通りません。もちろんミルクのタンパク質と食物中のタンパク質は構造が違い、アレルギーの観点からタンパク質を少量ずつ試すことは必要だと思いますが、補完食では最初から肉類を与えることを考えると日本は過度に警戒している可能性があります。

 そして、栄養を身体に取り込むには複数の栄養素を組み合わせて摂取する必要があります。例えば、タンパク質の吸収には亜鉛が必要です。お粥や野菜だけでは必要な栄養を摂取できない、つまり離乳食最初の二週間は栄養の観点からはほぼ意味のない食事内容となっています。とはいえ、その後は栄養バランスの取れたメニューに移行するので△と評価しました。

◆補完食: 栄養○
 元々栄養を補完するために考えられたものなので、栄養が一番重視されています。主食だけのお粥は栄養が少ないので、最初からタンパク質や油などを加えることが勧められています。

赤ちゃんのエネルギー必要量が増え、母乳のエネルギーが減っていくので食事で補完する。
出所:WHO『補完食 母乳で育っている子供の家庭の食事』
衝撃のマーガリン/ギー添加粥
出所:WHO『補完食 母乳で育っている子供の家庭の食事』

 母乳育児の場合は特に鉄不足が懸念されるので、鉄を摂取できるメニューが推奨されています。

3~5ヶ月と6~8ヶ月の貯蔵鉄の差が極端。おそらく5ヶ月から鉄不足は始まっている。
出所:WHO『補完食 母乳で育っている子供の家庭の食事』

◆BLW: 栄養×〜△
 本格的に手づかみで食べられるようになるには時間がかかるので、それまでの間栄養を身体に取り込むことができません。


③赤ちゃんの自立

 食について自立しているとはどういうことか、厚生労働省の『授乳・離乳の支援ガイド』内で示されています。

出所:厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド』, 参考資料6『楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~』

 食事は単に食べるだけでなく、生活リズムのなかの1つであり、誰かと食べるコミュニケーションの場です(孤食とかは置いておいて)。さらに大きくなったら自分で食事を作り、自分の健康を自分で維持していく必要があります。その大前提として、食事は楽しいものであってほしい。食事が嫌いだと、その先の健康維持にまで興味が持てなくなってしまいます。
 赤ちゃんに「食事は楽しい」と思ってもらうには、赤ちゃんが自ら食に興味を持ち、食事が楽しいと思える環境づくりをする必要があります。この点に特化しているのがBLWです。

◆離乳食、補完食: 赤ちゃんの自立×
 親が食べさせることで赤ちゃんは「食事は親に食べさせてもらうもの」と認識し、受動的になってしまうと言われています。日本の一般的な離乳食では後期(9~11ヶ月)で手づかみ食べを始めるとされていますが、実は初期の頃から食材に興味を持っていたのに数ヶ月間触らせてもらえなかった、となると赤ちゃんが食材に触れる機会が奪われてしまいます。

◆BLW: 赤ちゃんの自立○
 親はテーブルに食材を置くだけで食べさせようとはせず、食材を取るかどうかは赤ちゃんが決めます。

 余談ですが、私は「愛着形成」というキーワードを大切に子育てしたく、赤ちゃんが自分で選んで決めて行動したことは無条件に褒めて、基本的信頼感を育みたいと思っています。そのためにも自分で食べるか食べないか決めて、口に入れてみて、飲み込むかどうか考えるプロセスはとてもいいなと共感しました。


 上記のように、離乳食、補完食、BLWを比較するとそれぞれ重視ポイントが異なるが故にメリット・デメリットがあることが見えてきました。そこで「全部の良い点だけ組み合わせたら最善の離乳方法になるのでは?」と考え、自作のワイルド離乳食が爆誕しました! 次回は常識にとらわれないワイルド離乳食の内容をご紹介します。

 育児は楽しんだ者勝ち、離乳食も楽しくやっていきたいですね。この記事がおもしろかったよという方は♡押して行ってくださると喜びます! 

《終わり》

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