見出し画像

子どもの貧困の本質的解決に挑む李 炯植氏が「怒りベースの経営から解放された」きっかけ

コーチングによって、挑戦する「社会家」の背中を押す
CarpeDiem株式会社 代表取締役の海野と申します。

コーチとなる以前は、とあるベンチャー企業で創業期から東証一部上場までを突っ走っていました。では、なぜコーチに?

という背景話は、以前詳しく下記noteに書きました。
おかげさまでたくさんの方に読んでいただいています。

が・・・。

こちらで興味を持ったものの、実際どんな方が僕のコーチングを受けて、どんなふうに変わっていったのか知りたいと思った方もいらっしゃるかと思いました。

そこで、過去に僕のクライアントだった方々に連絡し、近況とコーチングのビフォーアフターを伺ってみることに。

第4回は、子どもの貧困の本質的解決に挑む認定特定非営利活動法人 Learning for All代表理事 李 炯植(り ひょんしぎ)さんとの対談です。

1990年、兵庫県生まれ。東京大学教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科修了。2014年に特定非営利活動法人Learning for All を設立、同法人代表理事に就任。これまでにのべ10,500人以上の困難を抱えた子どもへの無償の学習支援や居場所支援を行っている。全国子どもの貧困・教育支援団体協議会 副代表理事。2018年「Forbes JAPAN 30 under 30」に選出。2022年「内閣官房のこどもの居場所づくりに関する検討委員会」の検討委員に選出。


<近況報告と自己紹介>

海野:お久しぶりです。ヒョンさん、ここ最近はいかがですか?

李:そうですね。昨年くらいまでいろいろと国の委員をやったり、尽力してきたことでやっと法律が改正されたタイミングで、10年ほど現場でしてきたことが制度に組み込まれていく経験をしたので、一周回った感じがありました。

加えて、海野さんのコーチングも受けたので組織を任せるところはかなり進んで、上期とか夏くらいまでは全然働いていなかったですね。

海野:めっちゃいい!以前は24時間365日お仕事に没頭されている感じでしたもんね。

李:今はちょっと忙しいですけど。でも、ほとんど仕事はないかな。たぶん来月もそういう感じで、組織をだいぶお渡しできたかなと思います。

執行からだいぶ離れて、あとは先々のことをあれこれと仕込んだり考えたり、自分自身がどうやって生きていくかっていうのを考えたりしています。

子供が2歳になったので、子供と遊びながら時間を過ごすみたいなことが、ギリギリですけどバランスよくできてるんじゃないかな。

そういう過ごし方をするという目標設定はコーチングを受けた時にした気もするので、そういった意味では思ったより進んでるといえば進んでますね。

海野:おー!いいですね!

李:最近はそんな感じですかね。あんまり細かいことはもう知らないんですよね、うちの団体のこと。

海野:最高じゃないですか!

李:そんな感じなんですけど、最近はまあ忙しいですね。今週引っ越すからなんですけど。

海野:子どももいるとなおのことそうですよね笑

<コーチングを受けたきっかけ>

海野:早速なんですけど、出会ったのは僕が共通の知り合いに紹介をお願いしてからでしたよね。その方に紹介されてお話しして、コーチングを受けてもいいかな、やってみてもいいかなって、関心を持ったきっかけがあればお伺いしたいなと思います。

李:けっこう前でしたよね。いつでしたっけ?

海野:2020年ですね。

李:あぁ、思い出しました。僕の大好きな飲み友が紹介してくれた方なので、きちんと話したいなと思った気がします。

当時は、そうですね。2020年ですもんね。コロナ禍で大変だったんですよね。まあ学生起業してからずっとやってきて、だいぶ組織も大きくなってはいたものの、なんかずっと大変でした。

ちょうど子どもがお腹の中にいた時期でもありましたね。仕事をやり続けることへの疲れとか、自分の子どもも大切にしたいなみたいな思いだったりがありました。とりあえず、若いうちは仕事に打ち込んでミッション実現のために頑張っていましたけど、それだけじゃ満たされない何かが大きくなってきたタイミングでした。

海野:なるほどなるほど。

李:そんな状況で、ちょっとコーチング的なきっかけが欲しいなと思っていました。ただ、割とマインドセットの持ち方とか感情の扱い方とか、そういうのだと僕はすぐクリアしちゃうので、あんまり面白くないっていうかハマらない。それで、海野さんのコーチングより以前に受けたコーチングはハマらないことが多かったんですよ。

海野:過去も色々受けてたんですよね。

李:そうですね。海野さんのアプローチは面白そうに思えたのでやってみたいなと思ったんじゃないかな、最初。

単なる言語化支援ではないコーチング

海野:過去に受けたコーチングというのはどんなもので、どういうイメージを持っていたんですか?

李:言語化の支援みたいなのが多いですよね。でも、言語化はできるんですよね割と。

海野:メタ認知力高いですもんね。

李:あとは、経営者をある程度経験してきてない人にはわからない悩みは解消できないものだというイメージがありますね。僕がエグゼグティブコーチング専門の人にお願いしたわけではなかったので、そのせいかもしれませんが、視点が低いなとコーチに対して思うこともありました。

海野:ハハハ笑。確かに。

李:以前コーチングを受けたときの僕は若かったので、25、6歳で受けると社会人5年目6年目の人向けのコーチングセットみたいなのをやってくれるんですけど全然かみ合わないんですよね。

海野:それはそうですよね。

李:40歳50歳のNPOのリーダーの人たちの会なんかに呼んでもらう方が、しっくり来るくらいです。そういう人たちにお悩み相談する方がしっくり来ていたんで、外部コーチっていうよりそういう人たちのコミュニティで相談する方がいいのかなと。20代半ばくらいまではそう思ってました。

海野:僕と会った時は、ヒョンさんは30歳くらいでしたっけ。

李:そうですね。ちょうど30歳くらいでした。僕にとって、家庭とか自分の趣味を含めて全人格的な自分自身に対するありたいイメージを持ちつつ、その臨場感をはっきりと自分の中にありありと想起させ、イメージを作りながら、そこの世界に向かってマインドを作っていくというパラダイムは新しかったんですよね。それはすごいやっててよかったなと思います。

海野:最初聞いた時はどんな印象でした?

李:想像がつかなかったので、何すんねやろみたいな感じでしたね(笑)。

<半年のセッション Before⇒After>

海野:ありがとうございます。実際コーチングを受けてみて、ご自身の中でどういう変化がありましたか?印象に残っていることはありますか?

李:そうですね。仕事面での目標設定はよくやっているものの、プライベートとか人生そのものに関しては考えているようで考えていなかったんですよね。

とはいえ、学生起業なのでやりたいことをずっとやってきたはずではあったんですよ。だけど、それだけが自分の人生じゃないなと思い始めていた。

そういうことを考えられるくらいには団体が安定してきていたんでしょうね。子どもの貧困問題に対して、僕が命をかけてもやれる幅ってのはそんなに大きくなくて、組織として成長すべきフェーズにはなってきてたかなっていう感じでした。

この頃は子どももできたし、海野さんのコーチングで家族や趣味といった仕事以外のいろんなカテゴリに対して自分なりのこうなりたいというイメージを一緒に作っていけました。

今はわかるのですが、持続可能にしていくためにも、僕が楽しみながら仕事するっていうのは大事なことなんですよね。

自分が思っていたよりもプライベートで子供とちゃんと遊びたいんだなと気づけたし、そういう休日を過ごしつつも仕事をやっていきたい自分の欲求みたいなのがあるんだなって改めて気づきました。

海野:働く時間もだいぶ変わりましたよね。

李:そうですね。1年365日、ずっと働いていたんですよね。2020年は休みがなかった。ふり返ってみれば、自分の幸せを自分で大切にすることを全然やってきていなかったんです。

そのことが疲れとして出てきていて「このままあと10年走り続けるのか」「一生こんな感じなんだろうか」みたいな迷いにもつながっていました。そういうことを自覚して、働き方を変えねばというのが確信に変わっていきました。

<怒りのエネルギーで動いていた>

李:あの時期は海野さんからはどう見えていたんですか?

海野:僕目線だと、めちゃくちゃ自分に負荷とストレスをかけまくっていて、怒りのエネルギーで駆動していたために自分自身も破壊しているように見えていましたね。

そういう状態から、今ある目先の怒り以上に、どこを目指したいかという未来の理想的な姿に想いを馳せるようになっていった。当時ヤケ酒のように飲んでいた飲酒量も減り、家庭でのやりたいことへの進捗があるみたいな動きが出てきたように見えていました。

李:そうでしたね。

海野:やっぱり表情も変わりましたよね。本質的な使命感は変わらないんですけど、どうしてもやらなきゃいけない、どうにかしなきゃいけないという、切迫感と焦燥感みたいなものは消えた感じがあります。

李:その通りだと思います。たぶんそれが年々増していって、今年度はそんなに忙しくない状態になれているのかな。そこまで任せられる組織を作れたきっかけにもなったし、僕自身のメンタルヘルスもいい状態です。お酒も別に毎日飲んでないですしね。

海野:怒りで動いていた時代はどんなメンタリティだったんですか?

李:こうあるべきだという理想に燃えていて、現状と理想の差分を絶対に埋めるんだ、そのために全員が粉骨砕身すればいいんだと信じていて、そうしないやつなんてダメだと思いながらやってましたね。

でも、みんな今そうしている理由があるわけですし、個々人みんな忙しいわけですよ。だから、そんなことを言っててもゴールには一生たどり着けない。それじゃあやってる意味はないですよね。

海野:うんうん。

李:みんなができることを増やしていきながら、少しでも早くみんなで理想に行けるようにしようと思い始めると、理想から現状を見るというより現状から理想を見つつ現状を一緒に作っている横並びのシステムをよく見て、人を見て、その人たちといかに一緒に会話しながら共に早く理想に向かう取り組みを始めるかってことが自分のアジェンダになるんですよね。

そうすると、目標の置き方とか自分の心持ちがやっぱり全然変わりますよね。どうすればこの人たちと一緒に理想の世界に行けるだろうかと考えると、力を抜いて、執着を手放しながら楽しくやれるんですよ。面白いですよね。

海野:なるほどね。

<怒りや焦りを手放してから組織はどう変わったか?>

李:怒りや焦りに動かされる自分を手放して、プライベートの充実にも時間をかけるようになりました。仕事でも良い意味で気が抜けるようになったんじゃないですかね。

海野:どの辺を手放してったとかってありますか?

李:それまではよく、最短で最良のゴール設定をしていたんですよね。今もそうといえばそうですが、この時の最短とか最良ってのは、自分が永遠に働き永遠に成長し、部下も全員毎日プロフェッショナルに働くことを前提にしたゴール設定なんですよね。

その前提でミッション達成のために最短最速の目標を設定するのがゴール設定だったんですけど、結果としてみんながしんどくなる組織を作っていたんですよね。

社員もしんどいし、僕もしんどい。持続可能ではないシステムだったんですよね。冷静に考えて誰か辞めてくだろうなと。

海野:それはしんどいですね。

李:加えて、僕自身仕事がたくさんあって、責任も重いのでやり切らなきゃいけないし、それだと家庭にはコミットできてないわけで、家庭に居づらくなっていました。いいことをしてるはずなのに理解してもらえない。

まあそんなに家族関係が悪くなっていたわけではないけど、理想的な状態ではなかったので、その辺のバランス取りたいなとは思ってはいましたね。

海野:それで変えようと。

李:はい。自分も含め全員にとって持続可能な形で最短最良のゴールを目指すようになったと思うんですよね。

僕は野武士みたいにして生きてきたので(笑)。ちゃんとワークライフバランスをとったりとか、持続可能なやり方を取りつつもプロフェッショナルとしてやるってのは対極だったんですよね。それをやめて、僕がまずこの仕事を楽しいなと思いながらやり続けられる状況に自分も持っていかないといけないと自覚しました。

社員にもそういう状態を作りたいと思ったので、そうするとまず自分からだよなと。社員のためにも、もっと組織に投資しないといけないな、人に投資しないといけないなと思いましたね。

海野:いいじゃないですか。

李:経営の意思決定としてもお金の使い方が変わってきますし、自分の時間の使い方も変わりました。任せるようにもなりましたね。責任と権限を手放したりだとか、全部自分ではコントロールできないので任せて、自ら育ってもらうとか、そういう方向性はコーチングを受けたタイミングでいろいろ決まりましたよね。

ただまあコーチングを受けてすぐ組織全体がそうなるかというとならないので、3年くらいかけてだいぶそちらの方に近づいたんだと思います。

海野:なるほど、今実際振り返ってそうなってるなって感じてるんですね。

李:相当なってますね。業績もいいし、組織も拡大し続けている。それ以上に社員の働きやすさがもっともっと増している。僕自身、持続可能な形で働けているのでいいことですね。

海野:めちゃめちゃいいですね。ありがとうございます。

<子どもの貧困解決に向けた今後の展望>

海野:今後の展望で見たときに、国の政策周りとか、さっきおっしゃってきたように一周まわった感じはあるわけじゃないですか。

これからさらにこうしていきたいと今思い描いていることはありますか?

李:そうですね。パッと浮かぶのは2つくらい。

1つは、引き続き小姑にならず権限を与えていくことですね。

今年、もうだいぶ子ども支援の現場づくりのオペレーションからはだいぶ離れたんですよね。それまで僕1人がトップだった状態から、3人くらいの合議制で進めるリーダーチームに変えました。それでより集中的に議論してもらって、投資もしっかりしていて、まあそっちの方が上手くいくんですよね。

僕は現場からはどんどん離れて行っているし、年齢も重ねていくので、やっぱりどんどん若い人たちに権限を持ってもらって、それによってより発展していくんだろうなと思っています。そこをやりきろうと思います。小姑にならずに黙っておくというか。

上長や意思決定者としてではなく、あくまでコーチやスポンサーとして彼らを応援できるような立場にどのように自分自身を持っていくかが目標です。

それがLFAの今後の展開につながっていくはずです。そこには確信があるので、一つやりきりたいことですね。

2つ目は、全国の団体との連携を進めること。

うちの団体だけがいい感じでも、日本全体として問題が解決するわけではないですよね。全国に目を向けるとほとんどのNPOが経営がしんどいし、子どもたちがいる現場で汗をかいている方々は日々本当に大変なわけですよね。

やっぱり全体的に子どもたちのしんどさ・課題の量に対して支援供給する側の体力が弱い。

NPOの量・質共に課題があるんですよね。そうしたところの課題設定をして、LFAで新しい取り組みを進めていきたいし、僕はそういうところをリードしていきたいなと思ってます。

具体的には中間支援をする全国組織を作るとか、今もやってますけど、全国の団体さんとアライアンスを組んで色々一緒にキャパビルしていくとかですね。なんかそういうことを僕はやっていきたい。

※キャパビル:キャパシティビルディングとは、組織が目的達成のために必要な能力や基礎体力を構築し、向上させていくことである。

まあ足元は任せて、僕は全国の団体と連携とかができるとLFAのインパクト自体も拡大すると思いますから、そこをしっかりやりたいですね。

海野:めちゃめちゃ素敵ですね。

<「自分、このままでいいのか?」と思う人に勧めたい>

海野:最後に、どんな方に僕のコーチングをおすすめできるかを伺いたいです。

李:どんな人なんですかね。コーチングをあれこれ受けたけどピンと来なかった人は1回受けてもいいと思いますね。アプローチがちょっと独特なので。それが僕はよかったなと思う。あとは、立場を問わず今やってることをこのままやっていて大丈夫なんだろうかと思い始めている人ですかね。

海野:なるほど。僕との相性みたいなこともあると思うんですけど、ヒョンさんから見て僕はどんな人ですか?

李:熱量を持って接してくれるからこっちも楽しく明るい気持ちになります。心から応援してもらっている感じがする相手ですね。

良いものを良いって言うし、違うと思ったら意見してくれる。そういう率直さが好きですね。お金もらったからしてやってるみたいな感じではなく、フラットな関係でミッション・ビジョンを考えてくれるコーチだなって思います。それはすごく良いですね。僕にはすごく合ってました。

海野:お褒めに預かり光栄です!
今日はお時間いただきありがとうございました!

<コーチングが気になった方へ>

ご自身の人生のステージを変えたいと思っていらっしゃる方は是非お問合せください。下記のお問合せフォームよりお待ちしております。

Facebook:

X:

関連記事:

※コーチングの他事例や取り組みについては他の記事もご参照ください
https://note.com/umihey

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?