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メーカー製造部門からスタートアップへ「先が見えないからこそ、成長がある」/プロダクトマネジャー辻村

こんにちは、ウミトロン佐藤(あこてぃす)です。

ウミトロンは「100人よりも1人の逸材を/ One genius than 100」を採用スローガンに掲げています。

水産養殖のコンピュータ化は、世界のスタートアップでも前例のない分野。ウミトロンがフロントランナーとして持続可能な水産養殖を実現していくためには、ミッションそのものへの高い情熱はもちろんのこと、自身の専門を超えた周辺分野への強い好奇心、新たな価値観や技術の習得、仲間へのリスペクト、そして難題に直面した際もオーナーシップを取ることのできる人材を採用すること、そしてコンパクトなチームでそれぞれ自発・有機的にプロジェクトを推進する体制を作ることが必要です。

特集「One genius than 100」では、ウミトロンにジョインしたメンバーをインタビュー形式でご紹介し、抽象的なスローガンをよりリアルな人物像に落とし込んでいきます。

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辻村 周高(つじむら かねたか) 通称:かねごん
プロダクトマネジャー/ハードウェアエンジニア
東北大学大学院卒業後、大手部品メーカーの製造部門にて自動車、船舶、医療機器向け部品の生産ラインを担当。自動ライン立上げ、歩留まり改善をはじめ生産人員の最適化、新製品開発など製造工程における幅広い業務に従事し、本社工場の主力製品に関する製造コスト削減プロジェクトをリーダーとして推進。ウミトロンでは主に、メーカー選定、製造管理、サプライヤー管理、物流管理等のプロダクト量産化プロセスを担当。好きなシーフード料理は鰹の藁焼き。

金属研究が全てだった大学院時代

佐藤:インタビューのトップバッターは、なんとまだ入社して約3ヶ月のかねごんです。大手メーカーからスタートアップという非常に珍しいキャリアだと思うので、今回はかねごんのキャリアにおける意思決定プロセスと、まだ3ヶ月なのに即戦力として活躍している秘訣を暴きたいと思っています!ルーツを知るためにも遡って話を聞きたいのだけど、まず大学院ではどんな研究してたの?

辻村:いわゆる「材料系」と呼ばれる、金属の研究。具体的に言うと、新しい元素を組み合わせて、今まで使われていなかった銅合金を作る研究をしてた。選んだ理由は、すぐアプリケーションになるような研究よりも基礎研究のように物事を突き詰めて解き明かす方が好きだったから。子供の時から何か現象が起きた時に、なぜそれが起きているのかを知りたい気持ちが強いタイプだったと思う。実際に自分で手を動かして物を作り出し、その結果を受けて改善するサイクルを回していくのが楽しくて研究にのめり込んでた。

部品メーカーでまさかの工場製造ライン管理へ

佐藤:そんな研究に没頭してたかねごんは、大学院時代どんな就活をしてたの?

辻村:当時は研究が全てだったから、「材料の研究ができる会社」かどうかが一番の軸だったな。当時、所属学科に就職の推薦枠があって、ちょうど材料の研究ができる部品メーカーがあって。その部品メーカーの面接を受けて内定をもらったから、入社した会社しか実は受けてないんだ。

佐藤:当時の理系の就活って、ちょっと特殊だったのかもね。かねごんは入社してどんな部品を扱ってて、どんな仕事を担当してたの?

辻村:会社のメイン商材はバネで、僕が担当してたのはベローズという部品。簡単に言うと、金属でできた蛇腹みたいなやつで、主に自動車のブレーキに使われてる。約4年間前職で働いていたんだけど、最初半年は実際ラインに入って作業する工場実習。その後は製造課に配属されて製造技術という職種になった。製造技術の主な役割としては、工場での製造ラインの管理がメイン。効率的な製造ラインや不良品が出ないように歩留まりをあげる改善策を考えたり、設備のメンテナンスをしたりしてた。

佐藤:…あれ?材料の研究じゃないの?

辻村:配属の希望は研究開発で出したんだけど、結局叶わず。。最初配属された当初は正直「え!なんで!?」って落ち込んだけど、結果やってみて楽しかったことややりがいもあったよ。

工場現場で実感したやりがい

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佐藤:具体的にはどんなこと?

辻村:一つは、自分の試行錯誤に対して結果がはっきりと返ってくること。例えば新製品の試作で、設計された部品を実際に製造ライン走らせると、全然設計通りの形状や特性にならないことがほとんど。でも本番では当然連続して同じものがきちんと製造できないといけない。どうするかというと、死ぬほどサンプルを作って、作ったサンプルとその結果を統計的に分析して、どんな製造条件だったら安定的に作れそうか、トライアンドエラーを繰り返すんだよね。試作から量産化までは最低でも半年くらいかかるんだけど、製品が問題なく効率的に製造できるラインができるとめちゃくちゃ嬉しい。

あとは、工場現場で起きた問題を解決した時に、現場の人たちから感謝されたり頼られたりすると純粋に嬉しかったな。現場の人たちは良い物作ろうと頑張ってたから。工場では毎日のように様々なトラブルがあるんだけど、その原因究明を必死にしてた。研究の時の思考プロセスとすごく似てたから、得意だったんだと思う。

佐藤:なるほど。配属希望は叶わなかったけど、やってみたら案外ハマったり良かったこともあったのね。この辺の経験は、ウミトロンで量産立ち上げを担う上でもすごく活きてそう。そんな中、転職を考えるきっかけが何かあったの?

製造現場の課題をサプライチェーン全体を最適化して解決したい

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辻村:転職しようと思い始めたのは、社会人4年目の春頃だったかな。このまま同じ会社で働き続けると、スキルや経験が会社に特化しすぎるものになってしまうのではという漠然とした不安から、自分のキャリアに向き合うようになった。働く中で、ものづくり〜販売までの過程で生じるコスト意識や部署間の連携など、サプライチェーン面に課題意識がずっとあって。現場の一部署ではその課題に気づいてもどうしようもできなかった。だから今度は、製造の一部署ではなく、サプライチェーン全体を俯瞰してものづくりの過程を最適化することに挑戦したいと徐々に思うようになった。

佐藤:転職活動ではどんな会社を受けてたの?

辻村:最初はものづくりの会社を支援するコンサルや、メーカーの中でも「原価企画」と言われるポジションを見てた。でも、実は「自分は他の会社から必要とされるのか、本当に通用するのか」という不安が常にあったんだよね。「このキャリアチェンジによって、本当に自分の市場価値をあげる事ができるのか」とか。

佐藤:わかる!私も最初メガバンクからベンチャーに転職する時、同じ不安があったよ。銀行に特化した知識や経験も多い分、他の会社だと通用しないんじゃないかと思ってた。何でスタートアップも転職の選択肢に入れようと思ったの?

市場価値を高めるためのキャリア選択

辻村:スタートアップを受けるなんて最初は全然思ってもなかったんだけど、元大手メーカー出身で自分と同じような課題感や違和感がきっかけでスタートアップに転職されていた方に出会って。その方から「スタートアップ で、自分の市場価値を高めませんか?」という言葉を聞いた時、自分の抱く不安に対してすごく刺さったんだよね。

ちょうどその時受けていたコンサルやメーカーの面接では、すごくスキルチェックされている感覚があって。スキルフィットで採用されても自分のできる範囲のことをやるだけだから、もしかして転職しても市場価値って上がらないんじゃないかと、モヤモヤ考えてた。スタートアップだと、自分の市場価値を高めることのできる要素が何かあるのかもしれないと思ったのが選択肢を広げるきっかけだった。

佐藤:そこからスタートアップ に興味を持ってエントリーし始めたんだね。ウミトロンはどんなところがいいと思って選考を受けてたの?

「僕らがつくるもので、世界を変えられる」

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辻村:一点目は、事業会社のサプライチェーンマネジメントを担う一人目のポジションとして、自分の手で一からサプライチェーンの構築を担当できるのは魅力的だったこと。会社の規模が小さい分、一人で全部見る事ができるのは、他の会社にはない成長できるポイントだと思った。

二点目は、水産養殖という意義も大きい1次産業に関われて、使う人にとって本当に役に立つものをつくる事ができる点。シンプルなんだけど、「役立つものを作りたい」という欲求がものづくりとしてはあって。とある生産者の方から「もっと日々の養殖におけるオペレーションや魚の育て方を改善したいと思ってる。ただ、どうしたら改善できるのかわからない。改善の方法を見つけて教えて欲しい」と言われているという話を選考の中で聞いて。会社として売りたい物を作るのではなく、「生産者に実際に会い、課題を目で見て、本当に必要とされているものを自ら生み出して改善できる」ものづくりは、すごくやりがいに繋がりそうだと。

大手メーカーからウミトロンにジョインしたハードウェアエンジニアのメンバーとは、気がついたら終電ギリギリまでものづくりについて話し込んでて、「僕らが何をつくるかで、変わる世界がある!」って言って意気投合した笑。

「先が見えないからこそ成長できる」不安からワクワクへの変化

佐藤:ものづくりに対して熱い!考え方も素敵。でも、最終的にオファー承諾する時、迷いはなかったの?私の場合、スタートアップにジョインする決断は、すごくワクワクしつつも勇気のいる選択だったから。

辻村:すごく悩んだよ。コンサルからも最後オファーをいただいて、どうしようかって。スタートアップは先が見えないというのが、正直不安ではあった。サプライチェーンマネジメントというざっくりした括りはあったけど、ぶっちゃけどんな業務をやっていくか何も決まってなかったし、どんなプロダクトが今後できるのかも何もわからない状態。

でも、最終的には「先が見えないからこそ、常に新しい挑戦ができて成長できる=市場価値が上がる」と思えた。ウミトロンは、自分がやりたいと思えば未経験でも色んなことができるし、むしろ何でもどんどんやって欲しいというスタンスだった。最初不安だったのが、オファー承諾する時には先が見えないことにワクワクしている自分がいたんだよね。

佐藤:おお、思考がスタートアップっぽい。でも、先が見えないことを探究することにワクワクするという意味では、研究時代から変わってないのかもね。

ウミトロンにジョイン後の活躍とやりがい

佐藤:ウミトロンにそんな風にワクワクした状態でオファー承諾して、実際入社したのが2019年9月。実際どんな仕事をウミトロンでやってるか、簡単に説明お願いします。

辻村:メインは、UMITRON CELLの量産立ち上げに絡むこと全般。各サプライヤーからの部品調達や生産・納期・品質管理、ライン立ち上げとトラブルシューティング、完成品の配送や在庫管理とか。いわゆるサプライチェーンマネジメントに加え、コスト削減や効率化を図るためのサプライヤーとの交渉、新規サプライヤー開拓とかも範囲で、設計側とビジネス側両方とコミュニケーション取りながらプロマネを担ってる。

あとは、実際現場行って生産者の方にヒアリングしたり、不具合があれば原因解明して製造ラインに反映させて改善したり。軽微な修理なら現場でやったりしてる。

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佐藤:楽しいって感じる時はどんな時?

辻村:人に言われてやるのではなく、自分で考えて結果を出す、そのサイクルと回数が圧倒的に多くて、それは楽しい。「これやったら良くなりそう」と自分が思うことをやれるしね。しかも、「これやったら良くなりそう」と思うことが死ぬほど転がっていて、それが一番面白いかな。

佐藤:わかる。めっちゃ、転がってるよね笑。それをいつもカネゴンがうまくハンドリングして、製造周りが円滑に回っている印象がある。3ヶ月という超短期間で、キャッチアップだけでなく、未経験だったサプライチェーンマネジメントがなぜできているのか、その秘訣やノウハウを知りたい。

辻村:物事を構造化する力が、サプライチェーンマネジメントする上では重要だと思っていて、そのスキルが活きていると思う。まずは情報をインプットして全体を整理して構造化する。各プレイヤーと役割、立ち位置と考え方やモチベーション、依頼事項などを整理すること。その上でアクションをとる。

でも、初めから得意だった訳ではなくて、前職で試行錯誤しながら構造化力に関しては鍛えられたかな。例えば、「不良品の発生原因を探る」となった時、最初の頃は人から言われた「あれが原因なんじゃないか」という一部の仮説に対してとりあえずアクションをしてみるだけだった。でもそれだと結局真の原因になかなかたどり着かないことも多くて。

フォルトツリー解析という解析手法があって、簡単に言うと、全体の情報を整理した上で、考えうる全ての不良品発生原因を洗い出し、原因ごとに場合分けして細分化をしていき、優先順位を決めてアクションしていく。これをひたすら前職では繰り返してた。サプライチェーンマネジメント自体は未経験でも、この考え方を応用して構造化できているから今うまく立ち回れているかもしれないな。

佐藤:なるほど、勉強になります。。ものづくりに熱い想いを持つかねごん、出張で養殖現場に行って感じることはあった?

辻村:「一緒に良いもの作っていこう」という協力的なスタンスの生産者の方がいらっしゃって、僕が会った中で一番印象に残ってる。自分のモチベーションとしてもすごく高まった。使ってくださっている人の顔がわかるというのは、プロダクトの製造工程に携わる中でもすごくやりがいになってる。

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「本当に必要なものを顧客起点でつくりたい」辻村の今後の挑戦

佐藤:今まで過去から遡って学生時代、前職、ウミトロンに入社してから現在、というところまで話聞いてきたけど、今後のウミトロンでのキャリアで考えていることや、挑戦したいことはある?

辻村:海外での工場開拓や製造工程を整える、ということはやってみたい。海外出張の中でも、深センはかなり刺激的で面白かった。ものづくりのクオリティーの高さに驚いたね。あとは、設計にも携わりたい、というのはあるかな。ものづくりは好きだし、生産者にとって本当に必要なものを顧客起点で設計することに挑戦してみたい。

佐藤:へー!かねごん設計もできるんだ!

辻村:いや、できない笑。前職でも、工場に置いてある機械の一部の治具を設計することはあったけど、それくらいしかやったことない笑。でも、ウミトロンはやりたいって言えばやらせてくれそうだから。1から10まで全ての設計じゃなくても、イメージレベルの設計をして、誰かに書いてもらうとか。アイデアを出して、それを形にするのが面白そうだと思ってる。

佐藤:いいねー!かねごん設計のプロダクト、将来現場に届けよう!色々話聞く中で、かねごんが速攻でウミトロンに馴染んで楽しそうに働いている、その理由がわかった気がする。今日はありがとうございました!

辻村:自分と同じように、現状に違和感を抱えながらも「果たして他の会社でも通用するのか、必要とされるのか」という不安を抱いている人は多い気がする。でも、実際飛び込んでみると、そういうことを気にしなくなった。できるかどうか、失敗とかも気にする間もなく、気づいたら夢中で取り組んでる感じ。だから転職活動中に抱いてた不安は、今思うと大したことなかったなと。今回の自分の話が、誰かのキャリアの参考になったら嬉しいです。


最後に、辻村の「逸材」ポイントを他のメンバーに挙げてもらいました。

・現状把握が光速。全体感をつかんだ上で細部を詰めるスピードとクオリティを両立できるし、実行時にどこまでやるかの線引きが非常にうまい。スピード重視のウミトロンになくてはならない存在です。
・好奇心に駆られて動くメンバーが多い中で、事前に予想しているかのごとく抜け漏れなく確実にカバーしてくれます。彼のおかげで安心して製品設計に専念できるので、会社の開発スピードは確実に上がっています。優しい雰囲気の持ち主ですが、どんなタフな局面でも表情を変えることなく常に冷静に判断ができ、頼りになります。
・海洋環境で自律稼働するIoTプロダクトは、使用環境においても、求められる仕様においても、最も難しい技術課題。また、日進月歩でアジャイルにプロダクトを進化させたいスタートアップと、高品質のプロダクトを安定生産したいサプライヤーという、一見利害が相反しそうな双方の論理を理解した上で、難しい意思決定を日々こなしてくれています。これらは誰から見てもHard thingsなのに、飄々と乗り越えており、強い芯を持ったプロフェッショナルな人間だと尊敬の念を覚えます。

ソフトウェアエンジニアやビジネスサイドの求職者にとって、スタートアップというキャリア選択は珍しくなくなってきました。近い将来、ものづくりのエンジニアが次のキャリアにスタートアップを選択する、そんな流れがくるかもしれません。

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