多様性のある世界と、何かを選ばなくてはいけない世界

席についた時に、水しか出てこない店なら、何も言わなくていい。しかし水かお茶か選べる場合、どちらかを選ばなくてはいけない。

そして悩んでいると「麦茶もありますよ」と言われたりする。

いっぱいありすぎても困る

Netflix見るようになって、こんなに色々映画とかアニメとかあったんだなあ……と思って、適当にマイリストに放り込んだとこまではよかった。

され、どれから見たものか

その時の体調もあるし、見るのに期限があるものもある。いつまで契約するかわからないから、重要なやつは先に見たほうがいいし……

積みゲー問題の再来。積み動画問題が発生した。

なさすぎても困るけど

見たい物が1個しかなかったとしたら、こういう問題は起きない。

でも契約する気にもならなかったと思う。

色々あるから、当たり外れはあるにしても、トータルで満足のいく結果が得られるだろうと期待して契約したわけで。

大きな本屋

旅行で電車に乗る時に、好きな本を1冊買っていいというハウスルールがあって、それで漫画とか買ってたんだけど、駅にある小さな本屋なので、選択肢はものすごく狭かった。

むずかしそうな文庫本とかもあるし、自分が読めそうな漫画と考えると、せいぜい3種類ぐらいといったところ。

権利を使わないのももったいないので、とりあえず買ってみて、結果として面白かったのもあるし、そうでないのもあるけど、もっと本おいてるとこだったらなあ……という思いがあった。

で、ちょっと大きな本屋で電車に乗るというチャンスがあったんだけど。

すごく迷った。

えっ! あの人の新作でてたの? 

いやこの本も知らないけど面白そう

コレは買っても続きが地元に売ってないのでは……

みたいなのを、厳選したあとでもまだ10冊ぐらいは選択肢があって、でも買えるのは1冊。

結果として満足感よりも疲労感の方が多かった。

自己決定と自己責任

選択肢があるということは、決定しなきゃいけないということ。そして選択肢が多いど、選べなかった選択肢も多くなる。

あとで取り返しがつく物が多いけど、それでも一時的には選べなかった状態になる。そして選んだのは自分だから、自分の責任ということになる。

実際は、必ずしもそうとは限らない。

選択肢に関する情報が間違っていたり、正常な判断ができない状態だったり。誰が選んだかと誰に責任があるかは別。じゃなきゃJAROは要らない。

でも、選んだんだからお前のせいだと言われたり、そう言われて納得しちゃったりすることがある。

そういう目にあってきた人は、多様性自体を拒否するようになる。

選べるから自分のせいにされるわけで、じゃあもう最初から選ばせるな! って思うのは、わりと自然のなりゆき。

多様性が悪いんじゃなくて、周りのやつが悪いんだけど、どちらにしても多様性がなくなれば、ある程度は解決する。

色んな角度の多様性

今回はNetflixの動画をどれを見るか、つまりNetflixという部分はすでに決定されてた。

これも動画サービスは色々あって、アニメ専門とか、ディズニー映画に強いとか、色々ある。何を見るかの前に、動画サービスを選ぶかという問題があった。

それは海外ドラマも見たかったし、それを英語音声+字幕と、日本語吹き替えの両方が見れるという理由が大きかったけど、でも見たいのにやってなかった番組もある。

なんというか、全部見れるように統一してくれればいいのにな……と思わなくもない。そこの多様性は必要としてない。

実際には競争しないとサービスの質が落ちるし、一社の自主規制が全てに及んでしまうから、色々あった方がいいんだと理屈ではわかるんだけど……

そこらへんちゃんと考えたところが全部やってくれたらなあという気持ちもある。

多様性があるのに選ばなくても済む世界

Netflixでも多すぎて困るというのはわかってて、それまでに見た作品とかのデータを元に、好きそうな作品もおすすめしてくれるという機能がある。

いわゆるレコメンド機能というやつ。

まだまだ精度は低いけど、これを突き詰めていけば、次に見るべき作品を数本に絞って提示することができたり、最終的には今お前が見て楽しめるやつはコレ!って、1本だけ教えてくれるかもしれない。

もちろん動画だけじゃなく、食事も、結婚相手も。

なんかこう、ディープラーニング的なあれで。

『PSYCHO-PASS』の世界

前にやってた近未来アニメだけど、作中の設定では、特殊なセンサーで見るだけで、犯罪者予備軍かどうかを判断できて、精神状態が危険なら何もしてなくても殺すという設定だった。

でもそれ以外の部分でもこのシステムは使われてて、たとえば適正を見て就職先も選んでくれる。

そこまで技術が進めば、見る動画だって選べるだろうし、結婚相手だって決めてくれそう。

本来やってみないとわからない、少なくとも自分ではわからないことが、AIの力ならわかる。

これはやばい。

多様性があって、かつ決定しないですむ世界。

アニメではディストピアとして書いてあったけど、実際にはそれをユートピアと区別するのは、なかなかむずかしい気がする。

それをディストピアと区別する方法は……

これが一番おすすめですって言われても、もっと面白いのがあるかもしれないし、ないかもしれないけど、それを確認する手段がない。

もし確認手段があったとしたら、結局どれがいいのか、自分で判断しないといけないから、前提が崩れてしまう。

選択しなくてよくなったのか、選択する権利を奪われたのか。

PSYCHO-PASSでもそこらへんがいまいちアレで、全体としては、これはディストピアだという表現になっていたけど。

そこまでしても結局犯罪者だらけってのも問題だし。

でも大多数の人はユートピアとして受け入れてるという風にも描かれてた。

実際にそうなりそうな気がする。

多様性っていうのは案外疲れるものだから。

それでもやっぱり多様性は欲しい

自分の好みがわりと少数派なことがおおいんで、多様性のない世界というのは問題外。

でも多様になりすぎれば、人間の手におえなくなる。

それで結局はランキングを見て買うとか、多様性があるのかないのか、わからない行動になってしまう。

レコメンド機能とその発展は必要不可欠だと思ってるし、それがなければ。「多様性なんかない方が幸せだ」という圧力に負けてしまいそうな気がする。

ただそれにはまだ時間がかかるだろうし、PSYCHO-PASSまでいかない丁度いいところで止まってくれるかどうか、あるいは想像を飛び越えたもっとすごいシステムになっちゃうのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?