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【超能力捜査】霊視で解決・ヘイトクライム殺人事件


2002年1月、イングランド・バーミンガム。31歳のマーク・グリーンは夜、友人と街の中心部へ飲みに行く。彼は1年前に実家に戻っており、息子が家に戻らないことを心配した両親が警察へ連絡。行方不明者としてレポートする。

マークは地元大学の講師で、アートとデザインを教えていた。彼は同性愛者であることを公言しており、両親も息子のセクシュアリティを受け入れ、友人も多かった。

銀行口座を調べたところ、夜の外出以来現金を引き出しておらず、携帯電話も使用していなかったことが判明。マークの失踪はゲイコミュニティに衝撃を与える。彼がなぜ失踪したのか、どこに行ったのか誰も分からなかった。

警察はまず、行方不明になった夜一緒にいたマークの友人に話を聞く。友人によると、その夜マークは別のクラブに行くことにしたため別々に帰宅したと言う。

マークが最後に目撃されたのは1月17日。クラブのメインドアを出るところが目撃されている。その後外の防犯カメラにも写っていた。バーミンガムには無数の防犯カメラがあるのにもかかわらず、マークが写っていたのはそのうち一台のみ。警察は地元ラジオに訴えるが何も新しい情報は得られない。

警察は街で何百人もの人々に話を聞く。マークが普段連絡を取っていた人、連絡が途絶えていた人にも、大学の関係者であるないにかかわらず話を聞くが、手がかりのつかめる情報は得られない。突然消えてしまったかのようだった。

この件を任されたマルセラ・デイリー刑事が言う。

「息子の帰りを待つ両親に、今日も見つけられなかったこと、なぜ見つけられないのか、誰もそれを説明できないことを伝えるのはとても困難でした。」

マークが姿を消してから2ヶ月が経過した頃、240km離れたウェールズで、超能力者ダイアン・ラザラスが、マイラ・グリーンという女性の個人交霊を行なっていた。彼女は、前年に亡くなった娘とコンタクトを取りたくてダイアンの元へ来ていた。ダイアンの交霊は非常に詳細で、クライアントが後からも聞けるように全てを録音していた。

交霊でダイアンがリーディングをする。

「シャームという名前の若い女性が来ています。彼女は事故で亡くなったような気がしています。愛していると言っていますよ。彼女が今、マークという男性を連れてきました。腕を彼に回して彼を前に出している・・。そして彼は間違いなく亡くなったと言っています。」

ダイアンはその男性はマーク・グリーンだと思うと告げた。彼女はマークがマイラの甥だとは知らない。警察もマークは行方不明だと思っている。

ダイアンはその時のことを振り返る。

「マーク・グリーンのことは聞いたこともありませんでした。初めてマークのことを聞いたのはそのリーディングを通してでした。そうです、間違いなくマークという男性です。」

マイラは「マークはの私の甥です。彼は行方不明になっているけど、死んでいません」と言った。

ダイアンが言う。

「マイラが首を振って『だめよ、彼を連れていかないで・・』と言ったのを覚えています。だからマークがどういう人か描写し始めました。茶髪で素敵なスマイル。芸術が好きだと言っています。大学への道を案内してくれているので、大学で働いていたような気がします。私にリュックサックを背負っているのを見せた。彼はいつも急いでた・・。」

マイラは言った。「それは私の甥です。大学講師だったの。でも彼は死んでない」と。

しかしダイアンの描写は非常に正確で、信じる以外になかった。

ダイアンが言う。

「マークは自分は失踪していないと言っています。両親の元を離れたのではないと。彼はかなり苦しんでますね。なぜなら殺されたからだと言っています。マイラはこんな展開になるとは一瞬たりとも思わなかったと思います。単に亡くなった娘からのメッセージがあるかもしれないと思って来ていましたから。本当に驚いていました。」

ダイアンはマークが失踪した夜、何が起こったか、感じたことを説明する。

「彼はナイトクラブに行ったと言っています。そこを出て攻撃された。彼はひどい打撃を受けたと言っています。後頭部に何かとても重いものが当たったと。今は水に埋められていると言っている・・。そして、事件の解決を手伝ってくれる女性がいると言いました。ショートヘアで素敵な目をした女性・・。テレビ出演が予定されていて、その後事件は解決されるとも言っています。マイラは本当に驚いていました、ただ椅子に突っ伏すのを見たことだけは覚えています。自分でも彼女に言ったことを信じられませんでした。彼女は震えていました。そして、録音したテープを警察に届けると言いました。」

その翌日、録音テープはデイリー刑事の元へ届けられる。

デイリー刑事は言う。

「テープを聞いた時、信じ難いと思いましたが、柔軟な考えを持ち続けることが大事だと考えました。場所やマークの両親に関する情報に加え、彼女はショートヘアで素敵な目をした女性刑事が事件解決のキーと私のことを描写していました。推測可能とは思えない要素がいくつかありました。あえてメディアには伝えていない情報があったのです。ダイアンはこれらの点に多く触れていました。」

デイリー刑事はマークの両親に、ダイアンと連絡を取る許可を得る。彼らはやや難色を示したものの、息子に関して得られる情報は検討する必要性を感じていた。

ダイアンが言う。

「デイリー刑事から電話があって、マークが殺されたことをどうやって知ったのかと聞かれました。なぜ詳細を知っているのか、ここまで詳しくは知りようがない情報だと。でも同時に納得もしてくれました。本当に深刻な質問を受けていると感じました。だから私はできる限り最善を尽くして答え、自分が変人ではないことを説明しようとしました。そしてマークは霊界にいて、彼が私に情報をくれたことも。」

デイリー刑事は、ダイアンにとても良い印象を持つのと同時に、彼女の能力が本物だと感じていた。ダイアンはバーミンガムに来てデイリー刑事と会うことに同意する。

ダイアンはこの時の気持ちを表現する。

「とても緊張したけど、この事件に近づいてマークを見つけられるかもしれないと嬉しくもありました。」

デイリー刑事は言う。

「超能力者の介入は私にとって全く新しい試みでしたが、彼女はマーク失踪に関する重要な情報を持っていました。無視するわけにはいかなかった。」

デイリー刑事はダイアンと協力することに決め、彼女をマークが最後に目撃された場所へと連れていく。

その時の様子をデイリー刑事が語る。

「彼女は一定の方向に強いものを感じていました。その方向は実際にマークが防犯カメラに写っていた方向で、彼が最後に確認された場所でもあります。カメラで彼は誰かと話しているようですが、それが誰かは分かりません。」

ダイアンが言う。

「方にマークが見えました。こっちに来て、と言っています。本当にストレスを抱えているようです。彼は私達をこのエリアに引きずり込みたいかのように引っ張っていきます。」

ダイアンは、失踪した夜に通った道に導かれていると感じていた。デイリー刑事もマークが通ったルートを明確に理解する。

ダイアンが言う。

「彼は一人だった気はしません。誰かと一緒でした。そしてその男は友達じゃなかったことは確かです。他の誰かが彼と一緒にいた。男がじっとマークを見つめているのと同じように、私はその男を見つめ続けました。男は私に自分の目を見てほしいのか、この男の目に吸い込まれてしまいそうです。そして男は私に、自分が見ているものが見えるかと言いました。」

デイリー刑事が言う。

「彼女はマークの気持ちについて話していました。このような情報を提供されるのは非常に珍しいことです。私は刑事として事実情報を扱うことに慣れていますが、それでも非常に柔軟な考えを持っていて、彼女の話を信じないということはありませんでした。」

デイリー刑事はダイアンが提供した全ての情報を受け入れた。ダイアンとデイリー刑事は5時間歩いた後、バーミンガムのある住宅地に到着する。

ダイアンが言う。

「間違いなくここです。アパートの中に入っていく時、マークが『 ダイアン、ここだ、ここだよ』と言い続けていました。」

霊的なつながりは未だかつてなく強いものになっていた。マークはその夜何が起こったか、全てのビジョンを話し始める。

ダイアンが見たビジョンを説明する。

「マークはかなり強く殴られています。押し倒された状態が続いて、後頭部に致命傷を受けた。頭部が下がっている印象です。」

しかし警察にはマークがこのエリアに来たという情報は一切なかった。そこに友人もいなかったし自宅からも離れている。

ダイアンは言う。

「本当に恐ろしかったです 。怖かった。実際にそこに立っていると信じられない情報が聞こえます。『マーク、どこなの?』と探していると彼は『ここじゃないよ、近いけどここにはいない』と言い続けます。どこかに連れられた。黒い袋が並べられているのが見えた、と。この私でさえも・・、恐ろしかった。混乱してひどい気分でした。他の人から見たら、こんなことを言ってるなんて狂っていると思われるだろうなと考えていました。」

ダイアンとの歩きで、何か不吉なことが起こったのではないかというデイリー刑事の疑惑は確信に変わった。ダイアンのビジョンと録音テープに裏付けとなる情報があったため、念入りな捜査の後、行方不明事件から殺人事件に切り替える決定が非常に迅速に下される。そしてバーミンガムの新しいエリアにも捜索を拡大する。

マークが姿を消してから何ヶ月も経過していた。警察は最善を尽くし捜査しているのにもかかわらず、マークの手がかりは見つからない。イライラを募らせていたのはデイリー刑事だけではない。マークも事件の解決を待ってイライラを募らせていたという。

ダイアンが言う。

「マークの両親のリーディングをしました。そこでマークが、テレビ番組があって、その後に事件は全て解決すると言っていました。」

テレビ番組が事件を解決するとダイアンが言うのは2度目だった。1度目は5ヶ月前の交霊。そして信じられないことに、2002 年 5 月にデイリー刑事が呼び出され、トークショーに参加するよう依頼される。ダイアンの言葉が頭から離れなかった彼女は出演に合意する。

テレビ出演でデイリー刑事は語る。

「マーク・グリーンに関しては、無視するわけにはいかないと感じました。この調査を正当化しなければならないと感じ、両親のためにもそうしなければならないと感じたのです。」

ダイアンがその時のことを語る。

「デイリー刑事から電話があり、テレビ番組があるとのことで、本当にびっくりしました。それを見て、もう解決までそう長くはないだろうと思ったのを覚えています。」

テレビ番組でデイリー刑事は、超能力者の協力を得ていることを批判される。

デイリー刑事は言う。

「超能力者を検討している家族を利用する人はたくさんいます。でも私が強調したいのは、実際に才能があり、行方不明の家族を見つける力になりたいと思う人がまだいるということです。」

この放送は、ある一人の男にとってショックなものだった。彼は保身のため、マークの失踪に関する情報を警察に話すことにする。彼の兄がマークの失踪に関与していると言うのだ。そして彼は、マークの遺体を遺棄するのを手伝った。

ダイアンが言う。

「この男性が警察に行って情報を提供したことを嬉しく思いました。テレビ番組がきっかけになると言いましたが、誰かが実際に罪を認めることになると分かっていたからです。」

ダイアンの言ったとおり、テレビ番組が解決のきっかけとなる。しかしマークが失踪した夜、何が起こったのか。そして彼の遺体はどこなのか。

ジェームスの兄ロバート・マクマホン24歳は、暴力犯罪歴のあるネオナチだった。警察はマーク・グリーン殺害の容疑で彼を逮捕、起訴したが、激しい尋問にもかかわらずロバートは殺害の自白を拒否。 しかし弟ジェームズは話す。 彼は警察に、ロバートが自分のアパートでマークを殺害したと語った。そこはダイアンがデイリー刑事を数カ月前に連れて行った場所だった。

この事件の前ダイアンは、バーミンガムにつながりもなく、マークが殺害されたエリアも犯人のことも知る由がなかった。

マークを殺害した後ロバートは、家庭用器具を使って頭と足を切断。スーツケースに入れて車で遺体を弟ジェームスの家まで運び、一緒に裏庭の池の下に埋めた。近所の人に尋ねられた時兄弟は、ジェームスの彼女へのサプライズのため池を掘っていると答えていた。まさにダイアンのビジョンどおりだ。

ダイアンは言う。

「マークの遺体が水中に埋もれていると知ったときは本当に信じられませんでした。マークの描写が細部まで本当に驚異的だったことが証明されました。」

法医学考古学者により現場の土壌を分析後、遺体が発見される。 遺体はマーク・グリーンと特定され、死因も明らかになる。

ロバートはマークを約9kgのガスボンベで繰り返し殴り、頭蓋骨を粉砕した。ダイアンの言ったとおり、マークが後頭部に致命傷を受けたことは事実だった。

ダイアンが言う。

「マークが実際に後頭部に攻撃を受けた事実を知った時、彼は私に正確な情報を伝えていたのだと改めて確信しました。」

殺害された時間、致命傷となった原因、水面下に埋められていることなど、ダイアンが警察に提供した情報は、すべて十分に証明されており、推測するにはあまりにも正確すぎた。マークが彼女に伝えた。それが答えだ。

ダイアンは言う。

「私は霊界に対する義務があるような気がしています。いわば霊界に雇われているような・・。だから情報を受け取ったら、すぐにそれに基づいて行動するようにしています。」

ロバートはマーク・グリーン殺害の罪で終身刑、弟のジェームズは遺体遺棄に協力した罪で懲役2年の判決を受けた。

3週間の公判中、ロバートがトロフィーとして保管するために被害者の片耳を切除し、生首と会話したと告げられる。その後家に呼ばれたジェームスは、ナイフを突きつけられて手伝うことを強要された。ジェームスは、ロバートを恐れながら暮らしていた。

ロバートが殺害動機を自白することはなかったが、夜遅くに酒を飲むという偽りの約束で、800m先の自宅に彼を誘惑したのではないかという憶測がされた。警察は、ロバートの動機が計画的であり、彼の根深い同性愛嫌悪によって動かされたのではないかという疑いをより確信していた。マークが有名なゲイバーを出るのを見られたためのヘイトクライムなのか。

デイリー刑事は言う。

「犯人が二人とも有罪判決を受けたことはマークの両親を安堵させたと思いますが、大きな悲しみと損失が再度強調されたと思います。」

一つ確かなことは、ダイアンがテレビ番組が事件解決につながると予測していたことで、普段は寡黙なマークの両親が、デイリー刑事とともにテレビに出演する決心をしたということだ。さもなければ、ジェームスが名乗り出て兄ロバートの殺害を警察に伝えることはなかったかもしれない。

ダイアンは、今でもマークの霊が現れると言う。そして一番信頼できる霊的なガイドと感じている。

ダイアンは最後に言った。

「今でもマークとの会話を楽しんでいます。実際に素晴らしいことです。」

マークの両親にとって、息子の遺体の所在の秘密が明らかになり、ようやく悲しみ始めることができた。


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